『図書館雑誌』2006年8月号
書物蔵の記事で、『図書館雑誌』2006年8月号掲載の「2006年度定期総会議事録」の話題を2点ほど取り上げていました。人の褌を借りるようですがアンテナに引っかかってどうしようもなかったので、以下、元記事をチェックした感想です。
1点目は、2006年5月号の特集「地域に生きる図書館」に載った根本彰先生の論文が、同じ特集の他の記事と内容的に違っており、基調論文の役割を果たしていない、という指摘が総会の席上、滋賀県立図書館の方からあったとのこと。
根本先生の論文を読み返してみましたが、他の特集記事と比べてとりわけ浮いているということはないように見えました。多分、書物奉行さんもおっしゃってるように、公共図書館の経営戦略として「貸出」にこだわり続ける前川先生への反論を述べたのがいけなかったのだろうと思います。
ただ、よく読むと根本先生の論文は、貸出冊数向上のための努力そのものを批判しているのではなく、単にこれからは貸出だけにこだわってちゃだめだよ、とした上で地域コミュニティの中での新たな情報拠点としての図書館活動(特集で取り上げているビジネス支援や街興し支援も含む)をお勧めしているだけのことなので、「そんなに批判しなくても…」というのが正直な印象です。
前川先生の功績の大きさは少しでも図書館史を学んだことのある人間であれば十二分に承知している筈で、今やそれはご本人の意図とは無関係に大きな「権威」になってしまっています。ビジネス支援がベストの手段かどうかはさておき、いつか権威はぶち壊さないと新しい物が産まれないというのがお約束だと思いますが、いかがなものでしょう。少なくとも日図協さんは、あの特集について
「たしかに結果を見てみると、ややばらばらな印象がある」(8月号p541より)
とかおっしゃらず、もう少し自信を持っても良いんじゃないでしょうか。
もう1点は、上と同じ方から、くだんの根本先生の論文について、
「『図書館雑誌』が送られてくるかなり以前に、公共図書館員が匿名でやっているブログの中で論文の中身が流れていたようである」(同号同頁より)
という話。
これは単純に、雑誌の配送事情によるタイムラグから生じた誤解のようではありますが、確かに、「東京っていいな」と思うのはこういう時です(笑)。前も同じようなことを書いたような気がしますが、東京から離れれば離れるほど郵便も宅配メール便も届くのが確実に遅くなるわけで。よくBBSやSNSで見かける、
「『少年ジャンプ(例)』ネタバレは○曜日まで禁止」
と同じように、東京の日図協会員には『図書館雑誌』ネタバレは一週間待って欲しいな、と願う人の気持ちも非常によくわかります。ただ、他方でインターネットならではのブログやBBSを活用した速報性というのも大事ですので、インターネットで情報を集められる以上は「ネタバレあり」のブログ等の存在も是非許容して欲しい、と思います。
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