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2005.11.30

“「東京」を観る、「東京」を読む。”展

土曜日、「東京人」観察学会主催の展示会“第1回“「東京」を観る、「東京」を読む。”展”(リンク先:PDFファイル)に出かけて参りました。
 “「東京人」観察学会”では、東京という移ろいゆく都市の風景を撮影した写真を素材に社会考察を行う「集合的写真観察法」という手法を用いて、1994年以来「写真+タイトル+解説」という形で、大学のゼミに所属する学生たちが作品を発表し続けています。よくわからない方は観察学会のウェブサイト(上のリンク参照)で過去の作品が公開されていますので実際にご覧いただくのが早道かと思われます。

展示会場では今年度の作品の実物を拝見しました。今回は例年に比べて全体的にやや突っ込みが足りないような印象を受けました。「個性が薄すぎる」とも思いましたが、こちらの感想は全く的はずれであったことが後に判明します。

展示会を観る前に、同時開催の講演会“「東京」と「東京人」を写真によって読み解く”も聴講させていただきました。今回の観察学会の作品展はプロの写真家である柿沼隆氏が東京を撮影した作品とのコラボレーション展示として企画されたものであり、講演会にも柿沼氏がゲストとして参加されていました。
 講演会では、柿沼氏と観察学会それぞれの、様々な東京の現代の姿を撮影した作品から、そこに見られる社会状況の分析を行うという試みが行われていました。例えば、警告ポスターや監視カメラに頼らなければ犯罪を抑止できなくなった社会病理を表現した2004年度の作品「コミュニティの衰退 -監視社会化を引き起こす根本原因-」の後に柿沼氏の撮影した現代の子どもの笑顔の写真、そして土門拳氏撮影の昭和20年代の腕白坊主の写真を比較対照することにより、地に根の生えた生活感を我々が切り捨ててきてもはやノスタルジーの中にしかそうした生活感を見出せなくなった社会状況を浮き彫りにする、といったスタイルで、数枚の写真からこんなにも多面的な社会分析を行えるものかと感心し、そして考えさせられた会でした。

講演会・展示会を全て見終えた後、連れのおまけとは言え、何と図々しくも観察学会のゼミ懇親会にお邪魔させていただくことになりました。ほとんどの時間は、大量の料理とお酒をあっさり消費していく若者たちのパワーに圧倒されるばかりでしたが、その中でも何人かの若者が話しかけてくれ、会話することができました。
 彼らの説明から、観察学会の作品を作る上で、写真を撮影するのは各個人が行うものの、その後写真をセレクトし、タイトルや解説文を練り上げるのはあくまで集団討議で行われることを知りました。また、写真の撮影者は思い入れを避けるために自分が撮った写真の討議からは外されるとのことです。―つまり、それら作品にとっては個性から脱却することが重要であり、「個性が薄い」ことを批判するのは勘違いもはなはだしかったわけです。しかも観察学会のサイトの「はじめに」にを読むと、こうした作品の作られ方がしっかり解説されておりました。・・・すみません、勉強不足でした。
 しかし、何だかんだで「社会学」とはどういうものであるか、その一端に触れることのできた大変有意義な1日でありました。

 ところでついででしたので、あまり時間もありませんでしたが、大学の図書館も軽く見学してきました。新しい図書館で、内装も綺麗、机には情報コンセントも完備、という誠にうらやましい環境でしたが、ただ1点気になったのは学術雑誌のカレントなタイトル数があまりに少ないということ。まあ、本当にコアなものは研究室でも買っているだろうし、オンラインジャーナルも活用されているのだろうけれど、総合的な学問を取り扱う学科の図書館なのだから、もう少し冊子体が揃っていても良いのでは?と思いました。とにかく時間がなかったので、書庫や学習室の充実ぶりをきちんとチェックすることができなかったのがかなり心残りです。
 ・・・ということで、図書館の話が少ないのですが、一応この記事のカテゴリには「図書館」を付しておきます。意地のように(^^;)。

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コメント

「東京人」観察学会を主宰する後藤です。
この度は、展覧会&講演会にご参加頂いたばかりか、大変詳細なコメントをいただきましてありがとうございました。
11月22日に始まった展覧会も、明日の午後3時に閉じることになっております。今日現在(9日間)で1500名の方々にご来場頂き、沢山の励ましやあたたかい言葉をいただくことができました。
来年以降も、異領域の専門家を招いてのコラボを展開したいと考えておりますので、またぜひお越しいただければと思います。

>後藤先生
拙文をお読み下さったばかりか、コメントまでいただきまして大変恐縮しております。
少し辛めの部分も含まれる感想になってしまいましたが、おかげさまをもちまして、当日は楽しいひとときを過ごさせていただくことができました。
自分には先生のゼミ会のような交流を持った経験がありませんでしたので、学生の皆さんが羨ましい限りです。
改めてお礼を申し上げるとともに、今後ともまたよろしくお願いいたします。

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