既に、
吉田壽治郎氏 緊急提案「カード目録」は不要なのか(「図書館雑誌」2009年7月号 p.478-480) - 読書ノートのつもり?なつれづれ日記
等で取り上げられてますが、『図書館雑誌』2009年7月号の「としょかんCHATTERBOX」の投稿「緊急提案『カード目録』は不要なのか」がかなりかっ飛ばしてます。
実は上の記事を拝読した時、自分のブログのスペースをこんなネタに割いて、総務省の調査まで典拠に引いてツッコミを入れるとは何とマメで偉いんだろう、自分には到底真似できないな、とイヤミでなく本気でそう思っておりました。
しかし、そのまま引っ込むのは何だか悔しかったのも事実です。とは言え、原文に逐一ツッこむには約2p分と長過ぎるので、自分流に原文を超訳して逐一ツッコミを入れる形で感想を書き残しておきます。
何となく、以前も同じような不純な動機で書いた別ネタの記事があったように思いますが、この際気にしないことにします。
【以下、超訳】
※カギ括弧内は原文からの引用です。
また、1~6の各章タイトルは原文のものをそのまま流用しています。
1.カード目録が消えた
図書館の資料検索用カード目録の消えた原因はOPACが現れたためであり、「OPACの便利さを認めるにはやぶさかではないが」、カード目録も有用であるのに何が原因で消えたかを考えてみた。
(1)カードケースの置き場の問題
(2)「OPACではダウンロードするだけで目録がほぼ出来上がるのであれば、分類や件名標目などを考える苦労から解放される」
(1)はその時点で館内スペースに占めるカードケースの割合が大きくかつカードケースの優先順位が低かった(既に機械化目録への遡及入力が完了していた)故の処置であり、 決してカード目録、そして先輩方の業績を軽んじた結果ではないでしょう。
分かって差し上げてください、図書館という場所は、貴殿の現役時代も、時代に合わせて柔軟に、とは言えないかもしれませんが、変化していくものではなかったですか?と一言申し上げたくなります。
(2)は、MARCに付いている分類をそのまま使うという選択肢も十分ありだと思います。分類、装備も外注しているケースも多いでしょうし。
ただ、件名については確かにOPACではかなり軽視されがちな部分ではあるので、そこは仰るとおりと思います。
しかしまあ、かつてのようにカタロガーが(司書が)「分類や件名標目などを考え」る必要性が減った分の労力を回す先を一体何にするか?について、これはもう唯一絶対司書の技能が必要だろう、という決定打になるものが今に至るまで見つかっていないという事実は辛いですね。
もっとも、そういう「この職種に唯一無二の技能」の決定打がなくても連綿と生き残っている職業はほかにもあるわけで、何で司書ばかりそういうことを言われなきゃあかんねん、とたまに思ったりもするわけですが。
2.カード目録が必要な人もいる
友人が市立図書館でカード目録がなく職員に「パネルタッチ端末」の操作を教わったが「あんな面倒なことができるものか」と怒り、書架の端から端まで見て回って探した。職員は一声かけてくれれば、というがいちいち依頼するには抵抗があり、従ってカード目録が必要。
人生の大先輩にただケチを付けたくはありませんが、将来老後を生きていく上でこういう意地の張り方はしない方が良い、という反面教師にさせていただきます。
3.カード目録の利点
市立図書館(注:原文には組織実名掲載)の司書時代に感じたカード目録の利点
(1)OPAC端末は台数が少なく利用者を待たせる。カード目録は他の検索語から探せるので待たせない。
(2)類似標目が前後に並んでいるので、類書に行き当たる率が高い。
(3)OPACには分出という概念がないがカード目録にはある。
故にカード目録にはOPAC以上の効果があると思うのに、司書は手間のかかる分類、目録の作業から解放されホッとして、カード目録は消えたままである。
(1)は図書館に端末台数を増やして、と要望すればいいんでないかい?という気もしますが、実際、通覧のし易さではスタンダードなOPACよりもカード目録に1日の長があると思います。書名順、著者名順、分類順でそれぞれカードが整理されているわけですし。
問題は、ここで「OPACにはできない」としていることが、OPACにおいてもシステムの作り込みによりできる可能性がある、という視点が放棄されているという点にあるわけですが(^_^;)。
