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2010年2月

2010.02.15

第7回ARGカフェ&フェストLT感想

 記憶が少しでも新しいうちに、第7回ARGカフェ&フェストのライトニング・トーク(LT)の感想を記しておくことにしました。

 なお、今回、自分もトークする立場だったこともあって、あまりしっかり中身を聴けていません。以下、基本一言感想です。

岡部晋典さん(筑波大学 大学院 図書館情報メディア研究科)
「博士のタマゴの異常かもしれない愛情:また私は如何にして心配するのを止めて図書館情報学を愛するようになったか」

 LTトップバッターは筑波大院生の岡部さん。
 ペプシNEX族は佐藤さんだけだと思っていましたが、岡部さんもそうだったと判明いたしました。
「LIS(Library and Information Science)は少なくとも生き残れる確率が他の学術分野より高い」
と嘯かれながら、博士課程のうちから将来、特に司書課程改訂に向けて生き残る(さぶぁいぶする)準備をしよう、と、LIS研究の道を選んだ若人の励みになるようなお話しをされていました。もちろん現実の図書館界には重たい問題も山ほど横たわっていますが、重たいものを片付けるにはやはりポジティブな基礎体力は必要だなあ、と思うのです。
 なお、岡部さんについてはTwitterなどのご発言を拝読して、聡明で働き者、ちょっと皮肉屋でいらっしゃるけどやや繊細、男女問わず後輩に慕われて……というイメージを勝手に抱いておりましたが、当日ご本人を拝見して概ね間違っていなかったと確信しております(笑)。

佐藤翔さん(筑波大学 大学院 図書館情報メディア研究科/ブログ「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」)
「大学生・院生にとってのブログによる学術コミュニケーションの可能性 pt.2:実践報告編」

 今や図書館情報学ブログ=佐藤さんのブログと言っても過言ではないぐらいの有名ブログ(参照)。私自身もブログの一読者としてこの2、3年間リアルに見届けてきたことが、今回のLTの5分間に凝縮されていました。
 つまり「ブログを業績につなげる」ということ。ブログから発信した学術的内容がNDLのCAに掲載→業界誌(『薬学図書館』等)への掲載→研究者人脈の拡がり→メディアへの紹介、といった一連の流れです。
 コツは実名・連絡先明記。そしてこれはリスクより利が大きい、とのこと。この「実名明記」は後の質疑応答コーナーで少し議論になりましたが、本当にその人の所属組織や職種、師匠や上司の価値観にもより異なる、と、一応実名を名乗っていない立場からは思っております。ただ、一方で研究者については、研究者が全員ブログを書かなきゃいけないというわけではないけれど、研究と無関係なネガコメ等をしない限りは少なくとも名前を売り込むためのツールとしては有効であるとも考えています。

木川田朱美さん(筑波大学 大学院 図書館情報メディア研究科)
「存在を消される資料たち-NDLエロ本納本調査から考えたこと」

 オシャレな装いの可愛らしい雰囲気の女性。しかしエロ本のNDLへの納本実態の研究では今や第一人者。とてもここでは書けないようなエロ漫画を研究対象として語れる冷静さ。なのに語り口はひたすら謙虚。……良かったです(^_^)。
 これらエロ本には、出版後時間が経ってから納本されるものももちろんありますが、納本されない本は将来的に「存在しない本」になってしまう恐れがある、という言葉にハッといたしました。個人的にはNDLの場合は「公開先を選ばなければならない本≠所蔵してはならない本」にして欲しくないと思っています。

吉田光男さん(筑波大学 大学院 システム情報工学研究科/CEEK.JP)
「IRLib.net-機関リポジトリ横断検索システムの試作」

 表題となっている“IRLib”について、システム完成が当日に間に合わなかったということですが、土下座はしない、何故ならLTはあくまでイントロダクションであるから、という態度が大変清々しかったです(^_^)。
 機関リポジトリの横断検索システムを作成するには、これまでは著作権法が壁になっていましたが、今度の法改正で壁が崩れたそうです。

