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2009.11.24

図書館総合展参加報告(3) : 第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横浜

 図書館総合展のメイン会場の隣りのパシフィコ横浜会議棟で開催された「第6回ARGカフェ&ARGフェスト@横浜」。参加してから10日以上が過ぎてしまい、今更ですがレポートを記させていただきます。
 第1部は、若干加筆いたしましたが、ほぼその場で取ったメモそのままの内容です。第2部では遠方かつ翌日通常出勤につき1次会で失礼してしまいましたが、本当に名残惜しかったです。

第1部:ARGカフェ
《岡本さんの開会の言葉》

  • ARG400号達成、ARG企業化のご報告
  • 雑誌『情報管理』2009年10月号:長神さん、岡本さんの執筆記事へのアクセスが1位でした。

《ライトニングトーク》

  1. 文学資料はどこにある?」岡野裕行さん(文学館研究会)
    図情大での修士論文:三浦綾子の書誌作成
    三浦綾子記念文学館での調査経験→図書館情報学の観点からの文学館研究への取り組みにつながる。
    文学館:文学資料を専門的に収集し保存し公開している施設
    2つの系統:文学博物館、文学資料館
    文学館研究:文学館は博物館の一種と考えるのが妥当、との意見をもらったこともあるが異議あり
    「文学館研究会」の発足:2009.1 個人的に設立
    文学館という建物を図書館の一種(専門図書館)として捉えることにこだわり
    しかし文学館という用語を用いている限り図書館畑は注目してくれない。
    「文学館研究」を個人的に創刊:図書館情報学、博物館学、アーカイブ学などの観点から研究

    【私の感想】
    後からフェスト会場でご本人と少しお話しする機会がありました。文学館は博物館的要素(保存・展示)だけではなく図書館的要素(利用提供)も有しているので単純に博物館と断じることはできない、という考え方に大変納得しています。


  2. 「あなたの疑問に全国の図書館員が答えます―レファ協私設応援団のひそかな野望」宮川洋子さん(福井県立図書館)
    レファ協私設応援団副団長(団長は宮城県図書館の熊谷さん(ブログ「レファ協ほめまくり」の中の方))
    レファ協参照三位:アントニオ猪木座右の銘
    レファ協を見た方からある日電話:作者判明
    →あえてレファ協は「未解決」にしてある(該当事例)。
    福井県立「覚え違いタイトル集」:情報募集中!
    自分の覚え違いも混じっている。
    →Twitter→はてブ→ITmediaの記事に
    記事になった直後は多数電話をいただいたが……情報募集中。
    図書館の定番事例から、ちょっとくすっと笑える事例をぜひ教えてほしい。

    【私の感想】
    長いことレファ協の参照ランキングで「猪木座右の銘」は1位だったのですが、少し見ない間に別の調査が1位と2位になっていたという事実に驚きました。


  3. 「研究コミュニティを俯瞰してみよう」大塚真吾さん(物質・材料研究機構)
    研究会やシンポジウムのプログラムを解析したらその研究コミュニティの生々しい人間関連が見えた。
    シンポ等のプログラム:Webなどで公開
    セッションが同じ発表者:異なる大学や研究所の関連付けとみなし過去10年ぐらい、40回分の研究会等を解析
    →Graphvizで解析、図を作成
    ・先生と弟子の関係なども明確に。
    ・ハブ的な人は若手の研究者だった。→将来的な活躍を期待
    結果があっているかどうかの判断は自分の知っているコミュでしかできないので客観的評価が難しい。

    【私の感想】
    今回のお話はあくまで本来の大塚さんの研究の隙間から生まれた内容なのかも知れませんが、本気で『情報管理』辺りに載っても良さそうな内容だと思いました。


  4. 「目は口ほどにものを言う?-Web情報探索行動における視線情報の分析」江草由佳さん(国立教育政策研究所)
    Web情報探索行動の研究
    CRESプロジェクト:全員所属も分野も違う。
    ・利用者に実際に検索を行ってもらい、操作記録、操作画面の映像などの分析を実施、眼球運動を測定
    視線情報の分析方法:見た場所をブロック(Lookzone)に分けて人手でカウント(担当:佐藤翔さん(笑))
    眼球運動測定装置をつかって情報探索行動のこんなところをとるとおもしろい、などのアイディアをぜひ。

    【私の感想】
    あの「かたつむりの人」こと佐藤さんはこんな所でもお手伝いをされていたのか(笑)、ということはさておき、もしこれを使って人体の動きからウェブアクセシビリティを測定できるとすれば面白いです。


