2008.05.11

久世番子『番線』

 少し前に購入した、久世番子さんの『番線』をようやく読了しました。番線というのは書店で発注等に使われる「書店の識別コード」の業界用語だそうで、元書店員番子さんらしいネーミングです。「元」と書いたのは、これを書く前にWikipediaで番子さんの項目に当たった所、既に書店員は辞められているという記述があったからです。少し残念ではあるけれど、本業に専念できるのは幸せなことであるとも思います。
 表紙を開いた瞬間、口絵イラストの布団に横たわる番子さんの図のインパクトが強烈でした。きちんと書棚があることを除けば、自分の寝室にそっくりだったからです。読みかけの雑誌、漫画、文庫本、演劇パンフ:-)やらを枕元に貯めこみ、しかもそれらをなかなか片づけられず、ドレッサーの椅子の上にまで積み上がっていっている体たらくなので、家族から「営巣」と呼ばれています。多分、番子さんは「本好き」だけでなく「読書家」でもあると思うのですが、「読書家」にコンプレックスを抱いている人間としては彼女の「本好き」ぶりの方に共感しております。

 一応図書館屋としては、国立国会図書館の前後編ルポを丁寧に読みました。積層書架や火災発生時の消火方法に関する説明を、蔵書保護至上主義という切り口で描いているのが面白いと思いました。確かうちの職場のコンピュータセンターもガス消火だったよな、と思い起こしてみたり。
 あと、蔵書のカバーの脱衣についても触れられてましたが、カバーに奥付が付いている場合は切り抜いて本体に貼り付けるというのは初めて知りました。そう言えば前の職場(うちの職場系列の図書館は大体カバー脱衣後装備方式です)でも同じことをしていたなあ、確か。あ、「爆弾に注意」プレートも笑わしてもらいました(書庫内で出庫にかかる時間を知らせるプレートだそうです)。
 同じ国立国会図書館の修復部門のルポも、自分には縁の薄い分野なので興味深かったです。古文書を「原型を壊さず直すことはもちろん必要があれば元に戻せる方法で補修しています!」に深く頷いたりして。

 この作品における図書館以外にマイツボに入ったキーワード、キーフレーズは、
「もしも私が家を建てたなら(略)壁全面の本棚ぁぁぁ~」
「手動写植機」
「教科書やおい」
「近年のツンデレブームは…文部省の陰謀!!」
「トリックの穴 見つけちゃいました」
「一箱古本市」
あたりでしょうか。

 余談ですが東京創元社の校正課のエピソードである「トリックの穴」の件。仕事関係で学術論文の校正ならやったことがありますけど、その時は用語の統一ぐらいまでなら気づけたものの、流石に実験過程の穴を見つけるレベルには至れなかったです。まあ、それをチェックするために学術論文には査読者というのがいるわけでして。でも見つけられない時は数人がかりでも重大な間違いを見つけられないことというのは本当にあるので、恐ろしいことです。

 『番線』は漫画ですが、本好きさんは結構楽しくいちいち納得しながら読める本かと思います。お勧めです。

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2008.01.19

郷愁の『アーシアン』(2008.1.20追記)

 『ヤッターマン』の新作アニメのOP・EDだけ(ニコ動で)視聴してげんなりしています。新作版を担当したミュージシャンには恨みも何にもありませんが、音楽からして旧作のあの世界観とは違うものが、新作には求められているんだろうと実感しました。でもオバさんは旧作の山本正之先生歌唱版(同じくニコ動で聴けます)の爽快な疾走感と壮大なバカバカしさについ執着してしまうのです。あと、EDはやっぱり三悪でないと。三悪に、全国の女子高生には見せられない無様さを毎週さらす哀愁は必須だけれど、同情や憐れみを煽るような寂しいEDは要らないです。

 ――さて、もう15年以上も昔に夢中になって読んでいたのに、恐らくは当時の連載誌できちんと完結しなかったという理由から、最終巻が未刊となりそのままになっていた漫画『アーシアン』が、近年完結版としてまず新書判で再版され、更に創美社コミック文庫でも出始めたので、つい1~4巻までまとめ買いしてしまいました。
 前半のストーリーはかなり覚えてましたが、最終話近くのストーリーはほとんど記憶がありません。ただ、文庫4巻は最終話の1本手前で終わっているので、恐らく5巻に最終話の後日譚と番外編(時間軸ではプロローグに該当)が掲載されて完結なのだろう、ということは分かります。

 しかし今になって読んでみると、文庫4巻のラスト4話位でかなり駆け足で強引な展開になっており、細かい設定が破綻している上、絵柄もペンタッチこそ流麗ですが不安定になってしまっています。思えばこの辺から高河ゆんは休載も多くなって、アーシアンの番外編も中断、やがて新書館にも描かなくなり、自分も自然と読まなくなっていったなあ、と思い出しました。同時期に描かれていた『源氏』もフェイドアウトしてしまいましたし。
 自分が高河作品から離れてしまったのは、絵柄が変化して好みではなくなったというのもありますし、元々恋愛至上主義の作品世界も手放しには好きになれなかったというのもあります。これは個人のワガママな好みの問題なので、高河さん自身がどうこうという問題ではありません。
 確かそろそろ文庫5巻が発売された筈。ネット社会の悲しさで、番外編で明かされる登場人物の秘密については既に知ってしまっているのですが、楽しみに読ませていただくことにします。

【2008.1.20追記】
 『アーシアン』の文庫5巻、読みました。最終話の後日譚が載っていましたが、雑誌掲載時に読んだだけなのに意外とコマ割り等覚えていた自分に感心しています。
 前に書いた「プロローグに該当する」話、総司令官ミカエルと双子のルシフェルの物語(秘密の花園5、6)も収録されていました。この話で影艶(主人公の1人)の出生の秘密を匂わすエピソードがあり、副官ラファエルもその事実を知らされているわけですが、後の時代のエピソードにラファエルが秘密に感づく場面があるので矛盾が生じています。高河作品にそういう緻密さはハナから求めてはいませんし、求めてもいけないのだと思いますが、完結編を謳うからにはもうちょっとだけ緻密さを発揮して欲しかったです。とは言え後付け設定も多そうなので、限られたページ数で収拾を付けるのはさぞ大変だっただろうと想像しています。個人的には影艶が託されたのが何故桜侯爵家だったのか知りたかったような気がするのだけれど。
 あと、アーシアンの同人誌発表作品もどうせなら一緒に収録して欲しかったなあ。単に自分が未読ですので。

