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2013.12.23

ブックツリーについて思う

はじめに、このブログの筆者は、最先端の技術や考え方、業界の最前線の動向に対する視点や論点というのは持ち合わせておりません。いや、一応目で追いかけていても、それを独自の知見で語るとか、そういうことは全くできない人間です。
ですので、あまりここを読んでも実入りにはならないと思いますが、それでも読んでくださる方、ありがとうございます。

さて、昨今話題の明大のブックツリーの件、Twitterの方にもいくつか駄文を書きまして、更に投稿主さんとも少しだけやり取りさせていただきましたが、色々思う所があります。明大図書館に全く知り合いがいないわけではありませんが、比較的ご縁は薄いのを良いことに、ちょっと語らせていただきます。

まず個人的には、所謂貴重書でなければ、ツリー企画自体は「ダメ」ではないと考えています。本は利用者にサービスするために大事にこそすれ、廃棄すべき時には廃棄するし、過度の神聖視は業務上の妨げになる、という考え方の持ち主なので。
ただ、この学生が忙しい時期に全く利用する可能性がないとは言えない蔵書の排架場所が、ツリーに使われたことで分からなくなるとしたら、それはクレームが来ても仕方ないだろう、と思いました。図書館側で所謂「動きの少ない」本をツリー構成メンバーにセレクトしていたとしても同様です。
あと、積み上げ型でツリーにしなくてもいいじゃないか、とは思いました。本を取り出しづらい形で積んでツリーの構造物にする以外にも、例えば普通の展示棚でツリーっぽく見せるなど、やり方はいくつかありそうです。
もし、明大図書館のTwitterでコメントされているように、本の存在を知って貰うことが目的だったのであれば、書名リストを添えておいて、更に元の書架には代本板等で「12月○日までツリーに展示」とか示しておけば良かったのでは?と思います。
と、考える一方で、「紙の本を笑うものは紙の本に泣け」という考え方も正しいと考えるので、紙の本を大事にしないのは気持ち悪いこと、という考えを全く否定したくもありません。ここは上手く説明しきれない矛盾と揺らぎがあります。

一方、同じ図書館員でも、紙の本、現物が命の分野の人については、ツリーに対して否定的な考え方を持たれる方もいらっしゃるかと思います。これについては、こういう場末のブログへのお返事でなくて良いので、どこかできちんと考え方を伺えたら、と考えています。

そして、この件で、ツリーの是非よりも気になったのは、図書館側と投稿主さんとの意思疎通がどの程度成立していたか?という点でした。
投稿主さんは口頭で意見を呈そうとしましたが、それを図書館側が「意見は投書箱へ」と提示したそうです。

この点について投稿主さんに、
「もし投書していたとすれば、その回答を得る前にTwitterに投稿したのはアンフェアだったのでは?」
というツイートを送りましたが、これ以上は感情論になってしまうので、ということで、残念ながら明確なお返事はいただけませんでした。

図書館員から見ると、利用の不便さよりも書物へのイコン的な思い入れが強すぎるように見えたこと(実際最初の投稿からはそう読めますし、投稿主さんもその思いに個人差があるだろうことは認めていらっしゃいます)、そして、何より口頭でのやり取りで行き違いを生じる可能性を恐れたことからの提示であったと推察されます。

それから、投稿主さん(学生さん)の立場で考えてみると、何となく、学生時代、特に高校生ぐらいまでの間は、「先生や学校の人の言うことは絶対」という雰囲気があって、だから先生や学校の人に「それはちょっと……」と言われたらもう「ダメ」と理解してしまう所もあるのかな、と。
図書館側が学生さんのそこら辺の心理を上手い事酌み取れなかったとしたら、残念な面はあります。

ただ、図書館側としても、基本のバックグラウンドと価値観が異なっている可能性が高い(と判断された)、不特定の匿名の人も含めた相手と徹底的に対話するよりは、無難に撤去するのが大人の判断だろうな、とは思います。だから、明大が公式Twitterでぐだぐだ説明しなかったのは当然でしょう。
繰り返しになりますが、図書館側の考え方を投稿主さんや他の学生さん達に伝えきれないまま、また、何故あの形のツリーが受け入れられなかったのかが検討されないままで撤去されたとしたら、かなり残念です。
また、投稿主さんにも、Twitterという公開の場に写真を投稿して世間の本好きさんの同意を求めることで圧力にするのではなく、ご自身、あるいは他の学生さん達との共同でも良いですので、是非図書館に直接書面で物申していただきたかったな、と思うのです。学生もまた大学という組織の一員であり、かつ図書館の利用者である以上、物を申す権利はあるのですから。あ、個人的にも社会人的にもTwitterは「書面」に入らないと考えています。

ということで、あまり綺麗な結論は出ないのですが。

自分がこの件で最も引っかかり、かつ最も言いたいのは、ブックツリーを作った図書館員は本に対して薄情とも見えますが、必ずしもそういうわけでもないので、
「図書館員“なのに”本を大事にしない」
というステレオタイプな見方でなく、もっと多面的に見て欲しいし、図書館員は自分達の多面性をもっと語ってもいいんじゃないか?ということです。
あと、所謂「本好き」さんにも、ブックツリーを「本を粗末にするなんてひどい」と受け止める人もいるし、「焼いたり汚したりするわけじゃないから別にいいじゃん」という人もいます。「本好き」にも色々な種類があり、単純ではない、ということは、本に携わる人は常に頭に置いておいても良いと思うのです。

……以上です。いつもいつもエエ加減でまとまりのないオチですみません。

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この忙しい年末にお前は一体何をやっているんだ、と怒られそうですが、 ブックツリー [続きを読む]

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