2006.08.19

別館オープンのお知らせ

 最近こちらのブログを観劇関係の記事が徐々に圧迫してきて気になっていたため、これまで書いた「ミュージカル」カテゴリの過去記事を以下の別ブログにコピー、分離してオープンすることにしました。

 日々記 観劇別館

 こちらのココログの過去記事もそのまま残しておきます。今後観劇関係(と言っても今のところミュージカルばかりですが)の記事は上で書いていく予定ですのでよろしくお願いいたします。

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2006.08.16

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(8/14マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 この日は友人3名との観劇でした。うち2名、NさんとSさんは素敵な浴衣姿。もう1名の土曜日もご一緒したAさんは遠方からの3泊4日ハードスケジュール上京の疲れを押しての参加。華やいだ気分だったためか、以前は特段はまることもなかったクロロック伯爵の細かなエピソードが、本日は妙にツボに。キャストが前回の観劇と全く一緒で驚きが少なかったというのも原因のひとつかと思います。

 城を訪れた人間どもに息子のヘルベルトを紹介する時、猫を撫でるがごとく愛おしげにほっぺたを触る触る。モンスターとは言え、こんな妖しい父子がいていいのか?と、1人で爆笑。
 さらにアルフレートにスポンジを渡す時、あんな老いぼれ教授など捨て置いて自分を解放せよ、と誘いかけながらまたほっぺたをぺたぺた触ります。そんなに若い男の子のエネルギーが恋しいか!?と突っ込みMAX。また、伯爵のスポンジを使った一連の演技が実はとんでもない下ネタだということを他の観劇ブログで見知って観察していたところ、本当にそうだったということが判明。あまりに上品でさりげなさすぎて気づかず、はうぅ、と1人赤面。
 そして、メインの獲物はサラだというのに、どういうわけか「アルフレートは私のものだ」と教授に宣言する伯爵。ヴァンパイアの本能に根ざす欲望に苦悩しながら、でも舞踏会ではしっかりサラを吸血する。何て欲張りなんだろう、この初老のヴァンパイアは!

 ……というわけで、伯爵が出番は少ない癖に噛めば噛むほど実に味のある、人間の獣性と理性の双方を体現したキャラクターだということに、観劇4回目にしてようやく目覚めつつあります。実際に物語を回していくのはヘタレアルフレートと、回を重ねるごとに身なりのぼろさ加減が増していく教授の2人ではあるのだけど、やっぱりこのお話の主人公は伯爵なのだと改めて納得した次第。

 Aさんとは電車の時間の都合でカーテンコールもそこそこにお別れしなくてはなりませんでしたが、残った2名とお茶に向かう道すがらで伯爵番外編その1。その日の朝起きた首都圏停電騒ぎの原因が、何故か友人の一言で「実は伯爵のクレーンが送電線を(笑)」という話に。いや、「クレーン船」が原因の大変な事故だったのは重々承知しているのですが、あのロングトーンで伯爵が声を響かせながら電線をぶった切っている様を想像して笑いを抑えるのが苦しかったです。
 番外編その2。銀座でお茶した後、山野楽器でミュージカルCD等を物色している最中、Nさんが、
「そう言えばここ5、6日、伯爵の御髪がずーっとほつれっぱなしで気になって気になって」
と発言。実は筆者も「何アホ毛立ててるんじゃ」と髪の乱れは気になっておりました。劇場入りの際、時々朝起きたままっぽい髪型でお出ましになるという話は見聞きしたことがありましたが、よもやカツラでもやって下さるとは。……さて、翌日の公演ではちゃんととかしたのでしょうか?

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2006.08.06

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(8/5マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 8月初、トータル3回目のダンス・オブ・ヴァンパイア(TdV)観劇に出向いてきました。同行の友人は夏らしく浴衣での観劇。服装は考えた末、手持ちのプリーツプリーズのベージュのシャツに別のスーツのベージュのパンツ、シースルーの白い八分袖シャツのセットといたしました。我ながらあまり突っ込みどころのない服装で、少し心残り。

 今回も、全体的に大きなハプニングもなく、実に楽しい舞台でした。2ヶ月公演も後半戦となり、キャストの皆様に良い意味での余裕が出てきたように見えます。

 今回は、ようやく伯爵の客席登場通路に近い席(1FJ列センター)に座ることができました。噂通りの気配を消した静ーかな足運びで雲を突くように大きい、黒マントをまとった伯爵(ベタな比喩だ…)が通り過ぎる瞬間、何故か自分も息を殺して見守ってしまいました。
 山口さん、本日の歌声も絶好調、バズーカロングトーンも見事でした。ただ、今さらなんですが、何故この方は歌う時両手を胸の当たりに構えて、前に出したり横に広げたりして動かしてしまうんでしょう?きっと一番声を出しやすいポーズなんだろうとは思いますが、今まで見てきた演目(4つくらいしかありませんが)で、歌い上げるナンバーの時は割とこのポーズを取られていることが多いです。あんなに手を振り回して風呂場で迫ってたら、サラが惹かれるどころか退いちゃうぞ?と思わないでもありません。でも顔と声と立ち姿が美しくて、舞台も客席の隅々までも我が手の内にあり!というような立ち居振る舞いを見せてくれます。「抑えがたい欲望」他のナンバーでは、歌声ひとつで観客をヴァンパイアの哀愁に包み込んでくれます。だから好きです。

 教授も絶好調でした(笑)。早口ことばの流暢さはただ口を開けて見守るばかりです。どのシーンでも軽やかで弾むような所作に、教授という奇天烈で愛すべきキャラクターが余すことなく表現されていて、ひたすら上手いなあ~、という感じ。

 そして本日のアルフレートは泉見君。浦井アルフが、箱入りで育ったけど、変わり者と評判の父上の酔狂で教授に身元を預けられてしまった、格の高い貴族の三男坊だとしたら、泉見アルフは家の商売が傾きかけて兄さんがお店を支えている中、苦学して大学に入ったら何故か教授につかまっちゃった商人の次男坊だと勝手に妄想しております。どっちも長男ではないところがポイントです。
 浦井アルフは母鳥の翼の下を離れたばかりの弱々しい雛鳥が初めて美少女を見て刷り込みされて目覚めた感情のもと、教授に叱られそして伯爵に煽られて突っ走る感じ。こっちはこっちで好きなんですが、泉見アルフは、今までも数々挫折してきたけど、この一世一代の恋だけは!と、弱い自分と戦う純粋な男の子ぶりが見ていて気持ち良いです。実年齢ではたぶん浦井君より十歳ぐらい上なのに、全く違和感がないのは凄いと思いました。

 アルフの悪夢シーンのダンスはだいぶ直視できるようになりました。加賀谷さんのしなやかな振りが割と好きです。このシーンの他にも、サラの家出ダンスや墓場のヴァンパイアダンスなど、7月の最初の頃に比べると随分アンサンブルの動きが自然になってきたように思います。

 ヘルベルト入浴シーンは、カーテンが開いたらいきなり片肌脱ぎしていました(^^;)。同行の友人(吉野さんファン)によれば「泉見君、素で驚いているように見えた」そうですが、観客にも衝撃的な場面でした。

 カテコは8月に変わるらしい、という話でしたが、どこが変わったのか素人目にはよく分かりませんでした。自分にわかるのは、伯爵が舞台の中央に立ってにっこりとスタンディングを煽ると脊髄反射でスタンドアップしてしまうということだけです(^^;)。

 ――さて、本日の私的ハイライトは幕間恒例のクコールお掃除にありましたので、これをもってしめくくりといたします。最近どんどん1幕最後の伯爵への頭突き&すりすりがエスカレートして、可愛い度が急上昇しているクコール。休日なので伴奏無しのお掃除。時々息をついて伸びをしながら紙吹雪をハタハタするクコール。そこに「彼はどこー?」とクコールに語りかける野太い声が。上手から現れたのは、真っ黒な日傘にサングラスをかけ、トランク(たぶんアルフの)を持ったヘルベルト!服装は1幕登場時のスーツでした。も、もしかして、昼下がりなどの日が陰ってくる時間になったら、あの格好でお外をうろついてるんですか?ヘル。彼は「アルフレートー!」という呼び声を上げながら下手に捌けていき、クコールも首をかしげながら退場して行きました。意外な共演が見られて何よりでした。