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2007.08.18

2007年夏の参戦報告

 本日は有明という所でやっている某イベントに出かけてきました。昨日まで、皇后エリザベート(の姉さん)がお見合いをしたバートイシュルの夏並みに暑かったので(本当は行ったことが無いので知りませんが)不安になっておりました。何しろ夏や冬のイベント参加直後に脳貧血を起こしたり、インフルエンザにかかったりという数々の前科を持っている人間ですので。しかも明日は帝劇でマチネを観た後その足で飛行機に乗り南日本へ出張予定ですので、ここで暑さで倒れるわけには参りません。
 まあ、再来週出張に行く時の新幹線の切符と宿もついでに旅行会社に予約してきたいし、イベントは大事だし、と覚悟を決めて一夜明けたら、空は薄曇り、気温は涼しいとまでは行きませんが屋外での生存が可能な程度まで下がっておりました。と言うわけで予定通りお出かけ。
 会場に11:45頃到着しましたが、壁列にも並ばずひたすらまったりお買い物。入手した物を帰宅後に数えたら、もらい物も含めてわずか22冊。開催ごとに購入数が減っているように思います。ちなみに半分以上の中身はミュージカルの劇評やパロディ物です。
 滞在していた2時間半程度の間に、東と西の両地区を訪れましたが、以前は西地区(昔風に言うと西館)のイメージキーワードは「空いている」「空気が澄んでいる」だったのに、今回は西地区もだいぶ人間が詰まり、空気も結構澱んでいたように感じられました。ジャンル配置を工夫する等して、東と西に参加者を上手くばらけさせる努力をしているのでしょうか。
 あと、西館→東館の間にある西地区救護室の向かい側の「レセプションホール」が有料休憩所に設定されていたので、時間があれば使ってみようかな、とも思っておりましたが、実際には時間がかなりテンパってしまったため断念。次回機会があれば是非使ってみたいです。
 会場を出た後は友人一同と汐留まで出て、カレッタ汐留の「台北・点心 鼎泰豐(ディン タイ フォン) [Din Tai Fung]」で小籠包等をいただきました。友人達は他も回ってお茶するとのことでしたが、体力温存を意識してこれにて失礼。
「私、他にも何かすることがあったような?でもセーブセーブ。荷物も重いし」
と秋葉原で本屋を冷やかしただけで素直に帰宅。……で、再来週の出張の切符をすっかり取り忘れていたことが判明(^_^;)。明日早めに出かけて取ろうかな?と思っています。

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2007.03.21

2007年3月20日のこと

 土曜日に出張したので、その分昨日お休みをいただいて少しだけリフレッシュ。
 本日出勤し、前日たまった仕事を片づけ、午後ちょっとした会議に出席してきたところ、前回の会議に出ていなかった方が、これまであまり突っ込みが入らなかったけれど突っ込むと痛いところを直球ストレートで突っ込んできました。それに対して思うところがあったので吠えてみたけれど所詮それは負け犬の遠吠えでしかなく、まだまだ自分は力も器も不足しているのだと恥じ入った次第。会議のテーマ全体から見たらたいしたことではないのかも知れませんし、突っ込まれると反論が難しい内容ではあったとは言え、きちんとした理論で反駁できないのがちいと悔しかったです。あれじゃあ嫌味を言っただけに終わっちゃったじゃないか。

 帰宅してブログやソーシャルブックマークの巡回をしたところ、西原理恵子さんの元旦那様鴨ちゃんの訃報を知りました(MSN毎日インタラクティブ記事)。サイバラさんと復縁されているという話は聞いていましたが、そういうことだったのか、と思い至り、『毎日かあさん』等のマンガのキャラクターとしても登場しているお子さん達の顔(もちろんマンガの)が脳裏に浮かんで胸がつぶれる思いに。でも鴨ちゃん自身は色々な苦しみから解放されたのだろうか、とそれだけは救いです。所詮何を言ってみても一読者の気休めに過ぎないのだけれど。

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2007.03.07

『地球へ…』TVアニメ化

 スラッシュドットジャパンの記事で、『地球へ…』がこの4月7日からTVアニメ化されることを知りました。竹宮さんの作品とはどうも縁が薄くて、『風と木の詩』を全部通して読んだこともなく、『地球へ…』は原作も昔の映画版も観たことがございません。24年組ではどちらかと申しますと萩尾さんの絵の方が端正で好みです。でも何故か『変奏曲』は愛蔵版で持っているという謎。
 アニメの公式サイトを見る限り、キャラデザがあまり竹宮さんの絵には似ていない感じなので、門外漢としては却って馴染みやすくなるかも知れません。ただ、放送時刻が毎週土曜18時ですか。観劇で上京していたり、仕事関係で外出していたりする確率が非常に高そうな時間帯です。そんなわけでとりあえず「忘れなかったら観る」程度のスタンスにしておこうかと考えております。まあ、第1回ぐらいは録画してみようかな……。

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2007.01.13

1年の計?

 今年の元旦~2日にかけて帰省した際、往復の道すがら書店に寄って購入したのはこんな本でした。

 (元旦購入分)
 となりの801ちゃん / 小島 アジコ著. 宙出版 (2006.12)
 (2日購入分)
 辣韮の皮 1 / 阿部川 キネコ著. ワニブックス (2002.2)
 辣韮の皮 2 辣韮の皮 3 辣韮の皮 4
 シャアへの鎮魂歌 / 池田 秀一著. ワニブックス (2007.1)

 文章本でもマンガでも読むのが遅いので、やっと『辣韮の皮』以外を読了したところです。『801ちゃん』は28歳の男性から見た所謂「腐女子」の彼女とのおつきあいを、下書きっぽい4コママンガ形式で描いたもの。現在もブログで連載されています。読んでると作者も十分オタクなのだけど、それでも腐女子ってやはり違う生き物に見えるんだなあ、と不思議。801ちゃんは……色々な意味で若いなあ、と思いました。
 池田さんの御本は、書店で偶然見かけて衝動買い。内容は、「シャアとわたくし」(笑)でした。ガンダムつながりだけど流石に元の奥様のことは書かれていないのね、と思う自分の汚れ加減はどうかと思いつつ、池田さんが旧Zガンダムでのシャアの情けない扱いに違和感を抱いていたが新作Zを演じることで気持ちに折り合いを付けることができた、というくだり等を興味深く読ませていただきました。鈴置さんや井上瑤さんとのエピソードが泣けます。あと、エピソードの端々から見える池田さんの酒豪っぷりが微笑ましいです。

