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2006.11.14

続・図書館屋の商魂

 先日書いた「図書館屋の商魂」で書き足りない点があったので少しだけ補足します。

 その際も記しましたように、図書館で働く人間は自分の仕事の面白さのツボは知っておいた方が良いと思いますし、また、「図書館断想」の記事にもコメントさせていただきましたが、自らの仕事場の持つ役目をきちんと理解し、利用者に知らしめる為にはある程度の図書館という場への愛着は必要だと考えています。
 しかし、図書館で働く人間がその仕事場たる図書館に思い入れを持ってさえいれば良いとは考えておりません。と言うのも、その思い入れが過剰になることにより、冷静な判断が必要な時にそれができなくなる場合もあると思うからです。図書館を利用する人間の立場も経験も1人1人異なるので、図書館側の人間には利用者に対し決して1個のみの決めつけを押しつけるのではなく、柔軟にアプローチすることが求められているのではないでしょうか。
 また、異動が無い、あるいは少ない図書館であるならともかく、現在の勤務館から別の館あるいは部署に異動した場合、前任館での業務の全てを活かせるわけではありません。そうした意味で、ある館での業務経験を自分の中で規範とするとしても、その規範に縛られて物が見えなくなるのは良くないと思います。

 正直申し上げて、これを書いている本人自身、相当に頭が固くてどこかに固定観念を見つけたがる人間であるのを自覚しており、上記のような割り切りについて言うのは簡単、実行は意外と難しいということを日々折に触れ感じているところです。
 図書館において仕事を進めるに当たり、最も視点を据えなければならない対象はもちろん利用者ですが、同時に算盤を弾いて、組織内の予算を管理している側とも向き合わなければなりません。他館の担当者との連携やバランス保持も必要でしょう。このように仕事の上で考えていくべき事柄は多いですが、その一方で、仕事には無私でありたいと考えつつ、何年か後に自分の今の業務を誰かに引き継ぐことを考えると、あまり重すぎる荷物を背負い過ぎてはいかん、という計算などというのも働かせる必要があります。
 どうも抽象的な書き方しかできませんが、要するに申し上げたいのは、図書館で働く者は自分の立ち位置も含めて様々な立場で多面的に物事を考えていくのが相応しいのではないか、ということです。

 物事の一面しか見えていないと後が怖いぞ、と思ってしまうのは、最近二週間連続でミュージカル『マリー・アントワネット』を観た影響もあるのかも知れません(笑)。いっぺん為政者になって図書館の予算をああいうレベルで浪費してみたいもんだ、と思いますが、そもそもお金自体十分にはないですし、お金があったとしても、偏った目的に注ぎ込んだことで後から付いてくるダメージの大きさを考えるとああは出来ないなあ、とため息をつくばかりです。

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