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2006.07.20

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(7/17ソワレ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=浦井健治、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 2回目のTdVは実母を連れての観劇でした。座席は1FV列(A席)。通常の演目ならただの「舞台からちょっと遠い席」ですが、TdVに限っては1Fの通路をぐるぐると駆けめぐる教授やアルフレート、ヴァンパイア達の動きを見渡して観察できる楽しい席でした。
 伯爵のコウモリ羽根は流石に初見時ほどは爆笑しませんでしたが、やはり笑えるとともによくあんな高い位置で朗々と台詞を吐けるものだと感心。マチソワ公演だと伯爵も喉がお疲れなのか高音が弱くなるらしい、という噂をネットで見かけてましたが、私の耳が節穴なのか、それとも伯爵の歌唱力の賜物か、美しい歌声は健在でした。何と申しますか、声のコントロールが、強いも弱いも溜めるも伸ばすも自在な感じで気持ち良いのです。
 浦井君のアルフレートは軟弱ぶりが実に可愛らしかったです。あの軟弱ぶりを例えるなら、30年ぐらい前の少女マンガによく出てきていたような、優しい言葉遣いで女顔の、ちょっと怖い目に遭うとぴーぴー泣いちゃうような細身の美青年。お笑い度は泉見君より低めだけど、そんな軟弱青年が恋を原動力に健気に頑張っているという役作りに好感が持てました。歌声ものびやかかつ素直な高音でポイント高。カーテンコールではぴょんぴょん跳ねながら客席にスタンディングを煽る姿が微笑ましかったです。
 浦井アルフで笑えたのは、伯爵邸でのお泊まりでの悪夢のシーン。ヴァンパイア達がうようよ出てきてがなり立ててソウルフルに踊っている後ろで、一所懸命両手を動かしてもがいたり、手に持った十字架を高々と掲げてたりと、こっそりオーバーに演技してます。泉見君のうなされ演技はそこまで大きくなかったような気がするので、次回(8月予定)はじっくり観察予定。…と言うより、そうでもしていないと、直視するのが何だか恥ずかしいのですよ、あの激しいダンスシーン(^^;)。

 ちひろちゃんサラについては前も書いたので割愛。ただ一つ、舞踏会のシーンで伯爵が吸血の際にサラの上半身をすうっとなで上げるのですが、手つきが微妙にいやらしくないのがほっとすると言うか、逆に「もっと触らんかい」といらつくと言うか…どっちなんでしょう、自分。
 クコールはこの日もペットのわんこのように伯爵にすりすりして、せっせと働いていました。そう言えばろうそくをもらいに来た帰り、客席に「こんにちは」とご挨拶していたような。口をふがふがさせながらきちんと聞き取れる台詞を発音できるのはすごい、と変なところに感じ入っておりました。幕間のお掃除は、公式ブログによれば平日ソワレしかBGMは付かないそうで、無音だったのが残念です。

 終演後は、母の呆れた視線にもめげずポスターを購入。ちなみに家のどこに飾るかという後先はほとんど考えておりません。サイズ、かなり大きそうなんですが。
 TdVを8月にも観劇予定であると言ったらもっと呆れられました。とても、最低であと4回観る予定だなんて言えません。でも頑張ります。

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2006.07.15

炎の街

 そう言えばミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のエンディングの歌って『今夜は青春(Tonight is what it means to be young)』といって、映画『ストリート・オブ・ファイヤー』の中で使われてました。
 ところが掲示板などを見ていると「大映ドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌」であることに言及する人はいても、『ストリート・オブ・ファイヤー』の方に言及する人は意外に少ないようです。ヤヌスの方が強烈に刷り込まれているのか(ちゃんと見てませんがヒロインが原作と違って美少女じゃないなあ、とは思った記憶が…)、それとも『ストリート』の方がB級どマイナー過ぎるのか?
 面白いんだけどね、『ストリート・オブ・ファイヤー』。ストーリーにはヴァンパイアのかけらも出てこないけれど、ちょっとすさんだ感じの街を舞台にしたシンプルな恋愛おとぎ話で、音楽は躍動感あふれるロックンロール。上手い味付けで演出すればミュージカル舞台化もいけると勝手に思っておりますが、誰かやらないかなあ。

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2006.07.11

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(7/8マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 帝劇で『ダンス・オブ・ヴァンパイア』を観てきました。開幕は7/2でしたが筆者はこれが初観劇。
 ネットでの評判がまっぷたつに分かれていたので不安でしたが、筆者は結構楽しむことができました。不満があるとすれば、「帝劇の怪人」山口さんのケレン味が少し控えめなところでしょうか。もっとマントを翻して悪目立ちするぐらいで良いと思うんですけど。一応主役だし。
 あ、でも、伯爵の巨大なコウモリ羽根の乗り物には笑い死にさせてもらいました。ばかばかしいまでに高いクレーンに載り、加えて、1FG席30番台の席から見ると羽根の素材が黒いゴミ袋を貼り合わせたように安っぽく、しかも18の娘が入浴中のお風呂場の天井から降臨してくる(笑)。決して失笑ではなしに、あの大きなのっぽの伯爵がさらに大きい羽根を着けて飛んできて、大まじめな演技をするというのが可笑しくて仕方ありませんでした。
 伯爵の歌声はいつもながら神がかり的で言うことなし。ミュージカルにおいては歌唱力も演技力の一つであるということの生ける証拠がこの方であると、お歌を聴く度に思います。でも、カーテンコールではもうちょっと踊ってもいいのにな、と、欲張りなことを考えてみたり。教授ですらスイングしてるのに。

 アルフレートの泉見君は初見。扮装写真の髪型を見て「雷様?」と心配してましたが、実際の舞台での頭はそうでもない自然なカーリーで安心。ヘタレだけど純粋で熱いキャラクターの崩し方が上手いと感じました。あれを見てしまうと、Wキャストの王子様系の浦井君がどこまで崩せてるのかと不安になります。
 教授の市村さんはとにかく達者です。ちょっとでも隙を作ると崩れてしまいそうなぎりぎりの早口のナンバーを、見事に歌い上げていらっしゃいました。しかも冒頭でカチカチに凍った時のいかにも苦しそうなポーズを維持するお姿や諸所に見られる軽やかなアクションは、とても御年57には見えません。
 サラの大塚ちひろちゃん。意外に色っぽくて肉感的。サラという役は、最初町からやってきたアルフレートに少しだけ気持ちが動くのですが、入浴中に降りてきたクロロック伯爵に心を奪われてしまいます。その後お城に招かれ、徐々にアルフレートに対しタカビーになっていく態度が何とも可愛いのだけど、同時に「女の嫌らしさ」みたいのも身に付いていて、女性から見るとぞぞっと来ます。歌は…もう少し頑張った方が良いかも。
 そして見せ場を作ってくれたのは吉野さんです。オカマ系ヴァンパイアということで、むやみに美しい扮装写真が出ていましたが、まさか堂々とTバックスタイルで美脚を披露されるとは。サラのお風呂ソングと同じフレーズのスキャットが野太い声で響くだけで既に会場に笑いが起きていました。しかもジャンプ力もあって身のこなしの綺麗なこと。エンディングでもダンスを披露してくれます。
 注目したのは駒田さん演じるせむし男クコール。人里までお城のためにろうそくをもらいに来て、お城の泊まり客にはちゃんと朝食を用意し、ヴァンパイア化したばかりで落ち着きのない奴らをたしなめる健気な使用人。幕間には団扇で卓球のアクションをしつつ紙吹雪をあおいで舞台のお掃除をする姿には、がんばれクコール!と声をかけたくなりました。しかしラストではあんなことに(泣)なってしまう彼。これからお城の贅沢な暮らしは誰が支えるのでしょうか。

 残念だったのは宿屋の主人とその愛人役の方の歌唱力。折角美味しい役どころなのに、このカップルの場面はちょっとだれちゃってます。
 ダンスシーンも賛否両論あるらしいですが、リピートしないとよくわからないので割愛。
 あと、ラストシーンがちょっとわかりづらいです。教授がオチで起きた事件に気づいているのかいないのか、今ひとつどっちか判然としません。仮に気づいた上で「ヴァンパイアの存在を証明できた(^o^)」とか言ってるとすると、この方、かなり始末に負えないマッドサイエンティストです。師匠を間違えたね、アルフ。

 ところでこの日はOカードの貸切公演日。ご挨拶は伯爵と教授。O!M!C!をポーズで決める教授と、牙付けてふがふが喋りで普通の内容の挨拶をする伯爵。そして最後はマントの懐からおもむろに看板を取り出して(いつから隠していたのか謎)ツーショットを決めて去っていくお二人。楽しませていただきました。
 また、当日は抽選会も用意されていたのですが、何と山口さんのサイン色紙が当たりました。Vカードと違って写真が付いているわけでもない、本当にお名前だけのシンプルな色紙でしたが、それでも嬉しいものは嬉しいです。数日分の運をここで使い果たしたような予感がします。

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2006.06.18

『ミー&マイガール』感想

 6月10日に友人の誘いを受けて、帝劇でミュージカル『ミー&マイガール』を観てきました。
 当主を喪ったヘアフォード伯爵家。かつて当主の許されない結婚で産まれ、長年消息のわからなかった一人息子がようやく発見されたが、その息子ビル(井上芳雄)は下町ランベスで育ったべらんめえ口調の粗野な青年。後見人である公爵夫人マリア(涼風真世)や男爵ジョン卿(村井国夫)は当主の遺言にある後継者の条件「貴族の身分にふさわしい」人物に彼を育てようとし、一族の娘ジャッキー(純名りさ)は妻の座を狙い誘惑。下町から連れ添う恋人サリー(笹本玲奈)は階級の違いから身を引こうとするもビルは流れに抗い…という展開を記すとメロドラマな感じですが、実際は軽快なダンスナンバーやパロディで満たされた、とても楽しくて可愛いお話でした。