 そして『辣韮の皮』。地方の高校の漫研メンバーの暴走するオタクな青春を描いた4コママンガです。ずっと前から気にはなっていたのですが、2日に非常につまらないことで機嫌を悪くしていたこともあり、八つ当たり的に1~4巻を一挙購入してしまいました。実際は5巻まで出ているようですが、そこの書店にはなかったので未購入です。
 日常の合間合間に細切れで読んでいるので、ようやく2巻まで読了。彼らの高校生活は、自分がその年頃に「こんな生活してみたい」と思っていた暮らしそのもの。つまり、この年齢になって振り返るととてもイタタな感じなのだけど、その痛さ加減が絶妙で面白いのです。しかも、ごく断片的には彼らに類した生活を送っていたので、懐かしさもこれまたあったりして。で、月刊誌連載でコミックスが5巻まで出ているということは、若い読者層にもそれなりに受けて長期連載されているということなんでしょうね、これ。連載誌まで追いかける根性はありませんが、続きを読むのが楽しみなマンガが1つ増えました。

 これから1年、こうしてまたずるずるとはまり物が増えていくのでしょうか……。

(追記)
 ところで筆者、『辣韮の皮』2巻の年越し名作上映会で出てきた特撮ドラマ『緊急指令10-4・10-10』、リアルタイムで見た記憶があります。物心ついたばかりの頃だったので、内容まではほとんど覚えてませんけれど、円谷プロ制作だったと今回初めて知りました。30年以上記憶の奥底に封印されていたのに、このマンガのせいで無性に見てみたくなっております。どうしてくれよう。

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2006.10.01

米沢代表のご退任、そして訃報

 今朝方知った以下のニュース。

 米沢嘉博の代表の退任と新しい共同代表の就任について(コミックマーケット準備会)

 へぇ、米沢代表がついにねえ……としばし呆然。気を取り直し、早くまた復活して名誉代表とかでお元気な姿を見せていただきたいものだわ、と思っていたところへ、以下の続報が。

 訃報:米澤嘉博さん53歳=漫画評論家、コミケット社長-訃報:MSN毎日インタラクティブ
 asahi.com:マンガ評論家の米沢嘉博さん死去 コミケ代表長く務める - おくやみ

 現在アクセスが集中しているのか、サーバが重くて実際のページを見られないものの、コミックマーケット準備会のページにも訃報が伝えられているようなので、まごうことなき事実なのでしょうけれど、それでも信じたくないです。コミケにとって、ある意味近年亡くなられたイワエモン氏以上に「そこにいて当たり前」だった方が、こんなに早く遠くへ行かれてしまうとは。しかも死因はイワエモン氏と同じ肺ガンとのこと。何か因縁めいたものを感じてしまいます。

 自分のような末端の参加者ですらこんなに衝撃を受けているのですから、準備会の方の動揺はいかばかりかとお察しいたします。今はただ、ご冥福をお祈りするばかりです。

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2006.08.20

『真面目な人には裏がある』批判について

 ただいま夏休み中です。当初遠くへの家族旅行をもくろんでいましたが諸般の事情でそれは叶わなかったので、取りあえず近場に避暑の宿を予約し、後2時間ほどで出発予定です。帰宅は明後日になります。

 さて、川原泉さんのマンガ『真面目な人には裏がある』(『レナード現象には理由がある』所載)について、同性愛者の描写に偏見があるとする批判が起きていることを知りました。
 昔々のちびくろ・さんぼ論争の時にも感じたのですが、こういう問題は相手が「差別・偏見の対象になった」と感じてしまったらそれはもう、対象でない(と思ってる)人が違うと考えても「差別」「偏見」として認められてしまうのだと思います。
 実際、例えば主人公とその親友が、クラスメイトの少年にホモ測定の悪戯を仕掛ける場面や、主人公の兄のゲイパートナーである青年(クラスメイトの少年の兄)の作中「バシリスク」と呼称される過激な性格設定は、カーラ教授、ちょっとやりすぎたかも知れません。

 ただ、1点気になったのは、問題の批判を書かれている方はご自身の性的マイノリティを穏やかながらきちんと前に出して主張されているということ。一方で、『真面目な人には』のゲイカップルはかなり両極端。片方は過剰なまでに強引に自らの志向をマジョリティな人たち(主に自分や相手の家族)に主張して丸め込もうとし、もう片方は多分初めから自分の志向がマジョリティに理解されることを諦めています(ある意味乗り越えているような気もする)。つまり、後者のカップルには「中庸」というのが存在しないわけです。
 この辺の設定が、性的マイノリティを「異形」ではなく数ある性格や志向の一つとして包み隠さず認めてもらった上で穏やかにありふれた生活を送りたい人達には、うんざりするものでしかないんだろうな、と思います。そして、マイノリティに対して比較的平らかな視点を持っていると信じていたカーラ教授の作品で、性的マイノリティをおちょくるような描写が現れたことは許されないのでしょう。
 このあたり、自分は少なくとも性的にはマイノリティではないので(他にマイノリティな所は山ほど持っていると自負してますけど)、あくまで想像でしかありませんが。

 本音を言えば、あのバシリスク氏の強引さに隠された内面とか、主人公の兄のどこがバシリスク氏を惹きつけたのかとか、また主人公の菩薩のような性格の兄がバシリスク氏を選んだ経緯とか、あの作品で直接描かれていない物語を読んでみたい気持ちはあります。決して川原作品に限って、本当に「ゲイの側が家族からあんなにひどい仕打ちをされてもほとんど怒りも悲しみもしない」ということはないと思うので。
 でも、カーラ教授にそれを描くことは求めません。だって正面切った恋愛物はお得意じゃないだろうし。そもそもあの方の絵柄でベタな恋愛描写は読みたくないですし(暴言?)。

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2006.08.16

夏の大イベント参戦

 8/12は、今回で70回目を迎えた某イベントに参加してきました。
 前夜は翌朝の早起きに備えてノー残業で帰宅するつもり、だったのが、想定外に仕事が押してしまい、結局睡眠時間3時間で参加することに。
 友人Aさんの要請を受け、十数年ぶりに売り子及び買い物要員としての参加でしたが、とにかく会場は暑く、かつ熱かったです。途中14時頃、激しい雷雨が降り出しました。雨という予報だったので、おー、すごいなー、位にしか感じておりませんでしたが、宅配便屋さんには想定外の大降りだったらしく、午後というかき入れ時の時間帯に荷物発送受付が1時間近く中断。さらにクロネコさんは館内放送によれば「資材冠水」、つまり段ボールが冠水してしまったらしく、ペリカンさんより受付再開で大幅に後れを取っていました。うちのスペースは幸いにも本日送る荷物は全くなかったので閉会直後には撤収することができましたが、帰り際に見ると、まだまだ列は途切れることがないように見えました。

