図書館屋の商魂
図書館断想 - 「利用者の立場」
読んだ瞬間「ディープな図書館屋さんによる図書館屋の為の釣り記事だ」と思いましたが少しだけ釣られて感想とひとかけらの反論を書いてみます。
図書館はあくまで道具であり、本当に欲しい本は借りずに手元に購入してしまう、というのは、筆者自身の普段の生活姿勢そのものだったりします。「自分の職業的立場からしか物事を考えられなくなる」のも、そうではいけないとわかっていながら結局罠というか職業的エゴに陥っているという、大変良く理解できる状況です。
ただ、図書館屋としてこの記事で1点だけ引っかかったのは、
「図書館の仕事が好きだとか、誇らしいとか、そういうことは己だけが分かっていればいいのであって、他者に披瀝するような感性を持っているから目が曇るのだ。」
の部分です。
普通の人は確かに図書館が無くても生きていけるのですが、五分ほどの魂を持つ一寸足らずの図書館屋の立場からすれば、
「公共図書館は本を借りたり読んだりするだけじゃなくて、調べ物をしたいならレファレンス、子供を物語に親しませたいならおはなし会、色々楽しみがあるよ」
とか、
「大学図書館は学生さんが無事学業を修めるために、授業に使う図書とか論文執筆のお手伝いなんかもできますよ」
「専門図書館にはその道の蔵書は揃えてるし、時には専門家の助けも直接借りて調査しますよ」
とか、是非図書館に縁の薄い普通の人にも布教したいところです。そうやって普通の人を図書館道(笑)に引っ張り込むためには、図書館の人間自身がそれなりに図書館に思い入れを持っていないとやっていけないんじゃなかろうか、というのが筆者個人の持論です。
これはもちろん、司書というのはお給料をいただいて図書館という場を司るプロのスタッフである以上、基本的には情にほだされず、正確な知識の下にビジネスライクに仕事をこなすべきであるという姿勢に共感した上での考えです。司書は全ての利用者の要求を完全に理解し満足させようなんて大それた事をもくろんではいけないと思うけど、少しでも満足に近づくことを目標にするだけなら許されるんじゃないかな?
スーパーの経営者や店員が自分のお店の売り物を堂々と宣伝するように、図書館にいる司書がビジネスとして自分の職場の利用価値を宣伝していけない理由はないと思います。とか何とか言ってる自分は現在図書館の人ではなかったりするのですが。
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