 井上君の歌は『エリザベート』や『MOZART!』のCDで何度となく聴いていたものの、生の舞台は初めて。CDの歌声では高音部が金切り声の絶唱になっていてそこが耳について仕方がなかったのですが、今回のミーマイで聴いた歌声はソフトな感じで全然高音部が気になりませんでした。音域上無理をしなくて済む曲が多かったのかもしれないし、曲調も絶唱するようなものがなかったというのもあるけれど、彼は本当に「歌える」人なのだと今回知ることができました。
 ビルとしての演技は初登場シーンが子犬のようにきゃんきゃん暴れていて可愛かったです(^^)。早くに母親を亡くし、生きるためには何でも(恐らく時には悪事も)やってきたような青年なので、本当は「可愛い」だけじゃないと思うんですが、多分彼は今までの境遇を全て受け入れ真っ直ぐに生きてきただけなんだろうな、と思わせるものがありました。一見無分別な子供、という印象ですが、途中で労働者階級の友人に手紙で決別を告げられた時の反応で、この青年が決して愚かではなく、現実を悟っているのだけど懸命にそれに抗おうとしているのだということがわかります。
 玲奈ちゃん演じる下町っ子サリーも素敵でした。最初にビルとともに騒ぎまくってテーブルの下に隠れ、食べ物やテーブルウェアを抱えて逃げていく場面の可愛さといったら!ある日突然貴族になってしまった恋人から身を引こうとする彼女の行動を、時代にそぐわないと思う人もいるかも知れませんが、彼女の行動原理が全て「ビルの将来のため」で一本筋が通っていてうじうじしていないためか、あまり前時代的な印象はありませんでした。
 どうしても主人公中心に語ってしまいますが、屈託なく育ったわがままお嬢様、ジャッキーもなかなか見どころ満載でした。特にビルにガウン1枚でモーションをかける場面。可愛くて色っぽくて、あれではビルが一瞬とは言えほだされてしまうのも無理がありません。プリンス井上君が下半身パンツ一丁(上半身は着てます)という貴重な姿も見られましたし(笑)。

 あまり細かく書いてオチがネタバレしてしまってもまずいのでストーリーと無関係の話題を二つほど。
 一つ目は、開幕前にロビーの階段で、一幕目ラストの客席参加ナンバー「ランベスウォーク」の振り付け練習というのがありました。アンサンブルの皆さんと指揮者の塩田さんまで参加されて、ダンスの決めポーズをやさしく楽しくレッスンして下さったのですが…。
 いざナンバーが始まったら、周りの誰も立って踊りゃしねえ!そりゃ、前から10列以内で踊るのは勇気いるかも知れませんが。そんな中で自分たちだけ踊る勇気はありませんでした。アンサンブルさんたちも客席に降りてきてるのに。ああ小市民。後で劇場でお会いした同行の友人の友人からも「何故踊らなかったの?」と突っ込まれた次第。エンディングではその分までスタンディングで踊りまくり、ポーズを決めたのは言うまでもありません。

 もう一つは二幕目のジャッキーと婚約者ジェラルド(本間憲一)との球打ち(クリケット?)の場面。後日再見した友人によれば、ジャッキーが打ったボールが下手出口へホールインワンしてジェラルドにほーら拍手、というのが本来の展開だったようですが、筆者が観た時にはボールが一度壁に跳ね返ってジャッキーの元に戻ってきてしまっていました。苦笑いする純名さんに本間さんがすかさず「はいもう一度ー!」という感じでフォローして、無事出口にイン。客席からも拍手。NGなんですがなごむ場面でした。

 歌以外の井上君ですが、ダンスはその善し悪しがよくわかりません。他のサイトで「タップは玲奈ちゃんの方が上手い」とか書いてるところもありましたが(^^;)、ジャンプ力もあって動きもしなやかで、私としては別に違和感は感じませんでした。演技は、初登場とラスト近くのビルで、実は同じ服を着てるのだけど、語り口調とかが全然違うのに感心。ただ、ジョン卿との図書室でのかけあいの場面など、もうちょっと余裕かましてもいいんじゃない?と思う場面もありました。どちらかと言えば器用な役者さんだと思うので、まだまだ伸びて欲しいです。

 …また長くなってしまいました。簡潔にして要を得る文章を書きたいのだけど、なかなか難しいですね。

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2006.06.09

宙組初観劇記(6/3)

 今週は仕事が立て込んでいて、更新が止まってしまっておりました。8割方書くだけ書いて更新できていなかった先週土曜日の観劇話です。

 土曜日は早朝6時には家を出て友人たちと待ち合わせ、帝劇で『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のチケット抽選に参加することになっておりました。なのに金曜日、神経のすり減る会議を仕切ってふぬけのようになった後、夕方は飲み会に参加。夜遅く帰宅してちょっと一眠り、のつもりでベッドにもぐりこんだのですが…。
 次に目覚めたのは何と6:50(-_-;)。どうがんばっても抽選開始の8時には到着できない時間。ショックで半日ふて寝しようかと思いましたが、連れ合いの「行っておいでよ」の一言で思い直し、急いで支度して電車に乗り込みました。
 抽選会を終えた友人たちと落ち合ったところ、2名中1名が150番台の購入順位を確保とのこと。最初3人が狙っていた前楽・千秋楽に手が届かないのは必須なれど、相談の結果、条件の良い違う日のチケ確保を彼女にお願いすることに。そして幸運にも良い席を入手することができました。面目なくもありがたいことです。

 友人1名はここで別行動に。もう1名の友人と日本橋三越の『カフェウィーン』などでしばらく時間を潰した後、宝塚宙組・東京宝塚劇場公演『NEVER SAY GOODBYE』を観てきました。

 宝塚は生では初観劇でしたが、とにかく群舞のレベルの高さと華麗さに驚愕。『エリザベート』の演出もされた小池さんの演出で、華やかなハリウッドから1930年代のスペイン内戦に飛び込んだ青年カメラマンと女性作家の運命というテーマが、華麗に骨太に描かれていました。男役の方も皆美しいです。宝塚では男役が主役であることを十二分に納得させてくれました。主演でこの公演で卒業される和央さんの堂々ぶりはもちろんですが、特に二番手の、スペインの情熱的な闘牛士を演じた大和悠河さん。凛々しくて華もあるのだけど、娘役でも違和感なく通用しそうな美しさです。歌はまだまだらしい、という評判も耳にしましたが、ほとんど気になりませんでした。
 以下はネタバレになります。「続きを読む」オプションは付いてませんので、10行ほど改行してから書かせていただきます。宝塚、特に宙組ファンな方はお読みにならない方が良いかも知れません。









 異例の娘役トップ期間だったという花總まりさんは流石の貫禄で、大国の視点から次第に社会に目覚めていく女性作家キャサリンを演じていましたが、事前に「歌が弱い」と聞いていたのは実際その通りだったとわかりました(^^;)。それでも、気品があって儚げだけど実は強靱さを秘めたこの方の雰囲気というのは、そう簡単に出せるものではないと思います。
 和央さんは一幕目の途中までは傍観者の立場で内戦に参加するという役どころもあってか、やや影が薄めでしたが、一幕目の後半で救護隊に加わり、ハリウッドでの恋人を捨てるあたりから徐々に光を帯び、故郷を持たない根無し草のユダヤ人で虚飾の世界に身を置いていた主人公ジョルジュが、共鳴し合った人々と共に戦うことにより自分の居場所を見出していく姿を生き生きと演じられていました。
 一点気になったのはせりふで時々滑舌が良くなく聞き取りづらい所があったこと。友人によれば「去年末の転落事故の前はこんなことはなかった」そうですが、もし何らかの影響が出ているとすればご本人にとってこれほど辛いことはないだろうと思います。今後も芸能活動を続けられるというお話なので、何とか克服されることを願っております。
 先にも記した大和悠河さんは、幕開けすぐのハリウッドの華々しい登場シーンに目を奪われてしまいました。歌唱力が気にならなかったのは、多分声質が私の耳に合っていたのだと思います。劇場内の「キャトルレーヴ」でブロマイドをチェックしたところ、舞台化粧ではない素顔も綺麗でした。

 宝塚を見慣れていない人間として、物語の展開であれれ?と思ったのは、キャサリンにフィルムを託してアメリカに帰した後のジョルジュが、数場面の戦闘シーン(群舞)を経ただけでいとも簡単に戦死してしまった点です。もちろん、ダンスによって主人公たちの戦況がかなり苦しくぎりぎりであったというのは理解できたのですが、宝塚が戦闘シーンに弱いというのはこういうことなのかも?と実感した瞬間でした。遼河はるひさん(背が高い!彫りが深い!)の演じた敵役も、ねちねちとキャサリンをいじめていた割には主人公チームを追いつめた途端にあっさり殺されてしまいましたし。
 もう一つ、これは観劇後友人も同じことを考えていたと知り膝を打ってしまいましたが、一幕目と二幕目の冒頭および二幕目のラストに花總さんが二役を務める「キャサリンの孫」が出てくるものの、キャサリンが子供を産んだという事実は劇中どこにも出てこなかったりします(^^;)。あれはアメリカに帰ってから再婚して(キャサリンは離婚歴あり)子孫が産まれたのか、それともあわただしい戦闘シーンの合間にお腹に宿ったジョルジュの子孫なのか?としばらく悩みましたが、後から聞いたところによると劇の冒頭で孫が「祖父と祖母の思い出を探しに来た」とか言ってたらしいので、まあ、きっとそういうことなのでしょう。

