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2008年4月

2008.04.27

にゃーにゃー村の展覧会

 ひたちなか市のコーヒーショップコマクサまで「ねこてん10にゃーにゃー村の展覧会」を観に行ってきました。
 連れ合いが社員旅行で出向いた横浜中華街の猫グッズ屋さんで購ってきた、子猫達が木造の小学校の前で早朝ラジオ体操に励むイラスト(しかも1、2匹、振りのずれてる子がいたりする(笑))を描いた1枚の絵はがきが、にゃーにゃー村との最初の出会いでした。作者さんのお名前と「にゃーにゃー村」で検索すると、ちょっとレトロな日本の農村の風景の中で大人猫も子供猫も生き生きと暮らす風景を描いたイラストと、オリジナル猫グッズが満載のサイトがヒットしました(→にゃーにゃー村のサイトへ)。
 以来、猫飼いではないけど猫をウォッチするのが好きな者として、このサイトには癒されております。そろそろ村民になる手続きに着手しようかと思っていた矢先、上記のコマクサさんで4月17日から29日まで展覧会が開催されるという案内がサイトに掲載されました。これは同じ県内に住む以上は行かずにはいられまい、と、本日午後連れ合いの運転する車で1時間弱かけてコマクサまで走って行きました。下の写真はお店入り口の看板です。
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 コマクサは今年で開店30周年を迎えるという、年輩のマスターご夫婦が経営されている昔ながらのほっと一息付ける雰囲気の喫茶店で、常連らしき方もちらほら見受けられました。コーヒーもケーキもなかなか美味、と思いつつ、店内の壁に吊り下げられたにゃーにゃー村のイラストや、猫の和風人形をじっと眺めていると、少し後に隣の席に座られたご夫婦が絵のことを話題にされました。あー、やっぱりファンなのね(^_^)、と微笑ましく聞いていた所、更に1つ隣のテーブルの女性が何と、「この絵は実は私が……」とにこやかに語りかけられるではありませんか。何と作者さんが!と、もう舞い上がりまくりに。

 隣の方が話されるのを横で伺っていた所によると、あのイラストの画材は普通の不透明水彩だそうです。確かにあの猫さん達や建物のみっちりしつつ柔らかい質感は、透明水彩やアクリルでは出せないなあ、と納得。
 また、にゃーにゃー村の生活風景は、茨城県内や千葉県に今も普通に残っている懐かし建物や風景を素材にされているとか。つくばの住人としては、自分の身近に残る農村の風景というのは、旧市街の中で浮き上がって開発されている学園都市部とのギャップの象徴として捉えてしまいがちだったのですが、実の所とても貴重なもので、一種の宝物なのでは?ということに気づかされました。にゃーにゃー村は遠くにあると思っていたけど、本当はすぐ近くにあったのか、と。もっと農村の良い所を見直してみようかな、と思います。

 ひとしきりにゃーにゃー村の世界に浸った後、作者さんに「つくばから来て良かった」云々とつたないお礼を言って、絵はがき、根付、お人形等々のグッズを手にお店を後にしました。
 今回、いつものにゃーにゃー村のイラストの他、今回展示しきれなかったもの、ということで、映画パロディのイラストもコマクサのマスターの奥さまに見せていただきました。SFテイストの猫さん達もかなり新鮮で格好良かったです。このお店でのにゃーにゃー村展覧会は今回で8度目だとか。来年も開催されるのでしょうか。また行けたらぜひ行きたいです。

 下の写真はお店から連れて帰ってきた猫のカップルです。今は、散らかしていた玄関の靴箱の上にどうにかスペースを作り、そこにちょこんと座っています。何とも微笑ましい2匹です。
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2008.04.25

蔵書1469冊盗難事件(神奈川県藤沢市)

 お久しぶりです。仕事で参加したイベントで粘土細工を作ったり、架空の館マンダレイに旅立ってド・ウィンター家当主の美貌に見とれ、歌声にも聴き惚れたり、また、原作未読だけど『図書館戦争』のアニメを視聴したりもしていたら、いつの間にか20日間もこちらを更新していませんでした。そんなわけで本日ちょっと気になった図書館記事でリハビリ投稿です。

 窃盗:神奈川・藤沢市図書館の蔵書1469冊、73歳逮捕 - 毎日jp(毎日新聞)

 窃盗:図書館の本、自宅に1469冊 73歳容疑者「本が好き」--神奈川・藤沢 - 毎日jp(毎日新聞)

 盗まれたのは藤沢市総合市民図書館の蔵書(図書・雑誌とも)で、被害総額は約616万円だそうです。なんで同内容の記事なのに2種類ページが存在するのか、毎日.jpのサイト構築方針がよく分かりませんがそれはさておき。この記事を読んでまず疑問に思ったのは、

