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2007.01.14

図書館で所蔵データを非公開にする理由

 筆者の勤務先で利用している図書館システムというのは、目録上での資料の所蔵の公開・非公開を、システム接続機関グループ内部・外部に分けて行うことができる仕組みになっています。つまり、ある機関の図書館が、システム内部で個々の所蔵データに対して「非公開」のフラグを立てておけば、その図書館の所蔵情報はグループ内部にのみ公開され、外部の機関には一切公開されない、という仕様です。
 うちのグループの図書館で外部非公開にする所蔵データとは例えば、研究室の蔵書。それから、部内限り資料。後者については、数年前にグループ内の上位部署からのお達しで「図書館で保存する場合も、部外者には非公開にする」ということになったため、書誌や所蔵データの登録すらされていないものがほとんどですが、問題は前者。
 NACSIS参加館だとそうした蔵書の所蔵データは原則として全部公開にして、複写や貸出といった相互依頼が届いたら、対応できるものであれば研究室に依頼し、対応できないものであればその都度謝絶すれば良い、という考え方だったと思います、確か。だから、その原則から言えば、OPACで資料の所蔵を外部非公開にするのは恐らく間違っているのでしょう。第一、最近あるOPACのデータを加工してRSSに出力し、一般向けの新着所蔵案内に利用するなどという運用も、外部非公開のデータがあると出来ないわけですし。新機能を盛り込みたい図書館システム開発担当者にとっては、所蔵を非公開にすること自体が鬱陶しいことに違いありません。

 研究室蔵書にはよく、カギをかけた書庫に保存するほどではないけれど、その分野では垂涎の的になっている本というのが紛れていたりします。図書館にいた頃、何度かそういう図書をNACSIS-CATや個別の大学のOPACで発見し、時には直接担当図書館に電話確認などして助けられたことがあり、ああ、所蔵データの公開って何てありがたいんだろう、と落涙したものです。
 ところが依頼を受けた場合どうかと申しますと、研究室の方、昼間は実験やフィールドワークなどで結構不在だったりします。研究室付きのパートさんや出入りの学生さんに伝言を頼んだり、部屋のリーダーの方にメールを送ったりして、やっと借りられるようなことも多いです。時には、そこまでしても数日間連絡が付かないというケースなども時々あります。加えて、連絡がついた場合でも、今度は図書の現物が見つからない、というケースもあったりします。そう言う時は研究室の方に探していただいたり、時には図書館員が直接研究室を家捜ししたり、ということもあります。
 そういう対応がわずらわしければ謝絶すれば良い、と割り切っても良いのかも知れませんが、所蔵を公開している限りはよほどの貴重書でない限りは何とかしてあげたい、と考えてしまうのが図書館員の心情です。

 ということで、個人的にも、そして、図書館業務を担当する立場としても、オンライン目録の所蔵データは外部公開を原則にした方が良いと思います。しかし、相互依頼業務に直接対応できる人数が1人か2人しかいないような図書館にそれを強いることは出来ない、とも思ってしまうのです。組織改編や人員削減のあおりで、対応できる人数が減ることはあっても、増えることは決してありません。
 オンラインで公開されている所蔵目録情報の恩恵に預かるだけでなく、自らも恩恵を提供するというのが図書館の相互協力の原則ですが、意外とこんなことが足かせになってしまっています。
 ……小耳に挟んだ所によると、一部には、「対応できない」という理由で研究室だけでなく図書館の蔵書(部内限り資料にあらず)の所蔵データまで非公開にしてしまっているところもあるらしいのですが。そういう所は自分の首を絞めているだけなので放っておけ、と思います。

 あと、これは的外れな疑問かも知れませんが、研究室蔵書の中には、図書館の資料購入費で買っているものだけでなく、研究費で買っているものも多く存在します。科研費で買っている本など少数の例外を除いて、研究費で買った本も全部図書館システムに登録し、機関の蔵書として取り扱っているわけですが、では、それらは財産上はともかく、図書館として本当に管理すべき本なんでしょうか?相互依頼でやりとりする対象にしてしまって本当に良いのでしょうか?
 まあ実際は、費目の違いだけであってその機関の予算で買っている本であり、図書館はそうした本をひっくるめた「機関で所蔵している本」の管理を任されていると考えれば、問題ないのかも知れませんけれど、何だか人の褌で相撲を取っているようなそんな違和感は常に心のどこかにあります。図書館の本でもないものに対して「他の機関に貸し出して」とか「所蔵データに載せて」とかあまり強いことは言えないんじゃないかと、そういうつまらないことで悩んだりしているのでした。

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