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2005.10.10

ライブラリアンの新技術への取り組みについて

 金曜の夜、とある方面から突如お誘いがあり、思いがけず土曜日に母校の某先生方のところへお邪魔することになりました。と言ってもメインは連れ合いの方だったので、筆者はあくまで金魚のフンとして同席しただけでしたが、これがなかなか面白い会合でした。
 会合のテーマや詳しい内容についてはここでは差し控えますが、差し支えない範囲で印象に残った発言のごくごく一部を記させていただきます。

  • ある種のライブラリアンは新技術が出ると面白がりはするものの、それを利用者サービスにどう生かすかに目が向かない。また、技術がある故に周囲に頼りにされるが、そうした現状に満足してしまい現状から飛躍できない者も多い。
  • 図書館に新技術を導入し、活用しているある種のライブラリアンは特別扱いされがちだが、彼らの仕事に必要なのは情報を選択・探求する能力や、それらをサービスとして適切に調整する能力であって、それらは従来のライブラリアンに求められてきた能力と何ら変わらない。

 これら、特に前者は実に耳の痛い言葉でした。自分自身、図書館の(主にコンピュータ関係の)新技術に十分対応できているわけではないけれど、図書館関係以外のシステムの利用トラブルも含めてあてにされる状況が割とよくあります。そうしたトラブルに対応しただけで「仕事した」と満足してしまいがちで、では、そこから先にどう進むかは考えないことの方が多く、しかも「じゃああなたはこの技術を使って利用者のために何をやりましたか?」と問われると「やってません」と答えるしかないわけでして。

 ただ、スキルも経験も様々な集団で図書館という場を運営しており、加えていつかは今担当している業務を誰かに引き継いで別の部署に移らなければならないということを考えると、あまり新しい業務を作り出せないというのも現実。自分は良いけれど、その後を受け継ぐ誰かさんがそれで良いという保証はありません。

 そうした制限とか不安とかはありますが、それでも時代に合わせて新技術の導入に取り組む局面というのはいつかやってきます。自己分析するに、現在図書館のシステム部門の一線で活躍している人々のように、新技術が図書館の仕事にどれだけ使えるものか?というニオイを嗅ぎつける先取りのセンスや、その技術の仕組みを理解し「図書館」という場に適した形で動かすエンジニア的な資質というのはどうも乏しいようです。

 しかし、少なくともそうした技術に立ち向かわなければならない局面で「わからない」と言って済ませたり、導入のための予算確保などで上位の権限を持った人たちへの説明や導入後の利用者への説明を怠ったりするようなことはしたくない、と、今回の会合を経て強く思うようになりました。
 だって自分は図書館屋(ライブラリアン)なのですから。曲がりなりにもお初の利用者の方に相対し、お話を伺い、適切な資料やデータをご提供することができるのに、お初の技術に相対した時に何にもできなくってどうする?といった感じです。

 ここまで書いてきたような事を当たり前にこなしている図書館屋さんから見れば笑ってしまうような話かもしれませんが、そうではない人間としては真剣にそのように考えています。
 学生時代、せっかくシステム関係の勉強がたっぷりできる環境にいたのに、逃げてばかりいた結果こうなったことを振り返ると、後輩の皆さんにはセンスや資質に乏しいからと逃げないで勉強して欲しいと思うのです。勉強の成果が役立つ日はいずれ確実に訪れます。
 そして先生方にも、センスや資質を補って余りあるような、基礎をじっくり学べてかつ最新の動向も知ることのできる魅力的なカリキュラムをぜひ組んでいただきたい、と願っております。

 ―以下は余談となります。
 今回の会合ではほとんど初対面に近い方も含めて複数の先輩・後輩の皆さんとお話しすることができました。初対面でない方も一番最近お会いしたのが6年前。もっともその中にはブログ同士で交流のある方もいらして、余り「久しぶり」感はありませんでしたが。

 先生方のうちお一人が、同時期に学部に在籍されていたとはいえ、筆者の所属ゼミまでご記憶だったのには驚き、うわーと感動してしまいました。こんなへっぽこな同窓生を覚えていてくれてありがとう、という心境です。そして、普段はシンポジウムやワークショップにでも参加しなければ伺えないような様々な貴重なお話を伺うことができました。先生方のみならず、この席に誘って下さった皆さん(特に後輩)に感謝いたします。

 そうそう、授業の開始・終了時に流れるチャイムが、授業のない土曜日も自動で流れていました。筆者が学んでいた十数年前と変わらず、ウェルナーの「野ばら」のメロディでした。
ああ、自分は確かに昔ここで過ごしていたんだなあ、と思えた一瞬でした。

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