ただ、自分はシステムライブラリアンではないので、これについて、「需要があるかはさておき、多分できるだろう」ということは分かっても「作ってみた」と言えないのは悔しいところです。
なお、これはあくまで個人的好みではありますが、私はカード目録よりも冊子体目録の方がより通覧し易くて好きでした。当然冊子体目録には加除はないですし、立ったまま手に持って調べると重かったですが。
4.カード目録作りは大変
伝統がある大学図書館の中にはある年度より古いOPAC未収用の蔵書はカード目録を提供している館があるようだ。これは良心的。公共図書館も同様にすべき。
I市立図書館(注:原文では実名。恐らく筆者の旧勤務先)では謄写版で苦労して作ったカード目録をOPACと引き替えに簡単に廃止してしまった。
仕事でカード目録を作ったことこそありませんが、大学の目録の演習では何枚も作らされたので、どれだけ大変かぐらいは分かるつもりです。また、ノスタルジーの存在も理解できます。
しかし機械化目録=手のかからないもの、みたいな言い方には何か問題があるかと。違う所に手とお金をかけてるのですけど。例えばカード目録を廃棄した、ということはすなわち機械化目録への遡及入力が完了したということで、何故それに対する後輩の努力を誉めてくれないのか、と思うと寂しい気持ちになります。
5.今後の対策
「カード目録を必要とする利用者がある限り、利用者に提供しなければ、本当のサービスではないと考えるのである」
そこで、カードを書いた経験のない今の司書にカード目録の作り方の講習会を。大学でもカードの書ける司書の養成を。
「便利なコンピュータに惑わされて紙の台帳を疎かにしたつけが回ってきたということである」
「カード目録作りは重く苦しいものであるが」それでも不要ではない。
……そういった司書の、バリアフリーサービス精神を頑迷に拒んだのが、正に投稿者の方のお友達ではないかと(^_^;;)。
それと、今の司書課程教育を知らないのですが、カード目録の書き方って教えないんでしょうか?就職して扱うのはコンピュータ目録が中心でしょうけれど、カードが現役の図書館もあると思いますし、また目録規則を理解するための基礎なので、教えていないわけはないと思いますが。
職業の基礎を形作る古典的技術の勉強は当然大事ですが、現代の図書館業務を進める上において「システムライブラリアン」の域まで行かなくともコンピュータを使える司書の存在も重要なので、まずは古典と最新技術を並行して勉強すべき、と、かつてコンピュータ嫌いなぐうたら学生だったおかげで今苦しんでいる当事者としては考えるのです。
6.私の提案
(1)カード目録記入知識のある人に、目録規則を踏まえた入力と「パソコンに接続した印刷機」での原紙印刷ができるソフトを作ってもらう(原紙はハガキ用のコピー機で必要枚数印刷)。
(2)ただし「郷土資料、調査・研究用の資料などの検索」に必要な横断検索がカード目録ではできないのでCD-ROM化を前提としてコンピュータでのカード目録作りを。「これができておればCD-ROM化は不可能ではないと考えられる」。
(1)の場合、ソフトを作らずとも既存のワープロソフトのテンプレで事足りるように思います。
大体「ハガキ用のコピー機」って何だろう?ハガキ印刷も可能な複合機のこと?良く分かりません。
(2)については、あえて横断検索が必要な対象として「郷土資料」等を事例として挙げる理由が良く分からず。ついでに「横断検索」って自館の他の検索データベースとか他館OPACとかを同時検索する場合に使う言葉のような??
……以上の要約文だけみると一見(あくまで一見ですが)真っ当な主張に見えるのが怖いです。
今回の記事を読んで、何と申しますか、
「こんなノスタルジックな記事を載っけてJLAダメじゃん」
ではなく、
「投稿が少ないからってこんな記事を載せなければならないなんて、JLAも大変だな」
と同情する気持ちになりました。
要約文はあくまで「超訳」なので、興味のある方は是非原文をどうぞ。
ただ、この投稿は「としょかんCHATTERBOX」の掲載記事1通目でしたが、この約2p分で脱力・脱落して、2通目の、
「図書館員向け研修会・集会に聴覚障害者対応の環境(手話通訳、要約筆記等)を整備して欲しい」
という、1通目の「緊急提案」よりも緊急度、重要度ともに遥かに高そうな要望を読み逃がす人がいるのではないかというのが心配ではあります。
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