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2004.08.11

オープン・アクセス(Open Access)

 紀伊國屋書店主催の、図書館の外国雑誌担当者向けセミナーに行ってきました。最近よく耳にする、学術雑誌の「オープン・アクセス(Open Access)」という方式について今ひとつよく理解できなかったので事前質問票に記入したところ、他の方も同じような質問をされたのか、丁寧な説明がありました。
 これまでの学術雑誌出版は、購読者からの購読料(会費)支払いにより成立してきました。しかし、現代の学術雑誌には毎年のような価格の上昇や、度重なる出版社の吸収合併に起因する大手出版社の市場寡占など多くの問題が存在しています。これに対し、論文の執筆者が各雑誌への投稿時に投稿料を支払いそれを雑誌の発行資金に充て、オンライン版雑誌(オンライン・ジャーナル)の無料公開を実現する方式が「オープン・アクセス」だそうです。
 最近では“BioMed Central”やOxford University Press社発行の雑誌“Nucleic Acids Research”で実践されているとか。これまでのオープン・アクセス雑誌は大手出版社発行誌への競合という形で出版されてきましたが、“Nucleic Acids Research”のような大手誌が参入したのは大きい動きのようです。
 ちなみに“Nucleic Acids Research”の今後の契約形態については、以下のようになるということです。


・オンライン版は無料公開とする。
・主に組織向けのメンバーシップ料金体系として、オンラインのみ購読料、オンライン+冊子体購読料の2種類を用意。
・メンバーシップ組織に所属する者が同誌に投稿を行う場合は、投稿料を非メンバー料金($1,500)の3分の1($500)とする。

 学術雑誌のオープン・アクセス化は、最近よく耳にする「機関リポジトリ」(大学等研究機関に所属する研究者の論文を当該機関のWebサイトに置き自由にアクセスできるようにすること)の推進にも通じる話なので、研究機関の一員としてはちょっとアンテナを張っておきたいと思っています。エルゼビア社が、今まで出版権や公開権を出版社に帰属させていた論文について、著者自身が自己保管し、自分のWebページや機関リポジトリで公開することを容認したというニュース(Liblog JAPAN)も過去にありましたし。
 同じLiblog JAPANに、「オープンアクセス関連文献リスト」というのもありました。様々な場で公表されている情報をつなぎあわせることにより、より正しい理解にたどりつければと思います。

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図書館」カテゴリの記事

コメント

ども、obaです。アリやらゴキやらとの戦い、お疲れさまです。
英語ですけど、オープン・アクセス関係などを含めて、最近の電子出版関連の動向をチェックするには、

Scholarly Electronic Publishing Weblog
http://info.lib.uh.edu/sepb/sepw.htm

が便利です(メールで更新も知らせてくれますし)。すでにご存じかもしれませんが、一応、ご参考まで。
ただ、こういうのを見ていると、内外の図書館情報学関係の研究者の層の厚さの違いを痛感させられてしまって、正直ちょっとつらい気持ちになったりもします。

情報ご提供ありがとうございました。
リンク先は当然ながら英語なので一瞬「うっ・・・」となってしまいましたが、そうも言っていられませんので、まずは気になるキーワードを拾うところから始めたいと思います。
しかしこれだけ情報が出そろう(気になるキーワードがたたくさんある)ということはつまり、それだけ図書館情報学研究が充実しているということで。日本は国土も狭いし欧米より人も住んでいないから仕方ないや、とあまり意味のない言い訳をひとりごちてたりします。

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