 突っ込みばかり入れてますが、全体を通して、貧しい民衆たちのシーンはかなり印象に残りました。怒りに燃えて銃を取る者たちが咆哮するダンスの力強さは『エリザベート』(宝塚以外)の“HASS!”や『レ・ミゼラブル』の砦のシーンを連想させるものがありました。
 また、やるせないラストの後に華やかなショーで締めてくれるのが宝塚の良い所です。新人さんのお披露目でもあるラインダンスが可愛かったです。凛々しい顔立ちの男役候補っぽい子も、小柄な娘役候補っぽい子も、皆ミニの衣装で美脚を見せて元気に踊ってくれました。メインの3人は背中に羽根を背負ったきらびやかな衣装で大階段を降りてきてご挨拶してくれます。ショービジネスとはこうでなくては!と感じた瞬間でした(何を言ってるのか自分でも良くわかっていません)。

 おまけ。この日は偶々某カード会社の貸切日で(友人も人づてでチケットを入手したので知らなかった)、抽選会もありましたが、やはり図書カードすら当たりませんでした。そしてショーの終了後に主演の和央さん単独のご挨拶というのがあったのですが、当然のようにきちんとしたご挨拶。そうか、やはり東宝ミュージカルの誰かさんのご挨拶は特殊だったのか、あと、一路さんのご挨拶が真面目なのも、恐らく宝塚時代からこなされているから道理、と心から納得いたしました。

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2006.05.25

『エリザベート』感想(5/23夜)

 当日のキャスト:トート=山口祐一郎、フランツ=鈴木綜馬、ゾフィー=寿ひずる、少年ルドルフ=塩野魁土、ルドルフ=パク・トンハ

 いよいよ私的エリザ楽日を迎えました。
 夢を見よう、と思いつつ、それでもオープニングでゴンドラに乗って上手から登場した山口トートの凄絶な美しさに息をのんでしまいました。確かこの日は昼夜2公演をこなしているとは言え、頬はより一層こけ、目元もややくぼみ気味。なのに歌声のバズーカぶりは変わりません。ダンスはよく取りざたされるようにかなり省力化(笑)されてますが、それすら許せてきます(寛容すぎ?)。
 本日のフランツは綜馬さん。つくづく感情の揺れを表現するのが上手い方だなあ、と思って観ていました。政治犯の母親に対峙した時の迷い。現状を打ち破るものが欲しくてシシィを選んだ筈なのに、妻と母との間で揺れ動く優柔不断ぶり。取り返しの付かない過ちを犯してしまい、母に決別を告げる際にもなおこの皇帝陛下は迷っています。「夜のボート」の場では、妻に受け入れられない嘆きよりも諦めのムードに包まれているのが良いです。
 そして一路シシィは今日も光り輝いていました。シシィを皇后としていただくのはちょっとどうかと相変わらず考えてしまうのだけど、今期のシシィは「ただのわがまま女」と断じるには抵抗を覚える程の存在感を保っており、初めて、自由を求める魂を抑制できず苦しむ一人の女性として向き合うことができたように思います。魂の苦悩と挫折を経て、ルドルフの棺に取りすがる黒衣の彼女の壮絶な美しさと言ったら!
 最期のシシィとトートのキスは結構短め。ルドルフとのそれより短い気がします。まさか一路さんへの遠慮?とか変なことを勘ぐってしまいましたが、それでも絵のように美しい終幕には変わりありません。
 今期のエリザ観賞はこれで本当にラストです。「最後のダンス」の山口トートのバズーカ歌声も、マント翻しも、1幕ラストのシシィの豪奢な白ドレスも、2幕のドクトルから正体を現すトートの白い胸元も、初日近くは影が薄かったのに徐々に存在感を増してきた革命家トリオも、ナイフをもてあそぶトートの上品な色気も、ミルクに娼婦にHASS!にと変幻自在の活躍を見せるヘレネ姉さんも、そしてトートダンサーズの大活躍も、全て胸の奥に焼き付けました(何だかんだでトートが多い(^^;))。世間からは「何故何度も(結局5回通いました)観に行くのか?」と不思議がられましたが、後悔はしていません。これで心おきなく現世に戻れます。

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『エリザベート』感想(5/21夜)

 当日のキャスト:トート=山口祐一郎、フランツ=石川禅、ゾフィー=寿ひずる、少年ルドルフ=笘篠和馬、ルドルフ=パク・トンハ

 2日連続の観劇です。途中で眠るんじゃないかと不安でしたが、どうにか乗り切りました。
 禅さんのフランツはやはり感情表現はやや抑えめです。しかし後半の「夜のボート」の場では、何でこんなに言葉を尽くしても通じないんだよ!という静かな嘆きが聞こえてくるようでした。
 そして「悪夢」の場のラスト。禅フランツはほとんどぼろ雑巾と化しています。個人的には綜馬フランツの情感細やかな演技の方が好みですが、唯一ぼろ雑巾度では禅フランツの方が印象に残りました。
 ちびルドは今期初めての笘篠君。整った顔立ちとひたすらけなげな演技が可愛かったです。
 パクさんのルドルフも今期お初。浦井ルドルフが一所懸命落ち着いたアダルトを演じようとしていたのに対し、パクルドルフには年齢相応の静かなパッションがほとばしっていました。ダンスは明らかに浦井君のしなやかな身のこなしに軍配。しかし両親とすれ違っていく青年のせつなさの表現はパクルドルフの方がやや勝っていたように見えました。

 そして山口さん。実は前日に観て驚いたのですが、9日の公演の時よりも身体が細くなり、頬もそげていました。私は実際に観ていませんが聞くところによると滝のように汗を流していた日もあったらしく、「一部の40~50代男性に現れる心身の症状」が原因ではないか、という話もちらりと耳にしました。それが真実かはご本人や近しい人しか知り得ませんが、あの迫力ある歌声と端正な舞台姿を保つために、我々観客には計り知れないところで戦いを続けているに違いないと、つい思いを巡らせてしまいます。
 エリザのカーテンコールはいつもなごやかな雰囲気に包まれています。この日などは、無理やり手つかみバイバイに抵抗するシシィの首にうりゃー、とばかりにつかみかかる黄泉の帝王の姿がありました。そんなパフォーマンスを観ているうち、もしかしたら体調を心配すること自体プロフェッショナルに失礼かも知れない、という考えが頭をよぎりました。エリザ観劇も後残すこと1回。ここはできるだけ作られた夢を楽しませていただくことにしよう。そう思いながら劇場を後にしました。

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2006.05.24

『エリザベート』感想(5/20)

 ということで、予想はつけられていたかと思いますが、土曜日の夕方は『エリザベート』の某カード会社貸切公演を観賞してきました。

 当日のキャスト:トート=山口祐一郎、フランツ=石川禅、ゾフィー=寿ひずる、少年ルドルフ=塩野魁土、ルドルフ=浦井健治

 同じ俳優さんたちの日々の歌や演技の調子の微妙な違いをかぎわけることはまだできていません。例えばこの日は「私が踊る時」で山口さんの節回しが微妙に違っていた(作詞までは行かない)らしいんですが、その時には全く気づきませんでした。
 禅さんのフランツは今期初見。綜馬さんのフランツと比べると、母親の愛も皇帝の権力も、生まれた時からあって当たり前なものとして揺るぎなく受け止めてるイメージです。そのため、ちょっと情が薄いかな?と感じられるシーンもあり。例えば母親との決別で綜馬フランツが手にキスするのに禅フランツはしない、など。ただ、何でも手中に出来るのが当然だったのに、シシィの心の深い部分はついに理解できず思い通りにも出来ないという焦燥感は、より強く伝わってきたように思います。一方、綜馬フランツの方はシシィを理解しようという努力をしていても、皇帝という立場や母親が重石になって結局何も出来ないというイメージです。表面的な結果は一緒なのに、そこに至る過程の違いが透けて見えて面白かったです。
 寿さんのゾフィー皇太后は今期初観劇。元娘役の初風さんと異なり、男役の声色でドスのきいた重厚な歌声を聴かせて下さいます。所作も力強い印象で、寿ゾフィーなら人任せにしなくても自力でルドルフに剣術ぐらい仕込めそうな雰囲気でした。強さの中に時々感情の揺らぎを垣間見せる初風ゾフィーと、心をひたすら鉄に閉じこめる寿ゾフィー。表現は異なれど、最期に行き着く孤独が共通なのが感慨深かったです。

 貸切公演日の目玉は、終演後のバックステージツアーやノベルティグッズ、サイン色紙、主演役者さんへの花束贈呈&記念撮影権等が当たる抽選会。これは当然のように外れましたが、記念撮影会を観るだけならできました。別に誰かさんが首にパネルをぶらさげたりノボリを持ったりすることもなく、とてもノーマルな内容だったのは意外。やはり一昨日からの婚約報道もあってあまり一路さんを道連れにおちゃらけたことはできないという配慮が働いたと思われます。
 そして主演お二人の舞台挨拶もあり。山口さんが普通に話し始めるだけで客席からくすくす笑いが起きるのは何故でしょう。絶対何かやらないわけがない、でも自粛?と思ってたら、やはり、
「○○カードの皆様におかれましては、2人の祝賀記念公演に…」
ととばしてくれました。そして一路さんが真面目なご挨拶でしめるといういつものパターン。