 会場の喧噪を抜け出して友人達と新橋の中国茶店で美味しい豆入りかき氷をいただき、続けてとある沖縄居酒屋に入ったのですが、睡眠不足と暑さがたたったのか軽い脳貧血状態に陥り、ほとんど食事を口に出来ないまま無念のリタイヤと相成りました。

 何とか電車を乗り継いで帰宅し落ち着いた頃、連れ合いから、某映像ネット配信掲示板に、恐らくはフジテレビの8/11あたりの夕方のニュースの映像と思われる、
「3日間で41万人?真夏のイベントに大集結」
というのが公開されていると聞かされ、早速視聴。
 定番の最寄り駅にあふれる群衆や会場内を走る人々の映像の他、塾通いに忙しい娘の為に仕事を休み、某同人ベテランのプロ作家さんの壁サークルに行列するお母さまのエピソードが紹介されていました。同じ年頃の自分であれば、親に自らの心の闇や煩悩をさらけ出すぐらいなら塾で泣く方を選んだだろう、と思いを馳せるうち、ニュースは何故か同人誌の著作権の話に移り変わっておりました。

 そして、「無断引用は著作権法違反」とのテロップとともに、識者のこんなコメントが。
「漫画家の人や出版社からすればそのパロディが作られるというのは、ある種それだけ人気があると…。それが今度あまりにも有名になってしまったりあるいはそれがビジネスになっていったりするとそれが今度は許せない」
 さらにこんなテロップ。
「同人誌はあくまで個人作製のためオリジナルの引用などは許可なしがほとんど」
「同人誌は非営利のため、出版社は著作権侵害を黙認しているのが現状」
 ……あのー、だから「無断引用」自体は、引用であることが明確になっていれば別に著作権法違反じゃないんですけど。また、同人誌が個人利用であるか営利目的であるかと、著作権法違反であるかも関係ないはず。確かにマンガの場合は1つの作品のどの部分までが「引用」として認められるのか?などの問題はありますが、そもそも同人誌と著作権には他にも様々な問題――例えば思いつくところでは芸能サークルでの歌詞掲載や、著作権ではないけど肖像権の問題等々――が横たわっているのだから、中途半端な味付け程度に著作権に言及して同人誌にマイナスイメージを持たせる位なら、取り上げないで欲しかった、と心底思いました。

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2006.02.08

『長い長いさんぽ』

長い長いさんぽ
須藤 真澄著

 作者である須藤さんの昨年他界した最愛のねこ「ゆず」。ゆずの一周忌である2006年1月16日に発売された(注:奥付の発行日とは異なります)この本には、彼の生前の近況を報告した短編数作と、その死に至る経緯から火葬場までの道行き、弔いまでを描いた表題作、そして新しい子供たちを迎えての後日談が収録されています。
 16年間共に暮らしたゆずとの、「最期を看取れなかった」という悔いも大きい別れ。泣き狂い、ゆずの遺体を抱いて眠り、魂に語りかけ、火葬の窯の前で手を叩いてゆずを呼び続ける作者自身の姿の、実に生々しい冷徹な描写に却って涙を誘われている自分がいました。
 火葬後に骨箱から灰と骨を一つ一つ手作業できっちり仕分け、骨のみを入れた骨箱を手元に残し続ける作者たちのこだわりには、もしかしたら賛否両論あるかも知れません。自分ももし同じ状況に置かれても多分ここまではできないだろうと思います。

 ただ、骨箱を庭などに葬らない気持ちだけは論理的な面で分かる気がしました。今後、何かの事情で住む家を替えた場合、今暮らす家に埋葬した子は言ってみれば置いてきぼりになってしまいます。自分も子どもの頃に住んでいた遠隔地にある借り上げ社宅、つまり人ん家の庭の土にペットの鳥を埋めてきましたが、何かの拍子に「あそこにあの子はいる」と思い出すことがあります。
 もっとも、交通の便が良くて訪ねて行きやすい海や山にいわゆる「散骨」をして、ここに来ればいつでも会えるね、と割り切るという方法もあるにはあるわけでして。作者は新しい子猫たちがやってきた今でもきっと、そこまでは割り切れていないのでしょうし、これからも割り切られることがあるのかは疑問です。それが、現世では決して面と向かって対話することのないゆずの魂への、唯一見える形での作者なりの愛情の示し方なのかも、と思いながら本を閉じました。

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2006.01.13

『青色図書館』を読んで

 読書日記1月8日付け記事で紹介されていたコミックス『青色図書館』(林みかせ著, 白泉社)を早速買って読んでみました。

 私設図書館でのアルバイトを始めた高校生の少女とその館長を務める青年を主とする、どこか対人関係に不器用さを抱えた登場人物たちが、本との出会いや小説の執筆など「本の世界」を通じて人との心のつながりを深めていくというのがこの物語の骨子です。
 描く人によっては人間心理を掘り下げすぎて重くなりがちな展開を、柔らかな透過光のような可愛い絵柄でさらりと仕上げていて、これぞ少女マンガ、といった佳編でした。

 図書館関係者は、この作品の比較的重要なシーンでニューアーク式の貸出カード(利用者名が履歴として記載されているカード)が出てきているのを見て、ああまたか、と嘆いてしまうかも知れません。プロの作家でもある館長の同業の友人が、自分の著書が図書館で色々な人に読まれ、かつ修繕もされて大事に扱われていることを知ることにより、作品を読んでもらう至福に目覚めスランプから立ち直っていくという何段階かのエピソードのひとつなのですが、こうしたカードが主な読者である若い世代に「当たり前」と思われると辛いかも、と思う一方、この作品が図書館を人と人との心のつながりの場として設定していることを重視してここは目くじらを立てずにそっとしておきたい、という想いの方が強いです。そこは結構複雑なのであります。

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2005.10.13

『暴れん坊本屋さん』

 この間の日曜日、

 暴れん坊本屋さん 1 / 久世 番子著. 新書館 (2005.10)

を行きつけの書店で購入しました。
 この本は、書店員と少女マンガ家の二足のわらじを履く作者さんによる「実体験をもとに構成されたフィクション」エッセイコミック。先週(確か10/2)の朝日新聞の書評欄に出ていて実に面白そうだったので、書店を数ヶ所ハシゴして探し、買ってしまいました。

