柏市立図書館のこと
このエントリもまた、感情的なものから抜け出すことができませんが・・・。
今月の『図書館雑誌』が届いた際、特集テーマの「市町村合併と図書館活動」というのを見た瞬間、自分の仕事とは無縁だな、つまらないな、と思っておりました。
しかしながら本日ページをぱらぱらとめくっていて目にとまったのは、2005年3月28日の市町村合併で千葉県柏市に吸収された旧沼南町の「図書館を考える会」の代表だった方の記事でした。
記事の内容は、旧沼南町に図書館を設置するため10年以上も努力を続けてきたが、柏との合併により町は消滅。要望してきたことの一部(地区館の設立)は実現方向に向かいつつあり、また、図書館建設の要望は老朽化した柏市立図書館の新中央館の建設請願へと形を変えて生き続けているというものです。
もう15年も昔のことになりますが、司書課程の実習でまさに柏市立図書館に2週間お世話になっていたことがありました。手狭なスペース、書架からの蔵書のあふれなど、その頃からひよっこ学生の目で見ても問題がないわけではありませんでしたが、30万都市(当時)という規模で分館も多数あるこの図書館においては、受入、装備、カウンター対応、おはなし会などの本館でのルーチンワークはもちろんのこと、分館(「考える会」の方の記事にもある豊四季台分館)や移動図書館車での1日お手伝い、ひいては選書会議の傍聴まで、シビアなお金の管理以外の業務を幅広く見せていただくという得難い経験をしました。職員の方々がそれぞれのポジションで誇りを持って懸命に仕事をしているのだということが伝わってきて、「よーし、私も公共図書館に就職したらがんばるぞ」と素直に影響されたのを覚えています。(結局公共館に就職することはありませんでしたが)
ところが記事から伝わってくる現在の柏の図書館状況は、旧沼南町図書館ではできた電話での貸出延長サービスができなくなったとか、また、「老朽化」「狭い」というキーワードが使われていて、必ずしも良いものとは言えません。自分が実習した時に「書庫の建設計画がある」という説明を受け、また、数年後に無事書庫が建ったらしいという話も聞きましたが、その後の状況については全くウォッチできていませんでしたので、「え?あの柏市立が?」と驚いています。
合併により、これまで享受してきた公共サービスが全く異なる住民同士が同じ生活圏に加わるわけで、そうした意味で市役所には非常な努力が求められることでしょう。昔、柏市民ではない筆者にもありありと感じられたあの図書館の「生き生き感」が15年の間にどうなったかはわかりませんし、また、予算にも限りがあるかもしれません。しかし、ぜひどうにかして図書館をパワーアップして、新たな住民にもあの「生き生き感」を伝えて欲しい、と思います。それが、ほんの少しあの図書館に関わりを持った者からの密やかな願いです。
« 災害と図書館 | トップページ | 癒しって何だろう? »
「図書館」カテゴリの記事
- かえるのピクルス期待の新鋭、りぶちゃんに訊く! 本とか図書館のこととか。(2021.10.02)
- 砂浜図書館に行ってきました(2020.08.10)
- 映画『ニューヨーク公共図書館 : エクス・リブリス』感想(2019.6.1 10:15鑑賞)(2019.06.09)
- 小山市立中央図書館農業支援サービス事業10周年記念シンポジウム参加レポート(2017.11.29)
- ここ2年、何してた?(2017.11.26)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
柏市立図書館の児童図書コーナーで育ったワタクシとしては、感慨深いものがあります・・・
ぜひとも、パワーアップしてがんばってほしいです(T-T)
投稿: silverberry | 2005.10.21 08:57
silverberryさん、いらっしゃいませ。
そういえば元・柏市民でいらしたのですね。
図書館の立場から見ると、サポートすべき人口や地域が増えたことで、今までのサービスでは通用しなくなってきているのでは?と思います。
現場の職員にはこれまで以上に創意工夫が求められていることでしょう。頑張って欲しいものです。
ただ、建物の老朽化問題は創意工夫だけではどうにもならないので(^^;)、そこにはまた別の頑張りが要りそうですね。
投稿: MIZUKI | 2005.10.21 19:06