岡瑞起さん(東京大学 知の構造化センター)
「Augmented Campus-拡張するキャンパス構想」

 ……ごめんなさい。自分の発表前で緊張していてあまり良く聴けておりません。
 実際に多摩美などの大学図書館という場を用いてのワークショップ等をTwitterなども活用してバーチャルに拡張していく、というそういうお話だったと思います。

MIZUKI(@waterperiod)(日々記-へっぽこライブラリアンの日常-)
「元・公務員ジェネラリストはどう生きるべきか?-かつて司書だった筈のシステム屋の呟き」

 自分の発表なので内容は省略します。前の記事でスライド(特別編集版)を公開していますのでよろしければどうぞ。

常川真央さん(筑波大学 図書館情報メディア研究科/株式会社しずくラボ)
「電子書籍時代の図書館の財産とは何か?-Shizuku2.0の発表に代えて」

 しずくラボ最高研究所戦略責任者(笑)の常川さんから、図書館システムShizuku2.0についての発表でした。
 はなから到底5分で語り尽くせるような内容ではないと思いますので、LTについては何も申しません。1日も早いShizuku2.0の正式一般公開を待ちたいと思います。

矢代寿寛さん(総合研究大学院大学 複合科学研究科 情報学専攻)
「図書館情報学若手の会と図書館情報学苦手の会と図書館苦手の会が必要」(仮題)

 表題を見た時は「何のダジャレだろう?」と見当も付きませんでしたが、
  図書館情報学若手の会:当然必要
  図書館情報学苦手の会:それはARGカフェ
  図書館苦手の会:良くある「図書館友の会」じゃなくこういうのがあっても良い
 ということでした。特に3つ目についてはなるほど!と思います。どこかに愛があるからこそのツッコミは、節度と分別あるものに限れば図書館側で受けて立つ場があるのは悪くないです。

李明喜さん(matt/pingpongプロジェクト)
「デザインから考える図書館の今、これから」

 デザイナー目線から考える様々な図書館の姿を提示してくださいました。
 リアル・ロングテール型、物流センター型(amazonとかの)、クラウド型、と言ったものですが、自分の印象に残ったのは「どこでも図書館」なクラウド型辺りです。
 私はとってもしょぼい理解しかしていませんので、代わりにTwitterで教えていただいたこっちのリンクを。

 メルマガ「週刊ビジスタニュース」2010.01.20配信分(ソフトバンククリエイティブ)

三津石智巳さん(筑波大学 知識情報・図書館学類)
「ラーニング・コモンズ@筑波大学は電子図書館の夢をみるか」

 筑波大学附属図書館に設けられた今大学図書館で流行りの(?)ラーニング・コモンズに学生として積極的にコミットしているというお話。学類3年というのはこれまでのLT参加者でも多分最年少ではないでしょうか?
 ラーニング・コモンズにはファンが必要である。何故なら利用者はほとんどリピーターであり、先輩方と語り合い学習相談できる場の魅力を感じているから、だそうです。そう言えば学生の頃、図書館で勉強してると顔を出してくれる先輩が時にウザいと思ったこともあるけど、ありがたい時が結構多かったなあ、と思い出しました。

竹本和彰さん(DevLOVE)
「DevLOVEでの取り組みの紹介」(仮題)

 昼はソフトウェア開発、夜は社内図書館を作る活動や本に関わるサービスの開発などに関わられている方からの、“DevLOVE”への取り組みのお話でした。
 システム開発系の勉強会は他にもあるかと思いますが、サイトを見る限りは若い人が中心に見えるのに何だか昔の「草の根情報交換サイト(or BBS)」の匂いがして結構楽しそうです。

