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2006.10.19

司書07年問題

 時間がないので少しだけ。後で書き足すかも知れません。
 ――と、書いたのが今朝のこと。とりあえず、以下のニュースについて思うところを書き残しておきます。

 司書07年問題:今後5年で半数定年 都立図書館ピンチに−話題:MSN毎日インタラクティブ

 東京都で司書職の採用が中断されたことによる、火を見るよりも明らかな結果だと思います。現場の職員はこの数年ずっと歯がみし続けているんでしょうね。今の都知事が替わらない限り方針転換は難しいのだろうけど、ねばり強く戦っていただきたいです。その昔、今の職場と東京都を併願して、都を袖にしてしまった不届き者としてひっそりと見守っております。

 とは言え、実はうちの職場も似たような状況に陥っているのであまり人のことばかり言っていられなかったりします。新人さんの採用が抑制されている上に、司書の職種の採用試験は2、3年前に廃止になりそれっきり。採用試験の廃止に当たっては色々議論があったらしいけれど、結局は別職種で採用された人員の中から、司書資格が無ければ講習で取らせるなどして育成しなさい、ということになったようです。
 そう言えば自分より職階が上の、中間管理職に近い立場にある方を見やっても、10年昔ならヒラの職員や係長がやっていたような実務的作業を今なお担当しているケースが非常に多かったりします。かく言う自分も部下無しの立場なので、各種実務は基本的に自力本願です。若い世代の職員の数が減っている影響がこんな所にも出てきております。現在合理化の波と戦ってくれている、図書館部門生え抜きの課長クラスの方々が2、3年のうちに定年を迎えたら、果たして我々の運命は?という不安でいっぱいです。

 とりわけ都立図書館のように、「(中央図書館の)各フロアで特定分野に精通した司書がいる」(上記記事より)レファレンス態勢を整えてきたようなところにとっては、ベテランがごっそりと職場を去るのはかなりの痛手であるに違いありません。「都立図書館のレファレンス」でかいま見られるようなレファレンスの質の高さを少人数で保っていくには、「広く浅く」ではなく少しでも「広く深く」を目指しつつ、長年のノウハウ伝授を断ち切らないような司書の努力が必要と思いますが、世代交代ができなければそれは難しそうです。
 逆に、外注や派遣という形で新しい世代の司書を増やすとしても、「先人のノウハウを断ち切らず」「広く深くツールに精通し」「一定以上の質を保つ」ことのできる中堅クラスの司書と、そうしたノウハウを吸収し拡大再生産することのできる若手クラスの司書と、両方必要なのではないでしょうか。そして、本人及び職場が希望すれば継続することのできる雇用の保障も。

 自分でこれを書いていて、かなり保守的かも、とは思いますが、司書の資格も、ある分野に関する専門的知識も、あればそれで済むというものではなく、経験の伝授というのが欠かせないので、やはり業務の継続性がものを言ってくると考えます。また、個人的には司書にもライトスタッフというのが存在すると信じておりますが、例えばそれがやや欠け気味だとしても、過去の積み重ねを受け入れ応用する柔軟性があれば、十分補えることでしょう。
 司書という職業は、金銭的に魅力が薄れていく一方で、そうした意味で今後一層質の高さが求められていくのではないでしょうか。いや、質が高くても生活が立ちゆかなければ何の意味もないのですが。生き延びるための条件の何と厳しいこれからの社会であることか。

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