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2006.01.12

大阪市立図書館のカードの謎・解決編

 もうずいぶん前になりますが、こちらのブログで、「大阪市立図書館のカードの謎
続・大阪市立図書館のカードの謎」の二度にわたり、同館の図書館カードが館ごとに別々に作成されて共通化されていない。では利用者管理は一体どういう仕組みで行われているのか?という謎について取り上げてきました。

 この謎について、昨年末に大阪市立図書館の中のとある方(以下、『中の方』と呼ばせていただきます)から、

> Googleでたまたま目にとまったので記事を拝見させて頂きました。
> その後、疑問は解消されたでしょうか?
> 少しばかり誤解があるようなので気になっております。

という書き出しで始まる、大阪市立図書館ネットワーク(通称OMLIN)の利用者情報管理の仕組みについて大変丁寧に解説されたメールをいただきました。メールを下さった方、ありがとうございました。

 以下は、いただいたメールの内容を自分の文章で再編集し直したものです。元の文章とはかなり変えてあります。また、結構長文になっていますのでご了承下さい。
 もっと短くわかりやすくしたくて年末から試行錯誤しておりましたが、どうも自分の文章力ではこれが限界のようです。せっかく良い情報をいただきながら申し訳ございません。


 まず、OMLINの管理用オンラインデータベースでは、いわゆる個人情報はオンラインには一切載っていないそうです。登録されているのは

  • 利用者ID
  • 貸出資料ID
  • それらに付随する項目(登録日など)

といった最小限の項目のみ。

 利用者の個人情報は、各館ごとに設置されているコンピュータにオフラインで登録されています。
 ここでポイントなのは、このコンピュータが完全にオフラインであって、オンラインデータベースとの同期作業も行っていないということ。例えば他館からの予約資料が届いた場合は、予約資料IDと予約者IDをFDに保存し、オフラインコンピュータ側で予約者氏名を特定、予約票を出力しているそうです。
 従って、ある館で登録した人(=カードを作った人)の個人情報をオンラインで参照することはできません。ゆえに館ごとに別々のカードが作成されており、「24枚のカード」のようなケースも起こりうるのでした。ただしカードは3年で有効期限が切れ、登録館で更新手続きが必要になるそうなので、いっぱいカードがあっても利用されないものは淘汰されていくことでしょう。

 じゃあ相互貸借はどうするんだろう?という疑問がありますが、ネットワークで結ばれている図書館相互では利用者IDと資料IDさえ特定できれば良いので、問題なし。

 このように個人情報データが完全オフラインであることのメリットは、ネットワークへの不正侵入によってデータが漏洩することはないということ。中央の管理用データベースに侵入されたとしても、漏れるのはカード番号と貸出中資料の情報だけ。
 実際、不正アクセスに遭ったときも個人情報データは無事だったという実例が以下のURLに紹介されています。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/jiyu/column02.html#199708

 一方、システムが鉄壁過ぎることの難点としては、

1)職員であっても、その都度自館のオフラインコンピュータにアクセスしないと利用者の個人情報を即座に特定できないという手間がかかる。

2)利用者がどこの館のカードを持っているかを職員は知り得ない(オンラインで特定することはできない)。

3)利用者への貸出資料の督促は、他館で借りた資料であっても登録館からしか行うことができない(利用者の連絡先は登録館でしかわからないため)。

といった点があるものの、個人情報保護を重要視するという観点からこの方式が続けられ、利用者へも協力をお願いしているとのことでした。


 以上について感想を申し上げますと、今までの謎のほとんどが今回のメールで解消されたと同時に、図書館側にとってはかなり煩雑な手間を伴うシステムであるという印象を受けました。ただ、利用者の立場から見ると、図書館のオフラインデータベースのセキュリティが守られている限りにおいては非常に頼もしいシステムであると言えるでしょう。

 利用者ではなく図書館員の立場としては、
「システムを作り込みして、1台で何とかオフラインデータとオンラインシステムの両方にアクセスできるようにすれば本当は便利なのに」
などとつい考えてしまいますが、確かに2台に分けておくのが最も間違いのない方法ですし、また、現場で働く方々がきちんとシステムのポリシーを了解して運用しているのなら、それはそれで良いのかな、と思いました。

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