 「レジで書店員さんにカバーをかけてもらう時に見られて恥ずかしい口絵はあらかじめカバー折り返しに差し込んでおく」
 「店の隅に人気コミックス全巻が積み上げられている時は、新古書店への転売目的で盗りやすいように用意されているので要注意」

といった書店ウラ豆知識にも含蓄がありますが、図書館屋としてはやはり、同じ本という媒体を扱っている場としての相違点と共通点とに興味を持ちました。

 「本屋さんのたのしい一日」のエピソードに見られるように、書店にとって「本」とは版元から取次経由でやってきてお客さんの手元に渡るなり、売れ残れば返品されるなりする(買い切り本は別)、言ってみれば「この場を通過していくもの」「店に直接的利益をもたらすもの」であり、そうした点で図書館とは異なります。しかし、

  • 販促のために独自に作家やテーマフェアを組む、手書きPOPを作るなどの作戦を実施する
  • 陳列方法を工夫する
  • お客のうろ覚え・勘違いを頼りに正しい書名・著者名をたどる
  • マナーの悪い客(問題利用者)と戦う

など、来店(来館)者が心地よく滞りなく本を選べる場を整え、商品を積極的に手に取ってもらい、できれば買って(借りて)いただくための苦心談やノウハウには、サービス業として学ぶべき面がかなりあると思いました。

 ・・・と、真面目に書いてみましたが、この作品、連載誌が『ウィングス』等のマニア向け少女マンガ誌なので、ほどほどに散りばめられたBL(British LibraryではなくBoys Love)ネタやその他のオタク臭のするネタが楽しいです。BL好きの店員さんが自分の好みをねじ曲げ客層に合わせて組んだはずのBLフェアが―のエピソードは泣けます。
 そうした意味で、個人的には第11刷(注.話数)の「抜いては入れて」がツボでした。職場できつきつの書架から本を出し入れする時に、あの無意味なインサートカットを脳裏に浮かべながら口ずさんでしまいそうです。

 最後に告白しますと、朝日の書評でも引用されていた「新聞に載ってたアレないか?」を、書店員さんの前で口には出さなかったものの筆者もやってしまいました(^^;)。書店の平台で現物を見つけたその時までとうとう正確な書名を思い出すことはできませんでした。番子先生ごめんなさい。

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2005.08.20

BS2ガンダム映画一挙放映

NHK BS2で昨夜19:30から9時間半ガンダムスペシャルというのをやっています。これを見るために19:00過ぎにはシャワーを浴びて、夕食も済ませてスタンバイ。映画第1作を見終わり、富野監督インタビューが始まったあたりで眠気に耐えられなくなり、その後『哀・戦士』の半分を過ぎた辺りまで仮眠しました(深夜1:30頃帰宅した連れ合いからは「何ともったいない」と嘆かれましたが)。
そしてもうすぐ5:00。『めぐりあい宇宙』放映中です。映画はラストにさしかかりつつあります。実はガンダムを初めて見たのは20代の頃でした。筆者はファーストの本放送放映時には小学校中学年という微妙な年齢でしたが、一人いる兄はガンダム世代に該当するので、もっとなじみがあっても良かった筈です。しかし兄がはまっていたのはガンプラではなくウォーターラインシリーズなどの戦艦・巡洋艦・駆逐艦などのプラモ。ガンプラは小学校の同じクラスの男子が夢中になってなんか作ってるなあ、という程度の認識しかなく、女子の興味はと言えばアイドルやファッション・アイテム。従ってアニメの面白さを教えてくれる人は誰もいませんでした。
筆者にマンガ・アニメ好きの友人ができたのは高校生になってからのことで、その中ではガンダムは既に当然のディープな知識として身につけているべきものだったので、今更誰に尋ねることもできず。最初に映画版を見たのがいつなのかは記憶があいまいですが、たぶん、細かい場面を掘り下げて見るようになったのは、就職後につきあい始めた今の連れ合いがガンダム好きだったのがきっかけでしょう。ところがその頃には、『アニパロコミック』などで既に名場面を定番ギャグとして知ってしまっており、ガンダムのストーリーに純粋な心で感動できなくなっていたのでした。できれば、10代の頃にララァと一緒に時を見ていたかった。「帰る場所がある」ことのすばらしさを味わいたかった。そしてシャアの一挙一動にミーハーにはまっていたかった(^o^)。そう思うとかなり悔しいものがあります。

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2005.08.14

夏コミ参加レポート

土曜の朝からバスに乗って上京したのは昨日書いたとおりですが、出かけた目的のひとつは「コミックマーケット68」への参加。もうひとつについては次のエントリにて。

朝9:30過ぎの高速バスで出発し、11:40頃東京ビッグサイトに到着しましたが、入場制限も特になくスムーズに入場できました。東ホールで目当てのジャンル(主にジャンプ系。アイシールド21、ヒカルの碁, etc.)を廻って買い物した後、一旦西ホールに出向き、ネタとして『ケロロ軍曹』の18禁本を購入。企業ブースも歩いてみましたが、あまりの人の多さと行列の長さに、冷やかしでもここに居たくないというげんなり感を覚え、速攻でその場を立ち去ることを選びました。再び東ホールに戻り、やはりネタとしてインフォメーションカウンターで『コミックマーケット30'sファイル 1975-2005』を購入した後、14時頃に友人と合流。その後の予定もあり、15時には会場を後にしました。当日は夜に東京湾大華火祭が開催予定で混雑が予測されたため、やはり閉会を待たず早々に店じまいする方が多かったようです。

さて、ネタ購入の2冊。前者は買ったまでは良かったですが、登場人物がケロン人のみ(!)にもかかわらず意外やの過激な内容に各ページを正視できない自分を、黒いコウモリの羽が生えたもう一人の自分が「度胸ないなあ」と見下ろしている状態です。
後者は2005年3月に開催された「コミケットスペシャル4」の際に発行されたコミケット30周年記念誌。掲載されている各回の開催記録を見て、さて自分が初めて参加したのはいつ頃だったか?と記憶と照らし合わせてみました。恐らくコミケット34(1988年8月13―14日)あたりが最初と思われますが、やや記憶があいまいです。そこで1988年の暮れから6年間程つけていた日記を読み返したところ、コミケット36(1989年8月13―14日)の1日目にサークル参加したとの記述が見つかりました。確かに当時銀英伝にはまり、大学の友人たちと合同誌を作って売りに行ったと思い出しました。日記によると、次の37(1989年12月23―24日;幕張開催時代の第1回)でも同じ本の売り子をしていたようです。その後の参加動向について追いかけるには日記の文面があまりに痛すぎて耐えられなかったので中止しました。恐らく38回以降しばらく飛び飛びの参加になり、再びコンスタントに参加するようになったのはここ5、6年のことだと思います。もちろん一般参加です。