遠藤元泰さん(前橋市清里公民館図書室)
「非情勤司書という行き方」

 トリは勤務先の市立図書館が来年度から指定管理者による運営に切り替えられる「不良司書」さんの発表でした。
 切り替えが確定した時には「目の前真っ白」になられたそうです。自分の給料は確かに指定管理者よりも高い、それに公務員である以上別部署に異動しての仕事は保証されている、と一公務員としては納得しても、司書としての未練は残る。そこで研修での岡本さんのご指導がきっかけで設置したブログを書き活用することにした、というのが今回のお話の骨子でした。
 詳しい内容はこちらのブログにも掲載されていますが、いや、暗い重い話題になって何の不思議もない内容なのに、ご本人の飄々とユーモラスな語り口も手伝って、大変面白く聴かせていただきました。人と出会うこと、また、押し寄せる波風に負けることなくメッセージを送り続けて行くことの大事さを改めて心に刻んだ次第です。

 あと、おまけLTとして慶應義塾大学の原田先生&田辺先生からの“Project Next-L”に関する情勢報告もありました。国立国会図書館とのEnju関係でのコラボの発表については結構衝撃が走った模様です。

 最後の質疑応答討論コーナーでもいくつかの話題提起があり、そちらでは何も発言はできなかったものの結構考えさせられ、未だに考えていたりするわけですが、今日はそれについて語るには力尽きてしまいましたので、また書けたら書くことにします。

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2010.02.14

第7回ARGカフェ&フェストLTデビュー、その顛末

 昨日は第7回ARGカフェ&フェストに参加してまいりました。ついでにライトニングトーク(LT)デビューもしてきました。
 LTの発表原稿はPowerPointで作成したのですが、前々回ぐらいにスケッチブックを使って発表された方がいたということでしたので、柳の下に泥鰌で自分もB4判のスケブを使って紙芝居形式で発表することにしました。ところがこれが大失敗。会場が広い&人数が多すぎて、後席の方には原稿の内容が視認できないという結果に終わってしまいました。
 スポットライト等があればもう少し明るくて見えやすかったのかも知れませんが、通常のOA照明だけではきついものがあります。……と書いてしまうと会場にいちゃもんつけているように読めてしまいますが、決してそんなことはありません。人数が増えても、会場がどんな状況でも対応できるようにしておかなかったのが全ての敗因だったと思っております。第二部では主催者様のご厚意により、コピー資料を配付させていただきましたが、第一部のみの参加でいらした方には本当に申し訳ないことをしてしまいました。
 自分的には、第二部で風邪薬を飲んでる身なのにビールが美味しそうだったのでつい1杯だけいただいたところ、脳貧血を起こして会の半分以上を無駄にする(またかよ)という悲惨なオチを招いたので、もうああいう席では二度と飲むもんか、と決意したわけですが。でもずっと気になっていた方・気にしてくださっていた方にそれぞれご挨拶することができて、実に宝物度の高い時間を過ごせたと思っています。
 会そのものの感想は、上記のような痛恨の記憶に打ちのめされている上、LTや議論の内容についてもまだもやもやとしてまとまらない所があるので、後で書けたら書くとして、今回は自分のLTの内容について少しフォローしておきます。

 「情報ジェネラルマネージャー」。そんな偉そうなものにそう簡単になれるものではない、というのが本音です。この本音はLT発表以前も現在も変わりありません。何せ人を甘やかすことはできても、どうしても正面切って厳しい言葉を言うことができない上、ぼんやりしていて誰かの洩れや不始末にも自分からは気づかないような人間です。
 でも目指すだけなら誰でもできるじゃないか、と思いました。スペシャリストになり損ねた自分のこと、もしかしたら普通のジェネラリストのまま終わるかも知れませんが、一段だけでも階段を昇るために目指したっていいじゃないか、と考えたのです。
 というわけで、以下にLTの内容をPDFで上げておきますので、興味のある方はどうぞご笑覧を。

