雑誌の図書館関係記事
図書館に関する記事を載せている雑誌を同時に2冊見つけたので、買ってきました。
1冊目は『東京人』no.216(2005年7月号)の小特集「こだわりの専門図書館」。約17ページの記事中半分が代表的図書館の紹介で、半分は「私の利用術。」ということで識者や文化人がそれぞれお勧めの図書館について語るという内容でした。
前半の図書館紹介では「丸善本の図書館」など7館が取り上げられていましたが、紹介内容が文系に偏っているのがやや不満。「船の科学館読書ルーム」と「秩父宮記念スポーツ図書館」以外は文学・映画・マンガといった文系ジャンル中心になっており、まあ、『東京人』という雑誌の対象読者が関心を抱いている主なジャンルはそちらでしょうし、それにページ数が限られているので仕方ないかもしれませんが、せっかく「専門図書館」をタイトルに掲げている以上、もう少し幅広い分野を取り上げていただきたかったです。
ただ、後半の利用術紹介の方は割と読むところがありました。専門図書館特集なのにお勧めの公共図書館について述べている津野さんの文章は意図がよくわかりませんでしたが、他の方の文章は、明治時代の東京の風俗文化についての資料を読める図書館や、「沖縄と植民地下の台湾の歴史」に関する資料が充実した図書館、あるいは映画史研究家が長年貴重な資料の収集に活用してきた図書館を紹介するなど、それぞれの物書きとしての努力の秘密の一端を見せてくれていて、なかなか興味深く読むことができました。
もっとも、一番身近に感じたのは、古書店の目録に記載されている明治期の高価な貴重資料の購入を決める前に国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」で該当資料の内容をチェックするという、林丈二さんのお話でした。あのライブラリーにはこんな活用法もあったのかと目からウロコが落ちました。ただ、林さんの文章には「国会図書館のサイト」としか述べられていなかったので、ライブラリーの名称とかURLを編集部で補足しておいて欲しかったと思います。(国会図書館のトップページURLはありました)
もう1冊は『小学六年生』58巻4号(2005年7月号)に見開き2ページで掲載されている「めざせ! 図書館マスターへの道!!」。浦安市立図書館の取材協力で、実際の浦安の司書の方がモデルとして登場し、「調べものの極意」について説明するという形式の記事でした。知りたいキーワードはまず事典を見る、分類番号を目安に探す、などの基本的な資料の調べ方を解説しながら、節目節目でとにかく「司書さんに聞く」「声をかける」など、困ったら「調べものをするプロ」である司書を使え、と強調している文脈に深くうなずきながら読みました。
仕事上、調べ学習の子どもを含む一般の方から専門家に質問を橋渡しする機会が多い身としては、こういう「調べ方教室」というのは歓迎です。もちろん専門家に回答を仰ぐというのは一つの疑問解決手段ではありますが、特に子どもについて「君、何も自分で下調べしていないでしょ?」「指導の先生にも確認をとっていないのでは?」と言いたくなるような調べ学習をしている場合がよく見受けられましたので・・・。
なお、「図書館マスターへの道!!」の次ページからは、「ホームページ検索必勝法」のマンガ形式説明が4ページにわたり掲載されていました。こちらにも「個人情報はひとりで勝手に入力してはいけない」「入力する必要がある場合は、保護者の人と一緒にしよう」など、ツボな注意書きがあって役に立ちそうです。そうか、個人情報保護はこう言って教えればいいのですね。
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