  5. 「内と外-勉強会@中央線2年の軌跡」福林靖博さん(国立国会図書館)
    中央線に縁のあって情報ネタに興味があるメンバー3名で勉強会を続けてきた。
    2008.2から実施している。月一回、19:30~22:00開催
    これまで20回開催
    テーマ:図書館(NDLのマンガ雑誌の保存とデジタル化など)、スパムメール、ラーニング・コモンズ、出版流通, etc.
    必然と偶然による「場」の設計
    ・参加者(中央線)、内容(情報)、開始終了時間の設定:ゆるいシバリ
    →ゆるい=グダグダではない
    2年続いたがあまり長く続けるのは難しいのでそろそろやめたいが、次も何かやりたい。

    【私の感想】
    「中央線沿線の住人であること」をスペシャライズする人は結構多くて、地方者がそれを見ると鼻につく時もあるのですが(沿線の皆様ごめんなさい)、こういうゆるくて前向きなスペシャライズは歓迎です。


  6. 「図書館員の視点で見た学び直し講座-私の“あはっ”体験」下地雅美さん(沖縄県立看護大学附属図書館)
    社会人の「学び直し」講座
    なぜ図書館で?:図書館の人員と部屋確保のため
    2008.3まで:那覇市立図書館に在職
    図書館からの転職も考えていたので事務局(事務員)の仕事は苦にならない。
    図書館の窓口担当として、受講者の資料探しの手伝いが求められる。
    野良司書として次につながる仕事と考えている。

    【私の感想】
    「野良司書」「次の仕事に向けたキャリアアップ」は今の司書のビジネスモデル上避けて通れないのだと改めて思いました。
    あと私的には、下地さんのように「能力を発揮できて高められるなら別に働くのは図書館という場でなくても構わない(変な思い入れがない)」方の存在はとても大事だと考えています。


  7. 「劇的!図書館ビフォー・アフター」坂本成生さん(横芝光町立図書館)
    デパート婦人服売場での体験を生かした図書館運営:説明が大変
    というわけで今回は横芝光町立図書館の紹介です(^^)。
    よく言われること:ネットだけの仮想空間図書館では?→そんなことはない。
    横芝光町の場所:チーバくんの頸動脈位置(笑)
    横芝光町は:合併で生まれた町。合併により面積が倍になった。
    ご本人:体重-25kg減
    『ず・ぼん』No.15の特集記事もご覧ください。

    【私の感想】
    「横芝光町の場所はチーバくんの頸動脈」に爆笑させていただきました。
    フェストでもお話を伺いましたが、図書館業界に横芝光町立図書館の実力の評判が広まる一方、図書館運営に吹く風は必ずしも追い風だけではなさそうで、坂本さんがまた減量されてしまうのではないかと気がかりです。


  8. 「絵本のお医者さん細うで繁盛記」佐藤あづみさん(岩沼市図書館)
    「絵本のお医者さん」とは?
    破れてしまった絵本を図書館の修理道具で直して見せるイベント
    企画・意図・背景
    汚損本・破損本を何とかしたい
    「かたい」(礼儀正しい)利用者
    マナー啓発展示:利用者の嘆き
    →嘆かせるのではなくもっと楽しく呼びかけられないか?
    セロテープで直してくる利用者→正しい対応を知って欲しい。
    そこで「おもちゃのお医者さん」から発想
    「本」だと大変なので「絵本」に限定→ほかの職員に受け入れられた→実施
    成果:参加者の笑顔、喜び , etc.

    【私の感想】
    司書の方はやはり、こうやって利用者の反応や感想を直に知るのが好きだからこそ皆司書という職業をやっているのだと思いました。



  9. 「反論のススメ-M・R的ライブラリアンの育て方」茂出木理子さん(お茶の水女子大学附属図書館)
    東大職員として採用時:国家公務員はほかの仕事に口出しならず、との講話→ふつふつと怒り
    この怒りがエネルギーの原点に。
    現場の職員:実証しないと反論にならない
    MR的ライブラリアンとは?
    「Modeki Rikoの略ではありません」
     R:うさぎ(Rabbit)
     M:向こう見ず
    ある日向こう見ずうさぎが柵を越えた、という説話。
    うさぎはただ向こう見ずだっただけ。図書館業界のことを考えたとかそういうわけではない。
    そもそもメインのイベントである総合展の会場ではなく、この場にいる人は「向こう見ず」
    →会場で自分を向こう見ずだと思う方!
    →手を挙げられた向こう見ずさんな女性お二人にうさぎをプレゼント

