研究者にとってのオープンアクセス
昨日、職場の上役から、『科学新聞』の5月20日号および5月27日号に、
「座談会・オープンアクセスで何が変わる?」(参加者:黒川清氏(日本学術会議会長)、北澤宏一氏(科学技術振興機構理事)、尾身朝子氏(東海大学教授))
という記事が掲載されていると教わったので、ざっと読んでみました。各日見開き2枚という、新聞の特集記事としてはかなりのボリュームです。
記事の内容については、研究を実施する立場、あるいは学術雑誌に投稿される論文の査読や評価を行う側の立場で語られている座談会なので、一介の図書館員としては正直言って感覚的に少々わかりにくい点があったのも事実です。しかし、オープンアクセスの実現により研究者に対しもたらされるメリット・デメリットについて研究者自身がどのように考えているかを知るには良い記事だと思います。
例えばオープンアクセスによって論文の読者範囲がぐっと広がる一方、Googleなどサーチエンジンでヒットした論文は、掲載誌のレベルと無関係な評価の場にさらされる。従って、これからの研究者には玉石混淆の中から論文の質を見抜く価値観の向上が求められる、という見解には、図書館員の立場で考えさせられるものがありました。これは極端かもしれませんが、図書館員としては、伝統と定評と権威のある雑誌に載っている論文や、PubMed Centralに掲載されている論文は、一定以上のレベルを保ったものばかりであると信じたいのに、そんな判断基準は研究者にとっては無意味になり始めているのかも?と今更思ってみたり。やはり購読誌の選定に当たっては、お金の許す限り研究者の皆様のご意見は聞き捨てず真面目に拝聴しよう、と当たり前の事を改めて自戒する筆者なのでした。
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