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2005.05.10

ミッフィー展

 日曜日にようやくミッフィー展(2005.4.27―5.9 松屋銀座にて開催;リンクは消えるかも知れませんが一応張っておきます)を見に行くことができました。筆者はもちろんディック・ブルーナさんの絵本を読んだことがありましたがどちらかと言えばキャラクター物としてミッフィー(うさこちゃん)を認識しており、さらに数々のキャラ物の中でミッフィーだけに特段の思い入れがあるわけではありませんでした。学生時代図書館や学童保育のお話し会に関わっていた頃も、読み聞かせにブルーナの絵本を選んだことはありません。ブルーナ絵本は幼児向けという頭があったので、小学生がメインターゲットであったお話し会には向かない、また、定番すぎてつまらない、と思いこんでいたためです。
 しかし、今回の展覧会を見て、改めてブルーナさんの作品が絵本として、絵画的にも物語的にもきわめて慎重に計算され尽くして創作された物であることを知ることができたように思います。例えばキャラクターの衣装や背景に見られるあのマットな質感はどのような手法で表現されているのか?カラースプレーか、あるいはシルクスクリーン?などと想像していましたが、会場で示されていた種明かしは丹念に筆で描かれた黒い線画を透明フィルムに転写したものに色数の限られた色紙をカットして組み合わせるという、実にシンプルなものでした。会場にはこの手法が完成されるまでのブルーナさんの試行錯誤の過程も展示されていました。
 また、物語についても、幼い子にもわかりやすいお話でありながら、わくわく感が高くかつ作者が伝えたいメッセージは穏やかに、でもストレートに伝えていることが展示からわかりました。特に、子どものわくわく感を高めるようなアイテムが物語のポイントに登場するのは大きいと思います。パイロットのコスチューム、おばあちゃんに贈るショール、両親と出かけるオープンカー、自分で耕した畑で取れるおいしいニンジンなどなど。
 絵本を適切に評価するには、本当は絵とストーリーだけでなく文章に使われている用語のわかりやすさについても判断しなくてはいけないところであります。残念ながら筆者はオランダ語を読むことができませんが、展示されていた原画に付与されていた文章は、読み慣れた日本語訳の絵本と同様、少ない単語で簡潔に記されていました。きっと、オランダの子どもがこれを読んだ時に受ける感銘は日本の子どもが日本語で読んだ時に受けるそれとさほど違いはないことでしょう。その絵柄の魅力とあいまってグローバル・スタンダード、というのはまさにこういうことであり、ミッフィーがキャラクター物としても長年人気を保ち続けている秘密の一つがそこにあるのだと悟りました。

 そうして会場を後にした筆者が抱えていたのは、図録の他、Tシャツ、ステイショナリーなどブルーナグッズでいっぱいのビニール袋でした。負けた、でも今日は絵本は買わなかったぞ、と奇妙な勝負感にとらわれながら。

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