 素晴らしい時間を過ごすことができた、と帰りの電車に乗ったところ、昼間出席していた発表会に参加していた連れ合いや職場の先輩方がぞろぞろと(^^;) 当然筆者の夕方の行状は丸わかりに。人生そんなものです。

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2006.05.19

トートとシシィの婚約

 最近、図書館などのニュースの捕捉自体は定期的に続けているのだけど、それを論評するのに脳が回らない状態が続いています。せいぜいはてなブックマークでチェックするぐらい。
 なのに、こんなニュースには脊髄反射。

 『エリザベート』から大物カップル 内野聖陽一路真輝 結婚を発表 (2006年5月19日)

 そうですか、ご結婚ですか。昨年の秋に『エリザベート』にはまり、内野トートはついに未見のままでしたが、トートの誘惑に対するシシィの生き生きした突っぱねっぷりがそれは見ものであったと友人たちから聞いていました。今年になってからエリザの玉石混淆情報を求めてググっているうちに、どうもお二人がおつきあいされているらしい、という昨年2月頃の女性週刊誌すっぱ抜き記事を拾い、「をを、そうだったのか!」と衝撃を受けていましたが、よもやご結婚にまで結びつくとは。
 今期のエリザの千秋楽はきっと盛り上がるんだろうな、と想像すると、楽のチケットを取れなかった(ハナから取るのを諦めていた)ことが非常に悔やまれます。将来的にエリザがどうなるのかは全く見えませんし、一路さん以外のシシィという選択肢も出てくるのかも知れませんが、今はとにかく祝福したいと思います。

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『エリザベート』感想(5/9)

 なかなか落ち着いて記事を書けない日が続いています。人からの借り物のDVDもほとんど見ることができていません。
 気になることは他にもあれど、今更ながら、5月9日昼の『エリザベート』を観賞してきた感想です。これを書かないと気持ちが先に進めない…。

 9日は今期二度目の山口トート閣下との邂逅。キャスティングは4日の時と子役まで全く一緒で、フランツ=鈴木さん、ゾフィー=初風さん、少年ルドルフ=塩野君、ルドルフ=浦井さん、でした。

 4日に見たときは一路さん、少女時代の声が上ずり気味で良く出ていなかったのですが、今回は順調に歌われていました。側転はやはり無し。事情については色々憶測されているようですが、何れにしてもシングルキャストの舞台を連日務め続ける体力には感服します。
 今回の公演では、武田真治さんのトートは1回も観る予定がありません。チャンスが全くなかったわけではありませんが、巡り合わせが良くなくて結局山口トートのみ観劇予定です。武田トートは、シシィを手に入れるため地上にやってきた「男性」として、かなり露悪的にアクティブかつ色気たっぷりに演じられていると聞きました。例えばルドルフとの死の接吻の後、唾を吐くそぶりを見せるなど。山口トートにはまず見られない役作りだと思うので、見ておいても損はなかったかも知れませんが、山口さんも決して負けていないぞ、と思います。特に「悪夢」の場面でナイフをもてあそび唇にすっと滑らす仕草の冷たい色気など、背筋にぞっと来るものがありました。本当は「悪夢」では生者と死者の見事な群舞をチェックすべきなのだと頭では思いつつ、ついトート閣下の演技と、ルキーニに無事ナイフが渡るかばかりをウォッチしてしまいます。
 本筋とは無関係にずっと気になっているのは、ほとんどの役者さんのワイヤレスマイクは耳かけなのに、浦井ルドルフのマイクだけ前髪(?)に留めてあるということでしょうか。ルドルフが登場するとつい、彼のデコに突き出しているマイクに注目してしまいます。折角浦井さんの歌が落ち着いていて良い雰囲気なのに、もう少し身を入れて聴け、と自分でも思うのですけれど。

 エリザ観劇のメーター残量も半分近くまで進んできました。いよいよ後半戦かと思うと一抹の寂しい思いも感じたりしますが、がんばります。

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2006.05.06

『エリザベート』感想(5/4)

 連休のまっただ中にまたミュージカル『エリザベート』を観劇してきました。昨年9月以来の再演で、5月4日昼、山口祐一郎さんのトートの初日です。
 ストーリーについては上の東宝のリンク先と、以前に書いた記事にも記されているので、割愛します。内容は、ダブルキャストで新たなトート役として武田真治さんが起用されたこともあり、もしかしたら山口トート版の演出に前回から何らかの変更があるのかも?と思いましたが、前の出演作『レ・ミゼラブル』から今回の初日まで2週間程度しか時間が確保されていなかったこともあるのか、大きい変更はなかったようです。以下の感想について、かなり山口フィルタが入りますがご容赦下さい。

 前日に武田トートの初日を観た友人情報によると、「お召し替えが多かった」「赤いベストには驚いた」「不良のヘッドをやってるぼんぼんが、若さに任せて年上の女性にちょっかい出してるけど拒否されてる感じ」というなかなか楽しい演出だったようですが、山口トートは以前と変わらずに「人ならぬ者」の雰囲気を全身にまとい、衣装も黒ずくめで、朗々たる声で観客を魅了していました。音響効果でエコーがたっぷり効かせられていましたが、あの声ならあんなにエコーは要らないだろうに、と思いました。

 1幕で印象に残ったのは、「退屈しのぎ」の場の、皇后エリザベート(一路真輝さん)がハンガリーにて幼い娘を喪う場面で、トートが口の端をゆがませて浮かべる笑みの表情。基本的には「死の運命にある者を連れて行って何が悪い」と言いたげな冷笑なのですが、瞳はどこか哀しみをたたえて揺れています。昨年の初見時には冷徹さしか感じ取れなかったのに、今回初めてトート閣下の複雑な内面に触れることができました。この場面に1点だけけちをつけるとすれば、「闇が広がる」の導入部の歌声が怖いことでしょうか。声色を変えている上に、エコーが効きまくっているのでなお鳥肌が立ちまくりでした。
 2幕前半の聴かせどころはエリザベートとトートのデュエット「私が踊る時」。山口トートはダンス時にあまり小技を効かせず無駄な動きはしないのだけど、エリザベートをじわじわと着実に死への誘惑で追いつめていく。一路シシィは心を揺るがせつつも毅然と突っぱねる。そんな心理戦が楽しいナンバーでした。
 「微熱」の場で身をやつした侍医の姿から一転、マントを翻して正体を現す時のケレン味も良いです。歌い出す直前の「それがいい!エリザベート、待っていた!」でくるくる変わる艶のある声色には、1幕とは違う意味で鳥肌が立ちました。
 「闇が広がる」を初めとする皇太子ルドルフ(浦井健治さん)との一連の場面では、はっと気づくとルドルフと一緒に運命の糸に引きずられており、従ってあまり細かいトート・ウォッチングをできていません。ルドルフについては、昨年観たのはパク・トンハさんだったので、浦井さんは初見。友人達の評判は悪くはなかったけれど絶賛する話も聞かなかったため、実はさほど強い期待を込めてはいませんでしたが、歌声に伸びがあり、ダンスも割と綺麗、演技もルドルフの陰翳に富んだ性格をさりげなく表現、それに容姿に華もあるしで、意外に「使えるヤツ」と思わせるものがありました。…彼に対して相当に失礼なことを言ってますね、私。

 ルドルフの死後は場面も時代も次々に転換して、トートからルキーニへのナイフ(ヤスリ)投げも決まり、あっという間にエンディングへ。カーテンコールは結構長くやってくれました。何度目かのコール時に一路さんがゾフィー皇太后役の初風諄さんを抱きしめ、初風さんが涙する場面もありました。昨年の公演ではご病気のため休演されていただけではなく、恐らくは演技プランも変えての復帰後初の舞台でいらしたため、様々な感慨をお持ちだったのではないかと想像しています。実際、初演版CDでしか初風さんの演技を知り得なかった筆者が抱いてきたイメージは、「素っ頓狂な面もあるが鋼のように強い母親」というものでしたが、今回の舞台を観て以降は「鉄の鎧に喜怒哀楽を閉じこめて生きてきた母親」に変わりつつあります。
 また、ここまで記してはいませんでしたが、皇帝フランツ・ヨーゼフを演じた鈴木綜馬さんも良かったです。というより、今回トートの次にウォッチしていたのはこの方かも知れません。先月のレミゼの時も思ったのですが、ご自身の演じる役の美点も欠点も深い懐で全て受け入れ、その人物に真っ直ぐに向き合って演じているのが鈴木さんの良いところだと考えています。
 それから1点、あれ?と思ったのは一路さんの演技の変更ですね。少女時代の場面で昨年は確か側転をするなどもっと動きが活発だった筈なのに、今年はそうではありませんでした。単純に演出上の変更なのか、それとも別の事情があるのか、気になります。

 長々と記しましたが、5月の劇場詣ではこれが最後ではありません。来週もまた同一キャストの公演を観る予定です。そのために連休明けの仕事復帰が少し遅れますので、舞台からもらった元気を糧に、腹を据えてしっかりしなければ、と覚悟を決めているところです。

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2006.04.16

『レ・ミゼラブル』観劇記(注:長文)

