今更、船橋市立図書館蔵書廃棄事件に思う
「子どもの本の出会いの会」元会長、現日本ペンクラブ会長井上ひさし氏への土橋悦子氏に関する質問状
というのがとある方のブログに出ていました。
というのがとある方のブログに出ていました。
土橋さんというのは船橋市立図書館蔵書廃棄事件の渦中にある同図書館の司書の方です。この事件については関連の記事等を流し読みしかしていませんし、あまり深く突っ込んで書くつもりもありませんが(それが今までスルーしてきた理由)、自分としてはシンプルに次のように考えています。
1)この方は少なくとも「図書館の自由」に向き合う立場にある司書としてやってはならないことを行ってしまった。
「図書館の自由」というのはその時々の政治や社会の風が吹けば簡単に飛んでしまうようなものかもしれないけれど、それをできる限り踏ん張らせるのが司書の仕事の筈なのに。
2)司書個人の思想・信条のみで蔵書の運命が左右されるのは確かに公正ではないと思う。
ただ、「著作者に無断で」蔵書を廃棄すること自体が「人格的利益の侵害」にあたるという理屈はいただけない。いちいち著作者にお伺いを立てないといけないのか?
また、廃棄基準がある場合はそれに従えば良いが、基準のない図書館はうっかり「司書の判断で捨てる」こともできなくなってしまうかも知れない。それはいったいどうなのか?
―で、この質問状に対する感想としては、確かに土橋司書の行動は突っ込みどころ満載ではあるけれど、質問をもらった側もすごく困るだろうな、と思ったわけですが・・・まあ、ここに質問状を送ろうと考えた発想はコペルニクス的だと感心しています。よく突き止めたなあ、とか。
なお、日本図書館協会のサイトに8月4日付けで「船橋市西図書館蔵書廃棄事件裁判の最高裁判決にあたって(声明)」(注:PDFファイル)が出ていました。(Copy & Copyright Diaryの記事など)
メインの内容は
「図書館と図書館員は『図書館の自由に関する宣言』と『図書館員の倫理綱領』を守り、収集や除籍等の方針、基準、手続きを明文化して公開しよう」というものでしたが、上で触れた2)の「著作者に無断で廃棄しちゃいけないってどうよ?」問題については触れられていませんでした。「図書館の自由」の今後に対して漠然とした不安をぬぐい去ることができません。しかもその不安の正体が何であるかを語れる言葉を自分は持ち得ていないので、ただただ苛々するばかりです。
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