レファレンスとコンピュータサポート
図書館のレファレンスとコンピュータの電話やメールによる利用サポートって、ちょっと似てるよね、と思った瞬間があります。相手がパニクったりしていて、「どんなOSで」「どのソフトで」「どんな操作をした時」「どういうタイミングで」「何が起きて」「どんなエラーメッセージが出たか」を上手く説明できないような時に、根気良く質疑応答のキャッチボールを行うことにより、相手の求めるものを引き出していくという点で、2つの仕事に共通するものがあるのではないかと。
でも家でそのことを雑談しているうちに、やはりそれらは似て非なるものだということを理解するに至りました。利用者(顧客)とやり取りを行って要求をまとめるところまではどちらにも共通ですが、レファレンスにおけるプロ(ライブラリアン)の役割は資料あるいは資料の調査結果をご提案するところまでであって、それらの資料や調査結果を使って最終的な答えを出すのはあくまで利用者です。
ところが、コンピュータのサポートにおいてはご提案だけじゃなくて、持てる技術をフル動員した上でプロ(ヘルプデスク)が最終的な問題解決まで持ち込むのが主な目的となっています。そりゃ確かに訪問サポートではなく電話等による遠隔サポートの場合、コンピュータの操作を直接行うのは顧客側ではありますが、あくまで「次は○○を行って下さい」等のプロの操作指示に従って操作しているに過ぎないわけですし。キャッチボールで変化球を投げてる間があったらさっさと直せ!とか言われてしまいそうです。
実はこれまでの仕事人生の中、素人ヘルプデスクを務める機会が結構多かったので、説明する前にさっさと直したり、手に負えないと匙を投げてコンピュータに引導を渡したり(あくまで素人なので…)する方が早道、という状況は何度か経験しましたし、現在も時たまそういう状況に直面することがあります。しかし一方で、ある程度の年月を図書館屋として過ごしてしまったが故に、自らのそうした対応に頭の片隅で「利用者自身の手で解決してもらわなくていいのかい?」と突っ込んでしまうこともままあります。
レファレンスとサポート、それぞれの立場において接客ノウハウに違いがあると言ってしまえばそれまでなのですが、やっぱり全然異なるようです。……どちらも解決を見た時はプロとして嬉しいことには変わりないのですけれど。
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