・・・話がそれました。『30'sファイル』は流石30周年記念誌だけあって、米沢代表や当時を知る大手サークル作家たちの証言の他、30周年アンケート集計結果、全取材記事リストなど、読むところが多いです。資料的価値も高いのではないでしょうか。本当は国立国会図書館(NDL)や、マンガ学ひいては社会学関係の研究を行っているような大学の図書館に納本あるいは寄贈されていれば、と思うのですが、現在のところそうした館には納められていないようです。基本的にはコミケットスペシャル4の参加者への配付資料であり、残部を通常のコミケ会場でも売っているに過ぎないのでやむを得ないとは思うのですが、このまま埋もれさせるには惜しいです。

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2005.07.31

四角いところをまるく掃け(ケロッ!とマーチより)

 前の記事にも少し書きましたが、ここのところ『ケロロ軍曹』にはまっております。
 発端は2週間前。わが家を訪れた連れ合いの友人が持ってきたアニメDVDがきっかけでした。
 ストーリーの骨格は、地球侵略に来たはずのカエル型異星人(ケロン人)がいろいろあって地球人の家庭に居候することになり、おかしな侵略作戦を繰り広げるなどして毎回騒動を巻き起こす・・・というものですが、内容の中心をなしているのはガンプラ話や1980年~90年代アニメのパロディ。体裁は小・中学生向けマンガ(アニメ)なのに、ストーリーの小道具の元ネタがどう見ても30歳代半ば以上向けというのがアンバランスで面白いと思いました。女性キャラがビジュアル的に可愛い(美しい)だけでなく、次々巻き起こされる異常事態に堂々と渡り合える強かさを持ち合わせているのも良いです。(参考:ケロロ軍曹 - Wikipedia
 というわけで、通常版コミックス既刊10巻を一気買いする勇気はなかったので、とりあえず「特別編集版」(『よりぬきサザエさん』みたいなもの)と称する以下の3冊を購入してしまいました。

ケロロ軍曹 Green / 吉崎 観音. 角川書店, 2004.3
ケロロ軍曹 Red / 吉崎 観音. 角川書店, 2004.3
ケロロ軍曹 Pink / 吉崎 観音. 角川書店, 2004.3

 そして、アニメは毎回録画開始(昨年度放映の第1期の方が面白かったという話ですが、そこそこ楽しめます)、通勤BGMは第1期主題歌「ケロッ!とマーチ」をリピート再生、という日々が続いてしまっております。また朝の半出勤拒否的なけだるい気分に気合いを入れるのにぴったりなリズムなのです、これが。

 ここのブログを使って図書館の話やら趣味の話やらをごっちゃに語っているので、分離した方が良いのかも?とたまに思うこともあります。しかし図書館も趣味ももはや自分の血肉と化してしまっており、簡単に分けることはできないなあ、というのが現状です。別に分けた場合、複数のIDを管理するのが面倒くさくて嫌、というのもあります(*1)。なので、しばらくは硬軟取り混ぜてここで書いていこうと考えています。(*2)

*1 ぬいぐるみネタだけはやりたいことが別だったのでやむをえず分離しました。
*2 硬い話だけだとネタが続かないという事情もあります。(^_^;)

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2005.06.29

『ぼく地球』続編刊行開始

 日曜日の夕方出かけた書店で見かけ、つい買ってしまいました。

 ボクを包む月の光 1 / 日渡 早紀. 白泉社 (2005.6)

 『花とゆめ』に連載されていた『ぼく地球』こと『ぼくの地球を守って』を夢中で読んだのはそういえば何年前のことでしょうか。確か、高校から大学にかけて頃だったと思います。上のリンクは文庫版に対するものですが、実際に読了したのは最初に出た新書判です。画集も買ってました。アニメにもなっていましたがそちらは未見です。「転生」や「超能力」をモチーフにはしていましたが、つまりは前世の人格に翻弄された輪を初めとする少年少女がアイデンティティを確立するまでの物語だったと筆者は解釈しています。
 というわけで、本編が完結してから約10年もの歳月を経て、続編マンガの第1巻が発売されました。主人公は、前作の主役を務めた輪と亜梨子の息子である7歳になる蓮(レン)。彼は不思議な守護天使2人組に護られていて・・・というお話です。前作の登場人物もそこここに顔を見せ、全編が懐かしさに包まれています。
 以下はネタバレ。マウスで反転してお読みください。

 あの「輪くん」が若々しい父親に成長し、春彦と酒を酌み交わして語り合う姿が見られるとは夢にも思いませんでした。春彦は春彦で、亜梨子への穏やかな想いを秘めながら小林家の良き相談相手に成長していますし。他の皆も、立派に前世を乗り越えたんだなあ、としみじみ。
 あと、気になるのは前作で活躍したエスパー未来路とその娘である日路子(カチコ)の存在です。未来路とEPIAとの関わりについては1997年に発表された『偶然が残すもの』にも登場していますが、ここに登場した人物が日路子の出生に関わっているのか?など謎は山積み。とはいえあくまで主役は蓮なので、どこまで謎が解明されるかはわかりません。
 ところで作中の輪の年齢は23歳(p60の本人発言より)。ということは蓮は、父親16歳、母親25歳の時の子ども。でも男性は18歳にならないと結婚できないのでは?と小さな疑問が。しかしコミックスのp169で、結婚式の写真と赤ん坊の蓮に寄り添う亜梨子の写真とともに、
「オレとありすが結婚して 蓮が生まれて いや・・・順番逆か・・・」
という発言が。ここから推測すると、蓮を妊娠→挙式?→事実婚扱いで結婚生活突入→輪が18歳になるのを待って正式に結婚 というのが真相と思われます。今後の物語で明らかになる機会があるかもしれませんが・・・。輪への絶大な信頼があったにせよ、思い切ったね、亜梨子、と彼女をねぎらいたくなりました。
 もう一つの謎は、守護天使の正体である紫苑と木蓮の存在。異星人である彼らの転生した姿が輪と亜梨子、ということなのに、何故彼ら4人は同時に存在しているのでしょう?(^_^;) 人格が別個なのは当然として(輪は幼すぎたゆえに前世から引き継いだ記憶をコントロールできず事件を起こしてしまいましたが)、魂は共通だと思っていたので、木蓮が蓮を助けに行ったり紫苑が輪や蓮の人格乗っ取りをしたりするのが大変不思議です。