 今を去ること2ヶ月前、1月の大雪の日の早朝から帝劇に並んでチケットを確保したミュージカル『レ・ミゼラブル』。月日は巡り、とうとう上演日である4月13日がやってきました。

 4月に替わったばかりの業務が落ち着かない最中に、また、
「独身時代を含めて、俺との約束でも平日はめったに休まなかったのに」
と連れ合いに嘆かれながらも休みを取って、実家の母親を連れて日生劇場に向かいました。

 客席に入れた時刻は、正式な開場時刻から20分ほど遅れて12:50頃でした。出演者に何かあったかと勘ぐってしまいましたが、おおかた舞台装置のトラブルとか原因はそんなところかと推測。開演はほぼ時間通りでした。

 主役の一人であるジャン・バルジャンを演じる山口祐一郎さんのお声の調子も良好でした。
 逃亡者であることの後ろ暗さや苦悩よりも、神の御心を信じて己の道を歩む者としての高潔さと強さが印象に残るバルジャンだったと思います。
 養女コゼットの思い人であるマリウスを守るために自ら学生達の戦いに飛び込み、つかの間休息するマリウスを前に歌う情感たっぷりの「彼を帰して」は泣けます。

 実はレミゼは子供の頃ジュブナイル版レミゼを読んだきりで、未だに完全版は未読というていたらくです。その頃はバルジャンの「罪」が何であったかというのが今ひとつ理解できずにいました。ファンテーヌを救えなかったという「罪」はともかく、法的な観点での「罪」についてさえも、どうして何もしていないのにいつまでもジャベールに追っかけられなければならないの?と思っていた始末。
 今回の観劇でようやく彼の罪状――仮出獄許可証を破棄の上失踪、偽名を使い実業家を経て市長に就任、身元が判明して再度逃亡――というのを理解した次第です。たぶん、彼の行動に全て人道的にやむを得ない理由があったが故に、脳内で「あれは犯罪ではない」と変換されていたんでしょうね。そして、そんな犯罪にこだわり追いかける運命に落ちてしまったジャベールに思いを馳せることも当時はほとんどありませんでした。もしかしたら蝿ぐらいにしか思っていなかったかも(ひでぇ…)。

 他の方のバルジャンで見てないので1点だけ気になったのは、砦の場面で手足をもてあまし気味に昇降してるのは、老人の演技なのかそれとも素なのかということでした。ここは「演技」であると信じたいところです。
 体技にちょっと「?」なところがあるが故に、山口さんを「歌と容姿だけの大根」呼ばわりする向きもあるようですが、筆者としては決してそのようには思っておりません。少なくともバルジャンについては、役の人物の温かさも高潔さも強かさも全て汲み取っている「適役」であると思っています。

 リトルコゼット抱き上げ大回転を見る限りは「踊れない」「動けない」という評価は全面的には正しくないとも感じるのですが(ぼそっ)。

 他の役で目立ったのは駒田一さん演じる悪党テナルディエ。
 レミゼは全体に重たい物語であり、舞台照明もどことなく薄暗いのですが、そんな舞台を華やかに活発に引っかき回す役割を見事に演じていらっしゃいました。神も地獄も関係ねえよ!という感じ。
 特に駒田さんは2月に「屋根の上のヴァイオリン弾き」で、気弱で誠実な仕立屋という正反対の役の演技を見ていたので、俳優さんの役に化ける演技ってすごいな、と改めて感心しました。
 マダムテナはモリクミさんの評判が高いようですが、田中さんもマダムの物の怪チックな面が上手く出ていて悪くはないと思いました。

 小さな大役のガブローシュは子役の大久保君。文字通り命と引き替えに奪った敵方の弾薬入りカバンは大変良いタイミングで学生役の方の手に届いていました。

 アンジョルラスは東山義久さんでした。動きが若々しく切れがあって良いです。砦で撃たれて反対側に落ちて逆さづり状態で息絶えるのですが、落ちてから舞台が回って砦の反対側が現れるまでにかなり間があるので、どの時点からスタンバイしてるのかとそういうくだらないことが気になってしまいました。何故か逆さづりに拍手が起きてましたし(^^;)

 あと注目したのは笹本玲奈さんのエポニーヌ。
 弱冠二十歳という若さもあって、諸先輩方を飛び抜けて秀でているかと言うと確かにまだ彼女は発展途上ではあるのかもしれませんが、エポニーヌの報われないひたむきさを前面に出した演技が印象的でした。

 そしてジャベール。当日のキャストは鈴木綜馬さんでした。
 バルジャンの罪にこだわり続け、彼を捕まえ司法に委ねることで自らの正義を全うできると信じている刑事。ファンテーヌの臨終の病室での対決を経て、学生闘争の後、下水路でバルジャンを追いつめながら、「重傷のマリウスを救うための猶予をくれ」というバルジャンの願いを受け入れて逃がしてしまった彼が入水自殺を遂げたのは一体何故だったのか?
 司法的には正しくないけれど人道的には正しい、そして神の御心に照らしても恐らく間違ってはいないであろう行為を黙認したことで、彼の中の確固たる信念が崩れてしまった。彼はその信念に殉じるために…というのはたぶん解釈の一つにすぎないでしょう。あるいは自分が信じてきたものは星の巡りと同じく神の摂理であった筈なのにそれに裏切られてしまい、じゃあ神って一体何なんだ?という矛盾に駆られてしまったのか?一度の観劇ではとても全てを見透かすことはできないのだと思い知りました。
 ただ一つ確かなのは、ジャベールが「まっすぐな人」であったということ。そして、そのまっすぐさを綜馬さんが見事に演じきられていたということ。それだけです。
 ちなみに一緒に観劇した母には綜馬さんの演技が好評でした。

 今期のレミゼ観劇は残念ながらこの1回のみ。またチャンスがあったら再見して、今回見切れなかったディテールを堪能したいです。他のバルジャンも見てみたいように思いますが、きっとまた山口バルジャンを見てしまうんだろうなあ。

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2006.03.07

『屋根の上のヴァイオリン弾き』感想

 もう1週間以上前の話ではありますが、遅ればせながら感想をアップしておきます。

 2月26日、日生劇場で上演されたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』を観てきました。行けなくなった友人の代理で急遽決まった観劇でして、「昔森繁さんがロングランでやってたヤツ」ぐらいの認識しかなかったため、取り急ぎ公式サイトを流し読みしました。日露戦争と同時代の帝国崩壊を目前にしたロシア、ユダヤ人迫害…どうやらかなり重そうなテーマを抱えた物語らしいという印象を受けました。恥ずかしながら、屋根の上のヴァイオリン弾き=常に足下の危うい流浪の運命を背負ったユダヤ人の象徴、であることを初めて知った次第です。
 しかし実際に観賞後に心に残ったのは、迫害の中にあっても篤い信仰と誇りを持ってたくましく生きるユダヤ人達の明るさでした。確かに主人公テヴィエの3人の娘達が親の意志に背いて選んだ順風満帆とは言い難い結婚や、定石のハッピーエンドではない終幕など、決して軽くはないお話でしたが、ユダヤの人々、特にテヴィエ夫妻のにぎやかで温かく、かつ毅然とした、何昔か前の日本人をも思わせるキャラクターが、物語全般のトーンを心地よく作り上げていました。
 このミュージカルが、日本で40年近くもの長きにわたり再演を繰り返し、愛されてきた理由がわかるような気がします。

 要の一つである音楽についてですが、『屋根ヴァ』はミュージカルとは言ってもストレートプレイの度合いが強いようで、案外「ここが聴かせどころ」的な場面は少なかったりします。もちろん音楽は切っても切れない大事な要素ではありますが。
 私的な聞き所は大学生で後にシベリア流刑となる吉野圭吾さんと、次女役剱持たまきさんのデュエット「すべてが今はこの手に」でした。何と申しますか、辛い状況下でも常に未来を見据えて生きていく若い力が込められていたと思います。
 長女役匠ひびきさんはほとんどソロで歌うシーンがなく残念でしたけれど、ダンスはやはり隙のない所作をされていると思いました。
 市村正親さんの舞台を引っ張っていく力は言うに及ばず。飲んべえだけど神との対話を欠かさず、家族の幸せを心から願っている親父テヴィエを見事に演じきっていらっしゃいました。
 三女役のあさみんちゃんについては、失礼ながらスタートでちょっとつまずいてしまったアイドル、という知識しかなく、ちょっと心配していました。実際のところ、歌うシーンがほとんどない、可愛くあることが全てのような役なのであまり評価のしようがなかったのですが、声の出し方とか、ダンス技術とか、もうちょっと修行を積んでくれないかな、とついオバさんはツッコミを入れてしまいました。
 同行した友達から教えられて驚いたのは長女と結婚する貧しい仕立屋役の駒田一さん。純朴で気弱だけど誠実、という仕立屋さんのキャラクターをコミカルに演じていらしたのだけど、4月に東京でも上演される『レ・ミゼラブル』では対照的な悪漢テナルディエを演じられるとか。ちょうど筆者の観劇予定の日が駒田さんの出演日なので、楽しみにしておきたいと思います。

 以下は余談。
 観劇の日が通算上演1300回に当たっていたので、もしかしたら特別なカーテンコールがあるかも?と考えていましたが、特にそういうのはありませんでした。
 ただ、もしかしたら、「いつもより1回多めに幕を上げてます」みたいなのはあったのかも知れません。気が付かなかったけれど。

