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2007.11.12

「1人でやる」ということ

 初めに申し上げておきますと、筆者は図書館総合展の「Library of the Year 2007」のフォーラムには参加しておりません。その時間から総合展にばっちり参戦したら体力的に死ぬ、と思いましたので。

 個人的には矢祭もったいない図書館と横芝光町立図書館の一騎打ちになるものと思い込んでいたのですが、午後になり、滋賀県の愛荘町立愛知川図書館が大賞に選ばれたという結果を聞いて驚きました。具体的な理由については聞けていませんが、恐らく「まちのこしカード」(愛知川の自然や風物を住民自身が記録し、図書館にその整理と保存を託するもの(会場パネルより))等に見られる住民参加の工夫に対する評価が高かったのではないでしょうか。あと、あのイベントの場合、プレゼンを担当する方の熱意+技術についても大きく得票に関わってくると思われます。
 繰り返しますが実際にその場にいたわけではないので、あくまで想像になってしまうのですけれど。恐らくスーパー司書がどれだけ頑張っているか?とか、財政難の中でいかに資料を工夫して収集したか?よりも、総合力として図書館全体が頑張っている方が会場の人の好印象につながってしまったのかな?と推測しています。もちろん去年の大賞の鳥取県立図書館も総合力がものを言ったのだとは思いますが、何となく今年の結果は小粒な感じがしました。

 で、ちょっと心に引っかかったのが以下のブログの反応です。

DORA-LOG: [今日のひと言]一人でやってます

「公務員の仕事で、一人でやっていてその一人が抜けたら続かない仕事なんて組織としての仕事じゃない。」
とか、
「一人でやってるなんて嘘に決まってる。」
みたいな、ご批判などありますが、確かに、引き継ぎできない仕事をしちゃって、その後を誰が引き継ぐんだと言われれば全く以てその通りだし、そういうご批判はご尤もですが。でも、一人の能力で充分出来得る仕事であれば、それが出来ないということこそ私は嘘だと思います。

図書館雑記&日記兼用:速報 - livedoor Blog(ブログ)

つかT大学のUセンセ、昨日の朝日新聞の記事とあなたのプレゼンを合わせると、他の図書館員は何してるの?になっちゃうんですけどぉ。

 実はこの辺りのことって、事前のノミネート情報を聞いて、かの図書館の最大の弱点であると最も気になっていた点です。
 ごく個人的な考えとしては、業務において1人の司書の顔しか見えなかったとしても、それが人の為になる仕事であればどんどん新しいことはやっていくべきだ、と考えています。
 もちろん新しい仕事を始める場合はちゃんと上司および同僚に調整・了承を取るべきだし(ここ重要)、他の人と共有できる仕事は共有する方向に持っていった方が良いのだけれど、逆に言えばそこさえクリア出来ていればOKだと思うのです。

 ただ、一方で、1人の能力のみに頼って実行したら身体がついていかねえよ!というのも大きいと考えます。それに、前任者が始めたことは出来ることなら長く続けて行きたいのだけど、その為には、特にお金がかかる物事については「どうしてそれをお金をかけて続けるのか?」ということを、刻々変わる社会情勢(特に公務員やそれに準じる仕事の条件は年々厳しくなっています)に合わせて、その都度合理的に説明できるようにしておかなければいけません。それは、担当者に取って結構エネルギーが要ることです。
 だから、doraさんのブログの、

人間命懸けで対峙すれば、信じられないような力を発揮することができるのは確かだと思います。

については非常に耳が痛い反面、後の世代が同じように「信じられない力を発揮」してくれるとは限らない(そもそも『後の世代』自体が少ない!)と考えると全面的に素直に肯定することが出来ずにいます。「自分は出来ません」と言って頭を下げることも時には必要だと思ってしまうのでした。

 しかしそれでも、やるべき仕事は基本的には頭を下げてでもやっていけること、そして組織の側も、筋が通ってさえいればそれを許容できることが理想であると考えています。大きい組織であればあるほど調整先が増えていくから辛いのだけど、小さい組織であるなら出来るだけ許してもらいたいし、現在それを許容している組織であるなら、今後も1人だけに責任を負いかぶせるようなことはしてもらいたくない。そう思うのです。
 何が言いたいかと言うと、例え「1人の力に頼ってやっている仕事」であっても、その人が組織に属して、組織内で認められた上でやっている以上、それは「組織の仕事」であるということだったりします。もちろん個人の功績は肯定されるべきだけれど、だから「組織として何もしていない」という見方はあまりに短絡であると思います。

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コメント

こんにちは。
「あくまで想像」ということでしたが、展開は全くその通りで、最後は総合力、印象としては寧ろプレゼンの内容によって決したという感じでした。
4人のプレゼンターの投票は、愛知川:1、静岡:1、横芝光:2、矢祭:0という内訳で、会場内の最多投票が愛知川で、最終的には愛知川と横芝光の拍手による多数決で決まったという流れでした。
そこで、決定的なのは、プレゼンで図書館を紹介する範囲で、総合的な図書館の活動を紹介した愛知川の方に軍配が上がったのでしょう。その意味で、関係者の話では、昨年の1位2位の関係と全く同じ展開だったということです。

では。

投稿: dora | 2007.11.13 06:58

ココログメンテのためすっかり反応が遅くなりすみませんでした。

当日はそのような大変惜しい展開だったのですね。
Library of the Year 2007の公式サイト(http://iriweb.fc2web.com/forum/loy07.html)にもそれぞれの選考理由が掲載されていたのを見ましたが、4館を相対的に評価しようとするとやはりそういった結果になってしまったのだろう、と思います。

ただ、2年目に入りイベントの注目度がやや上がったという事情があるとは言え、昨年は結果発表等で専ら大賞受賞館がクロースアップされていたのに比べて、今年は4館それぞれに違う角度から光が当てられていたのには好感が持てました。

投稿: MIZUKI | 2007.11.15 00:33

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