 『ぼく地球』が当初の予定から延長されたように、今回の『ボク月』もまた予想外に巻数が増えていくのかもしれません。また我が家の書棚があふれる事態になるのではないかと気持ち不安です。一方で、1話完結の連作中編として発表されている物語が、今後どのような大きな輪になってつながっていくのかが楽しみでもあります。とりあえず、おとなしく次巻を待つことにしましょう。

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2005.06.22

Zガンダム映画感想

 『機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者』の当地での上映が今週いっぱいと聞いて、あわてて今日の仕事帰りに見てきました。リアルタイムでの視聴者ではなく、後年ビデオでまとめ見しただけなのであまりガンダムを語る資格はないかも知れませんが、映画版は期待していた以上にわくわくと面白く見ることができました。さすがにガンダムに対する何の予備知識も持たない人がいきなり見るのは辛いかもしれませんが、カミーユとジェリドの因縁など複雑なストーリーが約90分間に巧く整理されてまとめられています。新作カットと古いフィルムのカットとの画質や色調の違いもほぼ違和感なく美しく調整されていました(エイジング処理というそうです)。恐らくは作画監督が異なることによるテレビ版との絵柄の相違についても、人により異論はあるかも知れませんがほとんど気になりませんでした。
 もっとも、長い物語のダイジェストである分、例えばカミーユの屈折や暴走(平たく言えば若さ故の痛い言動)に代表されるキャラクターの激しい感情表現がさらりと流されていたような気がしないでもありません。10月に公開予定の第2部『恋人たち』では複雑に絡まり合った人間関係が軸になると思われるので、そちらにさらなる期待をかけたいところです。第2部に関しては、フォウ・ムラサメの声優さんが旧作の島津冴子さんから別の方に交代されているというのが唯一残念な情報です。キュアホワイトも悪くはありませんが、わざわざ変えなくても、とつい思ってしまいました。

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2005.05.23

『MASTERキートン』増刷停止?

 土曜日に団地の草取りに参加したところ、今日になり左腿がぎくしゃくするほどの痛みが。たった1時間だけしゃがんで草をむしっただけでなぜこんなになってしまうのか?

 最新号の週刊文春の広告を見て気になってはいたのですが、マンガ『MASTERキートン』が権利関係のトラブルで増刷停止状態になってしまっているとか。詳しい事情はCopy & Copyright Diaryスラッシュドットの記事経由でも見ることができます。面白く読んだマンガについて生臭い経緯が明らかにされるのはちょっと辛いですが、現実に起きてしまったのだから仕方ないです。とにかく、マンガそのものの質と無関係の事情で絶版になろうとしているのは何だかなあ、と思います。

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2005.02.05

『夕凪の街 桜の国』を読み込む

 当ブログ2月3日付けエントリーで感想を記した『夕凪の街 桜の国』について、その後何度か読み返しましたが、予想外に一コマ一コマに込められた情報が多く、読み返すごとに新たな発見がありました。作者のこの作品に対する愛情が見て取れるようで、隠された伏線や設定を発見しては悦に入っています。
 どこかにこの作品をそうした視点で解明したコンテンツはないものか、と探したところ、やはりありました。ブログ「ただのにっき」の「こうの史代『夕凪の街 桜の国』読書ノート」が求めていたそれです。カバーを取った表紙の絵柄や、前半の登場人物の後半への再登場などには気づいていましたが、前半の主人公の家族の名前の由来など、気づいていなかった設定もたくさんありました。この「読書ノート」の前段階である同じ方による書評と合わせてお読みいただくと理解が深まります。ただ、どちらもネタバレありなので未読の方はご注意下さい。

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2005.02.03

夕凪の街 桜の国

 今週頭から受講していた研修が無事終了しました。明日からの仕事にすぐ活用できるような基礎的かつ実践的という充実した内容でした。教わったことを実際全部1人で業務上実行しようとするとなかなかつらいかもしれません。しかし基本的には業者と分担して仕上げていく種類の仕事であり、今回の研修で「ここまでは業者に任せても良い」「裏を返せば業者の側でやって当たり前」の技術範囲というのが理解できたので、今後はそういうスタンスで仕事に臨みたいと思います。
 夕方、ようやく壊れた乗用車をディーラーに診てもらいました。部品を取り寄せて交換すれば直るとのことで一安心。
 帰りに書店に立ち寄り、しばらく前から気になっていたコミック『夕凪の街 桜の国』(こうの史代. 双葉社, 2004)を入手、読了。描きようによっては重く沈んでしまったり大上段に構えてしまったりしがちなテーマを、しっかりした資料調査に基づきながら、皆実と七波という生きた時代の異なる2人の若い女性の視点を借りて自然体で身近なものとして描くことに成功している“文学”だと思いました。それでいて心に一かけのハードな現実に対する思いを残してくれます。と、左記のような一言でくくってしまうにはあまりにもったいない佳作です。
 おまけ。外カバーの「夕凪と桜」の風景も美しいですが、カバーを剥いだ表紙に描かれている、同じ風景の切絵にも違った魅力があります。

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2005.01.10

「図書館職員もの」同人マンガ

 この年始に、「図書館職員もの」のマンガ同人誌2点を入手いたしました。長くなりますが感想など記しておきます。

『図書館のおねーさん8』(山田数多著. 麒麟館, 2004.12)
 以前も紹介した、とある市立図書館の分館を舞台に、そこで働く元気な娘さんたちや個性的な利用者の生態を描いた4コママンガシリーズです。年末のイベントで初売りされたものですが、事情あって年明けになってようやく手元に届きました。(数多さんお手数をおかけしました)  今回の内容について、「『図書館職員』と『利用者』が別個にしか描けていないよーな気がします」と作者さんはおっしゃってますが・・・そうですか?ただ、作者さんがそう感じるとすれば、たぶん、主人公たちのキャラが利用者抜きでも十分立っている点にあるのかもしれません。  8巻目ともなりお話は安定した面白さを提供してくれていますが、今回物語の舞台である桜丘分館に若干の変化が。分館が試験的に夜間開館を開始したのに伴い、元職員を非常勤で再雇用する、というお話なのですが、新キャラ、若菜さんがいい感じです。こうしたいい意味で行動力と理屈に富んだお姉様は館種を問わず共通に実在します(笑)。]迎え撃つ若手職員たちが全く口で負けていないのも良いです。上司は大変だと思いますが。