PDFファイルをダウンロード

 なお、都合により、ファイルの内容は実際にLTで発表したものとは一部変えてあります。ご了承ください。

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2010.02.11

妄想文車

 今更ながら「書物蔵」の文車(ふぐるま)について取り上げたエントリを拝読いたしました。かつて文車というものが存在していたことだけは聞いたことがありましたが、専らブックトラック的なものを想像していました。しかし上記のエントリやWikipediaの記述に拠れば、屋外用文車というのが存在したそうで。貴族の所有する蔵書・文書類のうち、日常的に持ち運んで利用するものや、災害発生時に緊急避難させる必要のあるものが積まれていたということを初めて知りました。でも停めっぱなしにして車輪のメンテナンスが悪かったり、何せ平安時代で動力も人や牛ぐらいしかおらず、しかも大規模災害時に大型車両がスムーズに移動できるわけもなく、防災用途にはあまり役立っていなかったようですが。

 で、文車こそブックモビルの起源だ、という書物奉行さんの記述から、自分的にはもう果てしなく妄想が広がっております。
 例えばある手広く事業を手がけている企業の、屋根付きで温度・湿度が書物保存に最適なように調整された駐車場(というより車両基地)に9台のブックモビルが停められており、1台目にNDC0類、2台目に2類・・・・・・というように1類1台で蔵書が収められている様子など。でも9台が揃って車両基地にいることはなくて、例えば建築関係の仕事だと専門書を積んだ5類と、レファレンス用に0類の計2台のブックモビルが出動するとか。もちろん車内には小さめだけど作り付けの閲覧テーブルと椅子が置いてあり、ついでにコーヒーメーカーと紅茶ポットもあってお茶もできるという。
 しかし、現実的に考えると1台に1類というのはいかにも効率が良くありません。やはり仕事でよく使う本をセレクトして1台に積み込むのが良さそうです。例えばもしその企業がオタク系産業(漫画、アニメ、フィギュア制作等々)を手がけているとしたら、積み込む図書は美術系+マーケティング系と言ったところでしょうか?特に近年の町おこしに萌えを活用、という風潮などを考えると、『町おこしin羽後町』辺りなんて積み込み必須。
 そうすると業務用だけでなく、行った先の街で一般人にも利用開放するというのも良いかも。もちろん資料の複写等は法律の制限上難しいでしょうし、貸出もできないかも知れませんが、資料が欲しい人には購入のための仲介サービスを行うなどしてカバー(六本木ライブラリー方式)。その場合、痛車ならぬ痛ブックモビルで巡回したら楽しそうです。でもそうすると所謂隠れオタクの方が近寄りがたくなり、潜在的需要を掘り起こすのは難しくなりそうなので、あまり暴走したデザインにはできないでしょうね。

 ……妄想が広がりすぎました。少し真面目(?)な話もして終わります。
 そういえば所謂普通の公共図書館で運用されているブックモビルは、多分遍く利用されそうな蔵書をまんべんなくセレクトして積み込んでいるのだと思いますが、これって本当にまんべんなく積み込む必要があるのでしょうか?たまには蔵書のテーマ展示ならぬ「テーマブックモビル」なんていうのもあっても良いんじゃないかな?と思うのです。もっとも、あまり狭いテーマだと冊数が揃わず、苦し紛れのラインナップになってしまいそうですし、普通のまんべんない蔵書を積んだブックモビルの一角にテーマ蔵書コーナーを設けるとか、そういう運用が落としどころになりそうな気がします。私ごときが言わなくても既に実践している図書館はありそうですけど。
 ブックモビルは作成やメンテナンスに経費のかかる特殊車両であり、自治体の財政事情により運行減少・廃止されがちな資産ではありますが、折角「住民コミュニティの中に自ら入り込んでいく」貴重な媒体なのですから、もっと幅広い活用がなされても良いのに、と廃止等の報道を目にする度残念です。そういう意味で、今や「前時代の事例」として見られがちな、ブックモビルだけで図書館を運営していた「移動図書館ひまわり号」はとても良い発想だったと思います。
 そういえば「全国訪問おはなし隊」なんてのもありましたね。あれの大人版を誰かやってくれると良いのに、と大きいお友達としては願ってしまうわけです。今のところは「じてんしゃ図書館」辺りがそれに当たるのでしょうか。企業や個人じゃなくて実際の図書館でこういう試みがあっても良いんじゃないかと思うのです。

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