『図書館の近代』途中感想
休日はどうしても生活時間が不規則になりがちです。土曜日は夕方近い16時に昼食をとり、19:30には市内の中華料理店で夕食を取っていました。その後自宅に戻りましたが2時間以上も眠ってしまい、気づいたら夜中になっていたため(^_^;)、日記を更新できませんでした。
土日にかけて、『図書館の近代』(東条文規著, 1999.3, ポット出版)の第3章まで読了。この本では国家による図書館政策の黒歴史が綴られているのですが、ようやく第2次世界大戦の日本敗戦まで行き着いたところです。特に植民地における図書館政策について取り上げた部分が充実しており、戦前・戦中にわたってその政策に携わった図書館人の功罪がよく理解できます。彼らの仕事は植民先の文化の庇護者を自負し、「内地」ではなしえなかった夢を実現しようとした結果にすぎないのですが、それでも現地に多くの犠牲を強いた植民政府側に立った者であるには違いないので糾弾されなければならないというのが複雑なところです。
満鉄こと南満州鉄道株式会社が図書館経営を行っていたというのは知りませんでした。しかも「赤城の子守歌」などで有名な歌手の東海林太郎氏が満鉄社員だったのは有名ですが、「鉄嶺図書館」の館長職を務めていたそうです。16へぇぐらい。
ただ、同書をここまで読んだ印象で、国家政策=すなわち悪またはうさんくさい、的な立場が貫かれているのですが、そこは本当にイコールで結びつけてよろしいものなのかはかなり疑問に思っております。残り1章はいよいよ戦後編。もう少しなのでがんばって読みたいと思います。
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コメント
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MIZUKIさん、はじめまして。
満鉄図書館ネタに反応してしまいました。
総合目録や相互貸借、列車を利用した移動図書館などの先駆的実践という意味でも、満鉄図書館はもっと注目されてよい存在のように思います。
「国家政策=すなわち悪」という立場とはちょっと視点をずらして満鉄図書館について論じたものとしては、
遺された蔵書 : 満鉄図書館・海外日本図書館の歴史 / 岡村敬二著. -- 阿吽社, 1994
もありますので、もし未読でしたらお試しを。
投稿: oba | 2004.06.20 17:07
oba様、コメントありがとうございました。
もともとこの本は戦後図書館史が「どうしてそうなったのか?」を知りたいと思い読み始めたものなのですが、満鉄図書館のくだりはそうした動機とは無関係に大変興味深く読むことができました。
『遺された蔵書』は『ず・ぼん4』の記事“植民地満洲・淪陥十四年その研究の中での図書館”(くろこ・つねお)でも言及されているようですが、残念ながら読んだことはありません。
この本は近所の図書館に所蔵されているようですので、こちらについてもそのうち読んでみたいと思います。
投稿: MIZUKI | 2004.06.21 01:48