 もう一つ。1幕目、かなり年の離れたテヴィエの長女との婚約を申し出る肉屋とのかけあいを見ながら、
「親子ほど年の違う結婚って、市村さんそのものじゃん。…いかん、よそ事を考えてはだめだ、パッパッ」
と邪念を振り払っていたところ、どうやら同行の友人も同じことを考えていたらしいことが休憩時間に判明(^^;)。筆者は気づかなかったのですが、どうやら幕間ににぎやかしく市村さんの結婚話をウワサされていた方がいらして、連想せざるを得なかったようで。

 物語の上で肉屋さんの願いは結果的に叶わなかったわけですが、市村さんはめでたし、で良かったなー、とつくづく思いました。

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2006.01.28

『ベガーズ・オペラ』観劇記

 と言うわけで、日生劇場で公演中のミュージカル『ベガーズ・オペラ』を観劇してきました。筆者の本格的ミュージカル鑑賞はこれが3度目。そして日生劇場はお初です。

 パンフを買って座席に向かおうとすると、ロビーに何か人だかりが。覗き込んだら、そこでは5月の『エリザベート』の予告映像が流れていました。こういう映像があるのに何故東宝さんはDVDを出さない?等の疑問を口にしつつ凝視してしまいました。映像化権の取得などややこしそうなステップがあるので、外野が考えるほど簡単ではないのでしょうけれど、いつか実現して欲しいものです、DVD化。

 18世紀のロンドンの貧民街を舞台にした、乞食が書き乞食が演じる芝居が1日だけ老俳優の厚意により正式な劇場で上演されることになった―というのがこのミュージカルの設定です。演者と観客の境目があいまいだった当時の演劇に倣い、舞台上にも客席の一部が設置されて時に観客が演技に参加したり、演者が休憩時間に客席に降りて物乞いをしたりという楽しい趣向もいっぱい盛り込まれています。こういう遊びのあるお芝居というのを観たことがありませんでしたので、今回はひたすら目を見張るばかりでしたが、リピーターになればなるほど楽しめる内容だと思いました。

 俳優さんについては、『エリザベート』で山口祐一郎さんとダブルキャストだった内野聖陽さんの演技を初めて観ました。役柄はメインの2人の女性と三角関係に陥るなど女性にもてまくりの追いはぎマクヒース。登場した瞬間、エリザでも定評があったという全身に行き渡る細やかな演技と上品な色気に惹きつけられました。内野さんで個人的に意外だったのは歌声です。山口さんの歌と比べるとどうも・・・という評判から、勝手に「内野さんの歌はジャイアン」と思いこんでおりましたが、ところが。張りのある良いお声ではありませんか。後でShelkさんとも話したのですが、数々の舞台をこなすうちに格段に上達されたということのようです。
 ちなみに歌声については高嶋兄こと高嶋政宏さんにも同じような印象を持ちました。この方は昨年エリザでも観てますが、何というか、安心して観られる悪党ぶりが良いです。

 もう一人の主役、劇作家を演じた、Shelkさんお勧めの橋本さとしさんは、劇場の空気をつかみ左右するという重要な役を見事にこなしていらっしゃいました。
この方、『プロジェクトX』の後番組として今年1月からNHKで放映されている『プロフェッショナル』のナレーションも担当されているということでしたので、火曜日に見てみました。舞台と同様、滑舌の良い素敵なお声でした。
 あと、笹本玲奈ちゃん。プロフィール(http://www.horipro.co.jp/talent/PF043/)を見ると弱冠二十歳というのに、歌良し演技良しダンス良し。しかも可愛い。末恐ろしい娘さんです。帝劇でゲットしたレミゼ公演が彼女のエポニーヌ出演日に当たっているようなので今から楽しみ。

 その他、島田歌穂さん、森公美子さん、村井国夫さんら実力派の方々の歌と演技も十二分に堪能することができました。モリクミさんは休憩時間に1階の観客の皆さんから食べ物プレゼントを受け付けたり、3幕で「千と千尋」の湯婆婆のような怪婆に変身したりと大活躍をされていました。テレビでもかいま見えていた通り芸達者な方です。

 と言うわけで、楽しい観劇が終わり、降り続ける雪の中をまっすぐ帰宅したかというとそうではなく、その後友人とともに宝塚アンに寄ってエリザの感想同人誌を入手し、日比谷シャンテでおそばを食べ、さらに銀座で美味しいお弁当とパンを購入、と、普段とあまり変わらない行動を取っておりました。20時頃帰宅。この日はお弁当を食べ終えただけでもう余力がなかったです。ほとんど何もせずにすっかり泥のように眠ってしまいました。

 ちなみに今日は雪が降ってからまる1週間。降った雪の4割方はまだわが家のアパートの庭などに残っています。しかも部分的にまとめて凍ってたり。そんなに日当たり不十分なのか?>うちのアパート(^^;)。

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初めてのミュージカルチケット抽選会

 先週土曜日の明け方、アパートの玄関のドアを開けたら、階下は一面の雪景色でした。
湿気を含んだ冷気の中を、覚悟を決めて一歩踏み出します。
 そう、朝8時から帝劇で行われる『レ・ミゼラブル』のチケット購入抽選会に間に合うように出かけなければなりません。よりによってこの関東にしては随分多い雪の日に。しかもしょっぱなから電車に乗り遅れました。

 7:20頃有楽町駅に到着、待ち合わせた友人Shelk S/Oさんと帝劇へ向かいました。帝劇への来場番号は223番、天候もあってか屋外で待つこともなく、すぐに劇場内の客席に座らせてもらえました。間もなく抽選時間の8時がやってきて、説明の後は順番に劇場の出口方向へ歩きながら抽選箱からくじ引き。筆者のみ何とか番号券を引き当てました。しかし193番というかなり微妙な番号。何故微妙かと申しますと、当選番号(つまりチケット購入の並び順番)は200番が最終。つまり、残っていればラッキー、自分の番の段階で売り切れていても文句は言えない順番なわけです。

 指定された行列時刻までたっぷり間があったので、周辺を彷徨った末に帝国ホテル1Fのレストランでちょっと高めの朝食。パンと果物(モモ)の甘煮とオムレツをいただきました。オムレツの、自分で作ったときには決してありえない仕上がりの美しさと柔らかさに感動しっぱなしでした。

 ホテルを出て、いざ抽選会場へ。末の番号の宿命で、次々売り切れマークの付いていく公演日を横目に、151番から200番の人の列の後ろに並びました。土日公演の山口バルジャン日を希望していましたがやはり全滅。Shelkさんの希望日も全滅。結局、平日で唯一残っていた山口バルジャン日を2枚購入いたしました。折角S席のセンターを獲得したので、何とか休みはもぎ取るつもりですが、公演期間はよりによって1年で最も本業が忙しい時期のため予定が固まらないので、間際にどうしてもダメならチケット交換などを確保するしかなさそうです。

 こうしてどうにかチケット抽選への初チャレンジは終了したので、本日の上京のもう一つの目的であるミュージカル『ベガーズ・オペラ』鑑賞のため、日生劇場へと歩を進める筆者たちでした。

 長くなりましたので、続きは次の記事で。

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2005.09.24

エリザベート余談

 先日ミュージカル『エリザベート』を観てきた話をしましたが、その内容についてはほとんど連れ合いには語っていませんでした。そんな中、昨日ふと「誰に背中からハグされたらうれしいか?」という話になり、
連「ヨン様とか?」(注:別にファンではありません)
私「いや、今は、山口祐一郎さんに背後に立たれただけで心臓が止まるかも」
連「誰それ?」
 というわけで、劇場で買ってきたエリザベートのパンフレットを開いて見せたのでした。素顔の写真を探しましたが、後ろの方のページに載っていたためすぐに見つからなかったので、とっさに最初のキャスト紹介の、Wキャストの内野さんと見開きで役(トート)の扮装をして写っている写真を見せたところ、

「これはあれか?X-●A●ANもどきのバンドが解散して、メンバーが真の音楽を求めて旅に出る話か?」

という予測もしなかった反応が。
 ・・・「もどき」って何だよ、とか、パンフの他のページも見てから発言しろ、とか、人の趣味に少しは興味を示せ、とか言うことは山ほどありましたが、その時はとにかく爆笑しました。想像力の豊かさというか、長髪巻き毛=ビジュアル系バンドという直球な発想があまりに衝撃的で。いや、そう言われても仕方ない彼らの扮装ではありますが。

 彼を少しだけ擁護しますと、小学生の頃課外授業の一環で、帝劇に劇団四季かどこかの「子どもミュージカル」を見に行かされたそうです。途中まではまあ普通に入れ込んで観ていいましたが、ある時唐突に「さあみんなも一緒に歌いましょう!」と舞台から声がかかりました。
 「えっ、何?」と戸惑う彼の前にステージ上の天井からするすると降りてきたのは何と歌詞を書いた巨大な垂れ幕。入れ込みをぶち壊されたことにショックを受けた彼は、以来ミュージカルというものにちょっとしたトラウマを抱くようになってしまったようです。
 加えて、普通のミュージカルや宝塚に見受けられる「一見さんには入り込めない様式美・お約束」というものに妙な畏怖感を覚えているらしく、ミュージカル=自分は知らなくて良いものと思い込み現在に至っているのでした。
 そんな彼に、天井から吊されて大音量で歌いながら降りてくるトートとか、電飾階段で歌うトートとか、各場面で不気味に踊りながら舞台装置を運んで来るトートダンサーズとかを見せたらどう感じるのでしょうね。これはいつか一度は大人ミュージカルに連れて行かねば、と思いました。