○○容疑者は「本が好きで、体が悪くなると図書館に行けなくなるので、その時のためだった」と供述しているという。

という一文でした。この容疑者はある意味立派な図書館ヘビーユーザであるにも関わらず、宅配サービスの存在を知らなかったのでしょうか?ちなみに事件の舞台となった藤沢市図書館で宅配サービスが運用されていることは確認しました(利用案内の該当項目)。
 もし知らなかったとしたら、高齢者に対する図書館の広報が足りないぞ、と言うしかありません。もし知っていてそれでもやったとしたら、そこまで本が好きで、どうしても自分のものにしたかった人間の悲しいエゴに痛みを覚えるばかりです。きっと高齢者故に、こだわりもひとしお強くなり融通が利かなくなっていたのではないか?と考えると尚更に。

 どうしてこんなにごっそり持って行かれるまで、図書館は監視カメラ設置等の対策を打たなかったんだ?とかいう声もちらほら聞こえてきますが、できれば市立図書館という市民に平等に気軽に使ってもらいたい立場では、来館者性悪説に立つような監視カメラ等の設置は行いたくなかったのでしょう。というか、監視カメラを置いたら置いたで、利用者から拒絶反応出まくりになると思うのですけれど。図書館への監視カメラ設置は、図書館が自分の首を絞める行為であり絶対あってはならないことと考える自分は、所詮古き良き時代の図書館情報学徒に過ぎないのでしょうか。
 あるいは、BDSぐらいは出入口に設置していたかも知れない、と推測しかけましたが、通常はかなり見つけづらい場所に貼ってあると思われるタトルテープを、73歳容疑者が巧妙に剥がしたとは考えにくいです。もし剥がしていたとしたら、それはかなり悪質な確信犯である証拠だと思われます。
 でも、この容疑者、本が本当にお好きだったなら、せっかく図書館に納められて市民の皆さまとの逢瀬を楽しめる立場にあった本を、自宅に閉じこめるような真似はしないでいただきたかったです。自分で買うなり正統に譲ってもらうなりした本であれば、自宅で愛でようと何しようと構わないと思うのですけれど。久々に色々考えさせられた図書館の事件でした。

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2008.04.03

水面の雲を見つめて

 4月2日、石井桃子さんが101歳で亡くなられました。

 訃報:児童文学者の石井桃子さん=101歳 - 毎日jp(毎日新聞)
 「ノンちゃん雲に乗る」作家・石井桃子さん、101歳で死去 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 年度初めにつきめちゃめちゃ忙しい日が続いており、ニュースサイトもほとんどチェックできていなかったのですが、メールで更新情報が送られてきた友人の日記のタイトルに「星が落ちた」って書いてあるものを見つけ、何?誰か亡くなったの?と急いでGoogleニュースをチェックして訃報を知り、このことだったか!と愕然。

 図書館屋の端くれとしては、この方のお名前を聞いてまず連想するのは「東京子ども図書館」。そして「おはなしのろうそく」。そう言えば大学の時に、創作絵本『くいしんぼうのはなこさん』のパネルシアターをおはなし会用に作らせていただいたこともありましたっけ。もちろん著作権処理なんてやっている筈もなく、今にして思えば、良くもまああれを子供に見せて堂々と上演したものだ、と穴に入りたくなるような素人の作品でした。美しく封じ込めたい思い出です。

 おはなし会に夢中で取り組んでいた割に児童文学への造詣は無さ過ぎな人間なので、石井さんの業績として名高い翻訳物では、とっさにはブルーナ、ピーターラビット、クマのプーさん位しか思いつかなかったりします。そう言えば『ちいさいおうち』もそうでしたね。ああ、ドリトル先生の担当編集者でもあったのね。
 石井さんが翻訳された海外の長篇作品に関する知識なんて、ほとんど壊滅状態。例えば『たのしい川べ」が名作だという知識はあるし、単行本の見返しに載っていた物語の舞台のマップに示された世界観が良くできていると感心した覚えはあるけれど、ちゃんと読み通したことはありません。

 そんな人間が語れる数少ない石井さんのお仕事は、創作の『ノンちゃん雲に乗る』位です。戦前日本の中産階級の少女ノンちゃんが、大人のごく日常的な理不尽なふるまいに対する憤りがきっかけでお家を飛び出して木に上り、木の上から落ちて気づいたら雲の上に乗っており、謎のおじいさん(神様?)に巡り会います。自分、家族、そして友人との日常のエピソードについて、同級生の悪ガキも交えて対話していくうちに、知らず知らず自らを見つめ直していく、というお話でした。
 この本、確か十代前半の頃に母親から誕生日に贈られたものです。版型は文庫本でした。そろそろ大人に買い与えられる本だの洋服だのを素直に受け入れられなくなり始めていた年齢でしたが、何故かこれは素直に最後までさくさくと読み進めることができたと記憶します。ラストで小さかったノンちゃんは大人になり看護婦になったけれど、雲の上で語らった悪ガキの長吉は戦争に行ったまま帰ってこなかった、というくだりが何とも寂しかったです。
 ノンちゃんを読了して程ない頃、NHKで休日に映画版を放送していたので観ましたが、鰐淵晴子があまりに美少女過ぎてバイオリンなんか弾いてたりして、ちょっとイメージと違っていました。でもあの映画はファンタジックで温かくて、決して嫌いではありません。

 石井さん、人間の愚かさをカバーして余りある善意と賢さを信じることを、十代前半の娘に教えてくれて、本当にありがとうございました。

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