図書館に訊け!
明日は10日ぶりに出勤予定。一応たまっている仕事を家に持ち帰ってきたはずなんですが、全く進んでおりません(-_-;)。しかも明日中央館で開催されるサイエンス・ダイレクトの学習会の申し込みをすっかり忘れておりました。朝一番にでも担当の方に連絡を入れてもぐりこませていただかなければ。
ところで以前から気になっていた『図書館に訊け!(ちくま新書 486)』をようやく昨日入手し、読了しました。昨今冊子体だけでなくインターネット上にも様々な情報源が公開される中、主に学生が必要な情報を適切に探索する能力を身につける場として、いかに図書館の資料および職員を活用すべきかがこの本には説かれています。
研究と同時に学問教育の場でもある大学に身を置いている著者ならではの記述だと思ったのは、勤務先の大学で研究論文作成の基礎を習得させる授業を担当している教授が受講生に伝える言葉として紹介されている、
「レファレンス・ブック(注)で得た知識は、答えではなく単なる入り口に過ぎない。だから、調査した満足感にひたってその地点に止まっていてはいけない。(中略)つまり“次のステップに進める喜び”を見出さなくてはならないのだ」
(注:この本では冊子体(book)だけでなく電子情報など冊子以外も含めたレファレンス・ツールについての総称)
というものです。この言葉を深読みするなら、「“研究”とは何をどうすることか?」を大学に学びに来ている(ことになっている)学生が育つ過程において図書館のレファレンス・ライブラリアンは非常に大きな役割を果たすということになります。これが企業や研究所の図書館であれば、レファレンスの回答を出した時点でライブラリアンの役目は終わりになるところでしょう。利用者を「育てる」というのは教育機関に附属する図書館ならではの役割であり、大変新鮮に感じられました。公共図書館の児童サービスにも似た側面はあるかもしれませんが、教育機関ほど直接的ではなさそうです。(地域の学校と授業で連携している場合などを除く)
この本の主な対象読者はおそらく大学生であると推測されますが、ライブラリアンにとってもきわめて示唆に富んだ内容となっていると思われます。「(図書館の)利用のプロにならなければ、(図書館)サービスのプロになることは難し」く、「医者が患者に、教師が生徒に育てられるように、図書館も利用者によって育てられる」という著者の言葉が最終章に記されていましたが、全てのライブラリアンがこうした姿勢を失わずにいることによりサービスの質の低下を防ぎ、かつ向上につながるのではないかと反省しきり。
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