人の育て方
一昨日の話。うちの図書館で働いているパート職員のAさんから、「仕事がないんです」と相談がありました。現在我が館にはパート職員が3名いて、うち2名(仮にAさん、Bさんとします)に図書館のルーチン業務をお願いしています。Bさんは以前長期にわたりうちの館でパート職員として働いていたのですが、事情があって2年ほど前に契約を更新せず辞められました。しかし今年正職員1名が産休を取ることになったため、彼女の産休中および復職後の育児が軌道に乗るまでの短期間の約束で復帰されました。AさんはそのBさんが前に辞めた際後任として契約された方です。この2年近くは、それまでBさんが担当していたカウンター業務やILL業務をAさんにお願いしていましたが、Bさんの復帰にあたり、Aさんが受け持っていたILL業務の全部と、お休みする職員の業務の一部をBさんに引き渡すことになりました。もちろんAさんにもカウンター業務の他、それなりにルーチン業務を残していたのですが、どうしても手が空いてしまい食い足りなさを感じるようになったようです。
Bさんはベテランで、館のどこに何があるかを正直言って短期間で他館に異動してしまう職員より理解されています。一方、Aさんは努力は伝わってくるのですが、何せ年齢も若く図書館員としての経験年数も少ないので、どうしても仕事の進め方に甘さが見られるのは否めません。そんなわけで、筆者もついついBさんに仕事を回しがちになり、それも彼女の不満の原因になったのだと思います。しかしやはり仕事はやらないと覚えません。また、日常においてAさんが仕事上Bさんを立てつつも引け目を感じているらしいことには薄々ながら気づいていました。Aさんに自信をつけてもらうためにも、もう少し技術を要する仕事をお願いした方が良かったのではないかと反省しています。彼女がどれだけ応えてくれるかは未知数ですが、まずは簡単なオンライン書誌入力から覚えてもらうことにしようと考え、彼女にもそのように話して理解してもらいました。
折しもそんなことがあった日の午後、企業図書館に勤務されている方の、新入社員育成経験をテーマにした講演を伺う機会がありました。その企業の図書館には様々な事情で専門が不足しており、講演者の方が人事異動で2、3年図書館の現場を離れている間に図書館が十分に機能しなくなった(ひどいときは書架が物置同然の扱いをされたほどだった)ため、上司にねばり強く訴えてようやく専門知識を持った新人が配属されることになりました。その新入社員の教育で心がけたのは、社内の他部署とのつながりを持たせること、そして仕事をやりとげさせて自信をつけさせることだったと言います。
彼女は前者については、会社の主力商品の製造に関する基礎研修に新人を送り出すことで人脈を作らせました。図書館から社内に提供しなければならない情報に関する基本的知識を身につけさせるためにもその研修は必要だったということです。後者については、図書館の事業計画のうちの一つを新人に任せ、その取り組み結果について社内向けに発表させたそうです。「任せる」と口で言うのは簡単ですが、実は冷静な決断と勇気の求められることだと思います。正社員とパートタイマーの違いはあるものの、筆者が講演を聴く前の出来事を反すうし、人を育てる上では時に勇気も必要であると再認識した次第です。
また、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)中心に育てられた者としては、そのような研修を受けることのできた新人さんがうらやましくて仕方ありませんでした。もう少しだけ計画的に育てられていたら、そして無論自分自身が『成長してやる』という自覚を持っていたら、中堅と呼ばれるようになった今、もう少しましになっていたのではないかと負け惜しみを言ってみたり。
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