ハローワークも民間開放へ
今日は5月1日。昨年同様、メーデーで行進してきました。参加者の中にしっぽがぴんと立った人なつこそうな顔のビーグル犬がいる、可愛いなあ、と思っていたら、どうやら昨年も同じ場所で出会っていたようです。
会場ではぼうっと歩いているだけで様々なビラが手元にやってきます。大半は、泥仕合に陥っている企業の組合争議に関するものでしたが、中に「ハローワークの民間開放は働く人の権利を後退させます」というタイトルの、1枚毛色の違うものが。内閣府 規制改革・民間開放推進会議で昨年末に打ち出された、ハローワーク業務を民間事業者に委託するという方針への反対ビラでした。ビラで訴えられている内容は次の通りです。
- 労働者派遣などを行う事業者にとって求人企業は「顧客」である。そうした事業者が労働基準監督署と連携し、顧客に対し適切な労働条件の指導を行えるとは考えられない。
- 職安業務には法令、幅広い職業知識、カウンセリングなどの専門性が求められるが、民間委託すると入札で契約企業が入れ替わるため長期的な養成ができず従って専門性の維持ができなくなる。
- 東京都の区や神奈川県の市の一部で既に民間委託が行われているが、就職率はハローワークより低く費用もかかっている。
- そもそもこの推進会議の委員は大企業のトップや学識関係者から構成されており、労働者代表がひとりもいない。ビジネスチャンスの拡大を担う業界の要望を代弁しているに過ぎない。
民間開放の流れは図書館だけではなくあらゆる公共施設に広がっているのだと実感しました。ただ、この流れを止めるのはやはり困難かと思います。
上記推進会議のサイトに掲載されていた「ハローワークの民間開放について」(PDFファイル)によれば、公的な職業紹介事業と職業訓練事業との連携がこれまで今ひとつうまくいっていなかったのを何とかしたいというのも、民間開放が提案された理由の一つだそうです。今後そうした状況を改善していくとすれば、これまでのハローワークで引き継がれてきた専門的業務だけで乗り切っていくのは恐らく難しいことでしょう。一方、民間事業者のノウハウの全てが公的機関であるハローワークに適用できるわけではないでしょうから、そこは両者が知恵をぶつけ合って改善のためのアイディアを継続的に提示していくことが大事なのだろうと思いました(上記のPDFにも数例のアイディアが載っています)。
どうか、実際に事業の現場にいる方には、流れを止めるのではなく国民がより泳ぎやすい流れに変えるために力を入れていただきたいものです。
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コメント
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そもそも、なんで職業紹介をする公的機関が必要なのかを、考え直す必要があるのではないでしょうか。また、例えばそこがなんで職業だけなのでしょうか? ボランティア紹介をどうしてしないのでしょうか?
って、公務員による直営とか指定管理者とかという以前に、実はそ〜んな根本的な課題が含まれているように思っています。
図書館は無料で本やビデオやCDを貸出しているのに、むしろ有料が前提の書店やレンタルビデオ店のほうが、利用が多かったりします。図書館の根本的な存在理由が、すでに揺らいでいるように、職業紹介/斡旋も、リクルートを筆頭に、地域の求人誌やフリーペーパーなどのほうが、よっぽど充実していたりしています。ハローワークそのものが、どうあるべきかを、問われているんだと思うのですが...どうなんでしょう?
投稿: maru3@yamanakako | 2005.05.02 00:14
職業紹介を利用する人にとって大事なのは、要望に適した募集がそこにあってできれば品揃えが豊富であることと、その募集内容が公のお墨付きであること(この場合は労基法に違反していないこと)であって、それが公営であるかそうでないかは関係ないと考えます。
そうした意味で、民営=公営に劣る、という理屈はもちろん通らないと思います。
ただ、どうしようもない公務員もいますが、その仕事で豊富な経験を積み、経験を仕事にしっかり反映させている人も存在するでしょう。そうした職業人の経験を丸々ムダにするようなことはしたくない、というのも本音です。立場上、身びいきなだけかもしれませんが。
投稿: MIZUKI | 2005.05.02 13:21