    【私の感想】
    公務員の業務の縦割りについて、深ーく頷かされました。この仕組みはかつて国の直轄であった大学や研究機関が法人化されようが何しようが関係なく、未だに根強く残っているという現実があります。
    図書館ではそんなこと言ってられない局面が多く存在する、と言いたいのですが、大きい組織の場合は図書館でもそういう状況が発生しても何の不思議もありません。
    状況を打開するために「柵を越える」こと、そして柵越え仲間を増やすことはやはり大切だと、柵の真下で思案しながらもたもたしてばかりのうさぎとしては思いました。
    そしてフェスト会場に行ってから、実は「向こう見ずさん」お二人ともTwitterで会話したことのある方(しかもうちお一人は以前からブログでも交流あり)だったと知り驚きました。


  10. 「論文ったー作ってみた。」山田俊幸さん(山形大学工学部図書館)
    論文ったー(@ronbuntter)について
    CiNiiのウェブAPIコンテストに応募→落選orz
    CiNii×Twitterの組み合わせ
    buzztter→Twitterで話題になっている(ばずっている)キーワードの抽出→「空気を読む」論文のレコメンドを行う。
    例1)鳩山総理の所信表明演説の話題でばずる→歴代総理演説の分析論文をおすすめ
    例2)漫画「とある科学の超電磁砲」でばずる→レールガン論文をおすすめ(笑)
    とあるTwitterユーザ(研究者?)の感想:通常仮説や解決すべき課題が明確な論文しか見ないので新鮮である。

    【私の感想】
    「何故こんなに面白いAPIがCiNiiのコンテストに入選しない!?」と疑問でなりません。
    恐らくは、図書館の業務として作られたAPIではない、という点で他のAPIの方にプラスポイントが加えられたのではないかという推測はできますが。でも論文ったー、見ていて楽しい、APIってこんなこともできるのか、という面白さを教えてくれるbotとして、もっと評価されて良かったと思うのですけれど。


  11. 「沖縄県の図書館コミュニティ-沖縄県図書館協会誌発行・FLU40開催をとおして」大谷周平さん(琉球大学附属図書館)
    沖縄県図書館協会
    協会誌:年一回発行、有志10人程度による編集、現在通巻24号、Webでも公開
    メンバーの固定化や減少による危機感
    →FLU40沖縄会場の開催
    沖縄会場参加者25名(図書館情報学研究者や公文書館も含む)
    ここでできたつながりを継続的にもっと大きくしていきたい。

    【私の感想】
    沖縄県内でのつながり。県外とのつながり。そして異なる世代間のつながり。シンプルではありますがどれも大事なことだと思うのです。
    ……いいなあ、FLU40。行きたかったなあ(まだしつこく言ってます)。


  12. 「みんなの共有財をつくるためのプラットフォームをデザインして」杉浦裕樹さん(ヨコハマ経済新聞、横浜コミュニティデザイン・ラボ)
    大学時代は脳内神経化学専攻、であったが、大卒後舞台監督に。
    地域商店会の「仕掛け」に協力→今に至る
    ・地域SNS立ち上げ
    ・過去の写真のアーカイブ(CCライセンス)
    今後のヨコハマ経済新聞:イベント情報などへのひも付けとともに「本」に関係する知識とのひも付けも。

    【私の感想】
    図書館総合展の関係からか今回の登壇者が図書館情報学系・情報学系に偏っていた中、数少ない別分野=マスコミ関係の方でした。こういう他分野の方のお話が訊けるのは、やはりARGカフェならではです。

《岡本さんのまとめ》

  • 今回の登壇者:飲み会で口説いた人も。
  • 逆に3名ほど再登壇の方は遠慮いただいて申し訳なかった。
  • 『丸善ライブラリーニュース』7・8号に執筆しているのでよろしく。
    今回は佐藤翔さん、井上真琴さんも執筆。
  • 「本のある時間」:慶応の先生と岡本さんのコラボ
  • WebDBフォーラム:長尾館長、百度・井上社長(元・ヤフー)も参加

第2部:ARGフェスト
 昨年と同様、関内82ALE HOUSEでの開催でした。
 ライトニングトーク登壇者の方とももちろんお話ししましたが、それ以外の方ともたくさん出会い、お話しすることができました。ネットでお名前だけお見かけしていた方ともリアルにお会いして、日頃暴言を吐いている自分としては結構恐縮しまくったりして。
 でも、後から名簿を読み返すと、あの方にも、この方にも、全然話しかけられなかった!と後悔しまくりです。これは次の機会に賭けるしかあるまい、と思いましたが、でも次回のARGカフェ会場って確かつくば……。自分は地元なので不測の事態が起こらない限りは何とかなりそうだけど、いくらTXが開通して数年経ったとは云え、東京や他の地方からの「遠い」イメージがなかなか払拭できないこの地。果たして皆さんいらしていただけるのだろうか?と、主催者でも何でもないのに大きなお世話でちょっと心配ではあります。

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