 以下、今回ツボだったせりふです。あえて細かい論評はいたしません。詳細がお知りになりたい方は即売会などで現物をどうぞ。

 最近著書が売れなくなったと嘆く作家と主人公のやりとり。
作「図書館が私の本をタダで貸すから売れなくなったんだ!!」
主「お言葉ですが、その本は図書館に入ってから一度も借りられておりませんが?」

 いわゆるデジタル万引について。
「最近は撮って行ってくれるから、(図書館の本を切り抜かれるなどの)被害がなくて、いーわー」

『ライブラリー・シンドローム 1995-1999』(しのなおみ著. 図書館問題研究会大阪支部, 2000.7)(注:書名の中黒(・)はハート)
 1985年から図問研大阪支部報に月1作ずつ連載されている、現役公共図書館員の方の手になる4コママンガの総集編です。総集編『1985-1989』と『1990-1994』は持っていたのですが、なぜか4年も前に発行された『1995-1999』だけは入手する機会がありませんでした。
 巻頭に舞台になっている凸凹図書館の変遷が掲載されていますが、連載当初ブラウン式で貸出を行っていたのが1999年現在督促はがきのコンピュータ出力が可能になっているなど、業務インタフェースの変化は著しいものがあります。でも図書館業務の本質に変化はないのだと、5年分(52回分)の内容を通して読むとわかります。現役の方ならではのリアルな現場のエピソードをちょっと懐かしい感じの絵柄で温かく綴る味わいが良いです。
 ところでおまけの「図書館ギョーカイ用語辞典」、半分以上は知らない言葉(あるいは使わない略語)でした。本当に館種や地域が違うと言葉の使われ方も違うんですねえ。
 また、作中の欄外に、SF大会で活動している「秘密結社日本SF図書館員協会」という組織が登場しますが、ここの人たちがまとっている、紺地の背に白文字で「囗の中にト」(図書館の略語)と染め抜いた「図書館ハッピ」と同じものが何故か筆者の手元にあったりします。確か学生時分に所属していたサークル(SF研にあらず)に共同注文の案内が回ってきて、それで作ってもらった覚えあり。学園祭などにもあれを着て出てたなあ、としばし郷愁にひたりました。

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2004.08.29

図書館系同人誌

 某同人誌即売会(通称夏コミ)から早2週間が経過しようとしております。時期が大変空いてしまいましたが、今回購入した図書館系(一部違うのも混ざってます)の同人誌をご紹介したいと思います。

『秘書のお仕事』(サークル名:麒麟館)
途中空白期間はあったものの、足かけ15年はここの発行誌を入手し続けています。実は友人がやっているサークルなのですが、義理抜きで面白いです。
図書館物の本は、とある市立図書館の分館を舞台に司書の20代女性3人組と担当係長(苦労人の男性)と大学生のバイト君の日常をちょっと毒入りで描いた『図書館のおねーさん』シリーズ(既刊7巻)と、同シリーズの主人公の友人(女性)が勤務する大学附属図書館医学部分館を舞台にした番外編『図書館のおねーさん 番外編・大学図書館編』(既刊3巻)が発行されています。いずれも4コママンガです。
作者は公共図書館業界の方ではないので、少なくとも本編については全面的にフィクションの筈ですが、以前の巻に登場した担当係長の台詞「図書館の女性はすべて例外なく気が強い」は限りなく真実を突いていると膝を叩いた覚えがあります。
今回の本は図書館物ではありませんが、大学医学部の基礎医学研究室の大胆不敵な秘書コンビを主人公としており、『大学図書館編』と同じ世界の物語のようです。次回は冬コミ(スペースが取れれば)で『図書館のおねーさん 8』発行予定とのことですので気長に待ちましょう。
『図書館のおねえさん』(サークル名:お菓子のやま)
以前コメントでも紹介しましたが、こちらは現在、この春正式開館したばかりの某公共図書館にアルバイトとして実際に勤務されている女性が執筆されているエッセイマンガです。あまり毒もなくほのぼの可愛い系ですが、可愛い分現場の生々しさがこれでもかと伝わってきます。「もっとリアルに描いてくれ~」と思うエピソードがすっと流されていて若干の不満はありますが・・・。
例えば舞台になっている図書館ではICタグが全面的に導入されているそうですが、カウンターで正常に貸出処理されているにも関わらず出口でBDSに引っかかってしまうというトラブルが発生したというエピソード。どういうシステム上の理屈でこのエラーが起きてしまったのか、図書館屋としては気になるところです。しかしそれを微細に描いてしまうと万人が楽しく読めるマンガではなくなってしまいますね。(^_^;)
この夏発行された『おねえさん』のVol.1には正式開館以降のエピソードが収録されていますが、正式開館前の準備室段階のエピソードが準備号として過去に何冊か発行されたようです。今回は直近の準備号1冊しか購入しませんでしたが、次回このサークルを見かけたらぜひ新刊とバックナンバーを揃えたいと考えています。

 今回入手したのは以上の2誌でしたが、このほかにも公共図書館系とおぼしき内容のサークルを1、2カ所カタログで見かけました。そちらはあまり食指が動かなかったのですが、次回余裕があればもう少しきちんとチェックしたいです。

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2004.05.18

ななみちゃん

 最近NHK BSの戦略にまんまと乗せられ、NHK全体のキャラクターに昇格してしまったどーもくんを引き継ぎBS新キャラクターとして登場したななみちゃんにはまり始めています。無表情キャラクターの定番(?)であるクター(ここで引き合いに出すのもアレですが)に通じる無表情さが醸し出す愛らしさと小動物ライクなちょこまかしたしぐさとの相乗効果で心の秘孔が攻撃されて小爆発を起こしてしまいました。とりあえず、一週ごとに内容が変わるらしい、BS2とBS hiで放映されるアニメは真面目にチェックしようと決めました。そのうちどーもくんのように絵本やグッズが登場したら、ずるずると買ってしまうかもしれません。ちなみにどーもくんはゼンマイ人形1体(現在行方不明)を購入したのみで踏みとどまっております。
 実はななみちゃんのデビューが決まったときに、どーもくんがリストラされてしまうのではないかと心配しておりました。続投が決まって一安心しております。そんな3X歳。

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2004.05.10

Nessun dorma(誰も寝てはならぬ)

 近所の書店を探し回って見つけることのできなかったコミックス『誰も寝てはならぬ 1』(サラ イネス著)、結局bk1で購入し、昨日メール便で届いたのでさっそく読了しました。
 内容は、デザイン事務所を経営するバツイチ&バツ3の「エエ年こいた男二人」(コミックス帯