司書の権力?
少し前に山中湖情報創造館のブログで提起されていた「司書の権力」、特に公務員としての司書が特権的に行使できる権力についてずうっと考えていましたが、なかなか難しいです、これ。
蔵書の購入とか設備改善の提案によって一つの図書館を創り上げていくというのが、司書という仕事に与えられた最大にして最もオイシイ権限だと思いますが、これは公務員司書に限った権限ではないですし。正職員か否かなど、ある図書館における司書さんの身分に応じて予算の請求権限がある/ないということはあると思いますが、それは「公務員か否か」という問題とは違いますし。
上記ブログのコメント欄で通りすがりの大学生さんが述べられている、資料の制限などについては、行政機関とか自治体とかに与えられている権限であって(それを執行するのは確かに図書館長などの公務員ではありますが)、現場の司書自体に与えられている権力ではないなあ、と思います。
結局のところ、DORAさんのおっしゃるように、司書の所属している図書館が「『公』が設置した施設か『民』が設置した施設かという所での違い」であって、司書が公務員かどうかは実はあまり関係ないのではないのでしょうか。上級機関に所属する者ならともかく、下っ端の公務員には「守秘義務」や「兼業禁止」など、守るべき義務や制限こそあれど、特権というのが本来あってはならないのではないか、と筆者は考えます。
そんなわけで、筆者的には以下のように堂々巡りして、未だに答えを出すことができないのが現状です。
指定管理者制度などで民間団体や企業が、自治体等から委託された立場ということで「司書の権限」を行使するのは(たぶん)問題ない。
→下っ端の公務員司書的には、じゃあ私たちは一体なんなんだ?これから何をして生きていったらいいんだ?ということになってしまう。
→でも前述のような理由から、公務員じゃなくても別に司書の権限は行使できる。
→逡巡。
あまり役に立たない思考ですみませんです。
(ここからは公務員の権限がらみで筆者が連想した全くの番外的記述なので読みたくない方は無視してください)
筆者は公的機関に勤務しており、それ故に普通のアパートを借りるよりも遙かに安い家賃で宿舎(いわゆる社宅)に入居できていたりしますが、それを「特権」というのには断固抵抗します。もし家賃が普通のアパートなみに値上がりしたなら素直に払うまでですが、そのお金の分はきちんと宿舎のメンテナンスに還元していただきたい、と願っております。
そんな自分もさすがに大阪市のいわゆる「厚遇な福利厚生」は確かに厚遇が過ぎるんじゃないかと思います。でも、大阪市労連の「給与や手当までどさくさに紛れて削るな」と、市側の提案の重箱の隅をつつく気持ちも1%ぐらいはわかってしまう。そんな風にほんのちょっとでも理解を示してしまう自分に嫌悪感を覚えたりしています。
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mizuki様
はじめまして。hinaと申します。(オフではお会いした
ことが横浜あたりであります)
今回ブログをはじめてみました。司書の権力について関連
記事を作成しましたのでトラックバックを送らさせていただきたいと存じます。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿: hina | 2005.02.21 01:09
こんにちは、hina様。
こちらでははじめましてですね。もちろん覚えておりますよー。昨年横浜でご挨拶させていただきました。
上のエントリーに少し補足しますと、「答えが出ない」と書いてますが、司書が必ず公務員である必要があるかどうかについての結論はとっくに出てたりします。(^_^;)
ただ、その結論に対して公務員司書がどう向き合っていったら良いかについての答えが、知恵が少なくて出せないでいます。それが上で言いたかった「答えが出ない」ということです。
余談ですが私の職場の上位組織では今年度から、自治体で言えば司書職の採用区分にあたる職種での採用試験が廃止されてしまいました。ということは、現在の職場の図書館における仕事の質について将来的に保っていくには、現在正職員の司書が行っている仕事を民間の司書に委託するという選択肢もゼロではないわけで・・・。様々なケースを想定して将来を考えて行く必要があるようです。
投稿: MIZUKI | 2005.02.21 02:04
>>mizuki様
doraです。TBありがとうございます。
委託反対という立場ではなくて、ほんとうに公務員司書が必要な理由って無いのかなと考えてみました。
でも、図書館で仕事をするというだけの意味ではだめじゃないかと...。公務員である司書が必要だと言わせるためには、普通の公務員と違う仕事ができる司書であること、つまり民間と比較しても高いレベルの仕事ができる司書であることでしょう。
関連エントリーも作成しましたのでTBを送らせていただきます。
投稿: dora | 2005.02.21 11:33
dora様、コメント&TBありがとうございました。
連日膨大な分量の記事をアップされているのを、いつも「すごいなあ」と拝見しております。
図書館という場で公の財産を預かっていることに対して公務員が最低限の責任を果たすべきであるというご意見に共感いたします。
例えば資料の廃棄を決裁するハンコを押すだけなら「公務員」であれば別に「司書」でなくてもできてしまう。そこに専門家である司書が介在する意味を持たせること、つまり「この業務について余人を持って代え難し」とお上にも住民にもどう納得していただくかが重要なのでしょうね。
投稿: MIZUKI | 2005.02.22 00:57