続・大阪市立図書館のカードの謎
9月30日付け「大阪市立図書館のカードの謎」の記事で取り上げた、同館の利用者カードが館ごとに別々で共通化されていない?の話について、以前に同館でお仕事されていたというひまわりさんからコメントにて情報提供をいただきました(ありがとうございました!)。
新たな情報の内容を筆者なりにさっくりまとめると概ね次のとおりです。
- 利用者情報データベースはそれぞれの館ごとに作られており、データベースが納められているコンピュータ自体はネットワークから切り離された状態(スタンドアロン)である。
- だから貸出予約は登録館扱いとなっている。
- 実は1枚のカードでも全館利用できる。
- ある館の貸出冊数がオーバーした時には別の館のカードを使って借りられた(=貸出冊数は館ごとに別カウント)が、現在はそれはできない(=どこの館で借りても冊数は全館トータルでカウント)。
以下は、わが家に在籍するライブラリアン2名がこれらの情報から推測した内容です。
まず、恐らく同一の利用者のカードに振られたIDは複数の館で共通なのではないでしょうか?
そうでなければ、同一利用者が複数の館で本を借りた場合に通しで冊数を数えることはシステム的に難しいでしょう。
各館で登録された利用者情報については、何らかの形で中央館のメインコンピュータにネットワーク接続して送信される仕組みになっていると考えられます。例えば昼間はローカル登録だけ行い、夜間にメインコンピュータに接続・送信するとか。
もちろん全館でカードを1枚にしてしまうことも技術的には可能だと思います。
ただ、昔は恐らく全ての館でネットワーク化が進んでいたわけではなかったために、利用者情報データベースは各館で別々に作る、という業務の流れが定着したのではないでしょうか。
また、メインコンピュータとのネットワーク接続にトラブルが生じた時でもローカルでの貸出処理を行うことができるように、あえて利用者情報の登録はローカルで行っているということも考えられます。
それに、顧客管理の面で、各利用者がどの館のメインユーザであるかを(データをいちいち照会することなしに)一目で把握する目的もあるのかもしれません。そもそも24館全部でカードを作るような アホ チャレンジャーの存在は想定されていないでしょうし(笑)。
最後に残る「貸出予約がカードを作った館でしかできないのは何故か?」の疑問についてですが、考えてみたら本の受け渡しを確実に行うためには当たり前のルールですね。
というわけで、疑問はだいぶ氷解してきましたが、これらはあくまで推測の域を出ておりません。大阪市立図書館に電話して訊けば解決するのかも知れませんが、私的な好奇心を満たす目的で先方の手を煩わすのもどうかと思われるので、それはしないことにします。
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コメント
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うーん。利用者側の立場で分かっていることですが、
冊数勘定はトータルでないですよ。
各貸出館毎(他館取り寄せ分は、貸出館計算)8冊までなので、
例えば、A・Bふたつの図書館があるとして、
(1)A図書館のカードしかもってない人
そのA館カードで→A館8冊B館8冊。
計16冊借りられます。
但し、カードを読みとると、
他館での利用状況(借りていれば)も参照されます。
しかし、それぞれの勘定なので、
延滞でもしてなければ、特に何も言われません。
(延滞していれば、あなたは他館で延滞してると
注意はされるでしょう)
(2)A図書館カードとB図書館カード別々にもっている人
A館カードで→A館8冊。 B館カードで→B館8冊
こちらは、他館での利用状況が参照されない。
要するに、同じ人でもカード毎に
別人格があるという事だと思います。
投稿: グググ | 2005.11.03 00:14
グググ様、コメントありがとうございます。
なるほど、複数館でカードを作っているかいないかにかかわらず、貸出冊数は借りる館単位で計算してもらえるのですね。
そちらの制度を知れば知るほどにそのユルさ加減が何とも面白くあります。
投稿: MIZUKI | 2005.11.03 03:02