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2005.09.19

『エリザベート』観てきました

 8月に『モーツァルト!』を観劇して以来、ミュージカルという演劇分野がちょっと気になってきていましたが、土曜日、友人の好意により帝劇で上演中の『エリザベート』を観劇することができました。当日朝は家事やらが色々間に合わず、電車を一本乗りはぐり、待ち合わせた友人を10分待たせる始末。それでもどうにか帝劇に早めに到着することができました。
 12時に開演。19世紀のオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフに嫁いだ女性エリザベートの、その束縛を嫌う性格ゆえの波乱の人生と、彼女に魅入り執着する黄泉の帝王トートとの愛憎を縦糸に、時代のうねりの中滅びに向かいつつあるハプスブルク家の姿を横糸に織りなされた物語がきらびやかに展開されていきました。

 筆者が観たのは、トート=山口祐一郎、フランツ・ヨーゼフ=石川禅のバージョン。特に山口さんについては8月の『モーツァルト!』以来気になって仕方がなかったのでわくわくと見守り、さすがの美声と華やかな存在感にただ引き込まれるばかりでした。パワフルなナンバー「最後のダンス」も、皇太子ルドルフとの哀愁あふれる「闇が広がる」もそれぞれに良。偽医師に化けてフランツの不貞を病のエリザベートに伝える場面では、正体を現し彼女を黄泉に連れ去ろうとする姿のオーバーアクションに思わず笑ってしまいましたが。『ルパン三世』で不二子を襲おうとするルパンを連想したのはきっと自分だけでしょう。
 エリザ一路さんとフランツ石川さんは初見でしたが、場の空気を造り出す歌声と演技にため息。「プロフェッショナルとはこういうものか」と思わせるものがありました。

 全てを見終えて印象に残ったのは、エリザベートという女性が自我を押し通し続けたのと引き替えに周囲の人間が失ったものの大きさでした。一度の裏切りを最後まで許してもらえなかったフランツ。その裏切りをそそのかした結果息子に背かれ、失意の内に他界する皇太后。そして、孤独な幼年時代を送り、父帝と政治的に対立した故に遠ざけられ、「僕はママの鏡だから」と母后にすがりつくも突き放された末、トートに魅入られて黄泉に連れ去られたルドルフ。彼が最大の犠牲者でしょう。エリザベート自身が宮廷の犠牲者と言ってしまえばそれまでですが、彼女の自由を求める心を理解はできても実際のところ共感するのは難しかったです。フランツの裏切り発覚後は「自由を求める」というよりも夫から、息子から、ひいては宮廷制度や政治から心情的に逃げているのが見え見えでしたし。彼女も一種の「魔性の女」であって、それこそがトートに魅入られた要因ではないかな、うん、などと心の中で納得したりして。

 ・・・などと真面目に書いてみましたが、今回の観劇にはかなり笑いの要素も含まれていました。実は参加した公演はミュージカルのスポンサーになっている某カード会社のスペシャルデーで、サイン色紙や終演後の主役2人(一路さんと山口さん)との記念撮影権などが当たる抽選会が開かれるなどしていたのですが、問題はこの記念撮影時。筆者はもちろん当選者ではなく客席から眺めていただけでしたが、一路さんと連れ立って登場した山口さんの手には黄色と緑に染め抜かれたカード会社のノボリが!しかも撮影中か否かを問わず、自分の挨拶中(駄洒落あり)もずっと持ちっぱなしの上、一路さんの挨拶中には客席に対して横向きに立った自分の身体をノボリですっぽり隠しておどけてますし。実は大変にお茶目でサービス精神旺盛な方なのだとわかりました。友人によればファンには自明のことのようでしたが。
 加えて何とも楽しかったのは、同行した友人たちとの会話です。『エリザベート』を初めとする様々なミュージカルを見続けてきた彼女たちの、舞台に対する鋭くも暖かく笑えるツッコミにはかなり楽しませてもらいました。内容を詳しく書くと俳優さんたちのコアなファンの皆様に叱られそうなので、差し障りのなさそうなことを一つだけ書きますと、皇帝夫妻がハンガリーに乗り込む場の民衆の歓迎の言葉「エーヤン エリザベート!」が、彼女たちの話を聞いたあとはどうしても「えぇやん、エリザベート」という関西弁にしか聞こえなくなりました(^_^;)。どちらもあまり意味が変わらないのがまた何とも。

 今回の観劇後、有楽町の「ホイリゲンハウス」のお茶会でウィーン料理を賞味しつつ友人たちと話していてわかったのは、ミュージカルというのは同じ演目や演出家であっても、演じる人によって相当印象が違ってくるらしい、ということ。例えばダブルキャストの片方の俳優さんは役の人物の冷徹さを強調し、もう片方の俳優さんは冷たさに潜む人間性に重点を置いて演じ、相手役もまたそれぞれの演技に合わせて少しずつ演じ方に変化を付けているのが、それぞれのキャストの公演を観るとわかるのだそうです。今まで、同じミュージカルのいくつもの公演のチケットを確保すべく努力を重ねる友人たちの様子を黙って眺めているだけでしたが、そうさせるだけの魅力が確かにミュージカル、というか演劇の舞台にはあるのだということを少しだけ理解することができたように思いました。
 ・・・また長文になってしまいました。どうもすみませんです。

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2005.08.15

ミュージカル『モーツァルト!』

さて、土曜日に東京ビッグサイトを後にして、友人たちと早めの夕食を済ませた後向かった先は・・・有楽町は帝国劇場です。友人のひとりNさんからお誘いいただいたミュージカル『モーツァルト!』。小学生の頃見た劇団四季の子ども向け演目以来とんとミュージカルに縁のなかった自分にとって、実質的な初ミュージカル観劇となります。
劇場独特の華やいだ緊張感にとまどいつつも、Nさん持参のオペラグラスをお借りして席に着き、17:45に開演。休憩を挟んで21:00終演と聞いていたので、自分のテンションが3時間も保つか?寝てしまったらどうしよう?と心配していましたが、始まると面白さに引き込まれて時の経つのを忘れている自分がそこにいました。
もともとはシンガーソングライターだったという主演の中川晃教さんの歌声ももちろん素晴らしく、屈折した天才青年のイメージをしなやかに表現されていましたが、何と言っても惹きつけられてしまったのは大司教を演じていらした山口祐一郎さんの存在感です。声量たっぷりのバリトンの力強い歌声で、舞台に登場しただけでオーラを放つ美丈夫。天才作曲家に執着し手の届くところに閉じこめようとする権力者を、華やかに重々しく、ちょっぴりコミカルに演じていました。終演後劇場入口前に集まった際に友人たちからは、コミカルな演出は「ちょっとやりすぎ」という意見も出てましたが・・・。とにかく、座席は比較的舞台に近い側なのに、それでも彼が登場するたび眼前にオペラグラスをかかげて見守ってしまいました。それから、主人公の父レオポルトを演じたベテラン市村正親さん。そんなに大柄な方ではないのに、舞台の上での存在感はやはり尋常ではないものがあります。息子の才能を育て上げたと自負し、自らの死後もなおその息子から離れることのできない父親の哀しみを、安定感のある歌声とともに見事に演じきっていました。
ストーリー自体はかなり救いのない内容です。神童と呼ばれた幼き日の自分の影を捨て去ることができない青年が、あふれる才能を武器に家族や権力者の執着や、世俗のしがらみを断ち切ろうと抵抗しつつ、裏返しのもろく流されやすい性格故か、切り捨てた筈のものに心を絡め取られ、自らを孤独な死に追い込んでいきます。曲折はあったものの相思相愛で結ばれた筈の妻コンスタンツェも、彼を救うにはあまりに純粋で幼すぎ、愛を求めるばかりで与えることはしてくれませんでした。貴族という特権者ではありましたが彼の才能の煌めきを温かく見守り、彼の自立を支えようとしてくれた数少ない人物である男爵夫人(香寿たつきさん好演!)がこの物語の唯一の救いだったと思います。劇中、モーツァルト父子が対峙し葛藤する節目で流れる曲「星から降る金」。男爵夫人=香寿さんの優しく包み込むような歌声を思い浮かべるたびに何故か泣きたくなるのです。

そして自宅に戻った日曜日。近所のCDショップには、帝劇の売り場でCDを入手しなかったことを悔やみながら山口さんの出演作を探しまくる筆者の姿がありました。しかしそのショップのミュージカルCDの品揃えの悪いこと。地元で2番目ぐらいには大きいショップの筈なのに、と舌打ちしながら仕方なく山口さんのファンサイトの情報を頼りにネット通販を当たったところ、東宝のサイトで山口版『エリザベート』の在庫があることを確認できたので、早速注文しました。明日お金を振り込めば、1週間程度でCDが届くはずです。楽しみが一つ増えました。

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