「読書週間」に図書館屋が思うこと
どうやら現在「読書週間」らしく、新聞に最近読書ネタが取り上げられているのを見かけます。他の方のソーシャルブックマーク経由で、
の記事を知りました(最近の朝日新聞は嫌いと言いながら朝日読者なので)。
後者の社説には、結構図書館屋さん方が「小説や古典(所謂NDC9類)だけが本じゃないぞ」って噛みついてるという印象ですが、世間の大多数の人にとっては本=NDC9類という連想は仕方がないんじゃないか、と更にへそ曲がりな筆者は思ってしまうのです。
だって、生まれて初めて子供が出会う本というのは、ちゃんと統計を取ってはいませんが恐らく大人の本と同じように仕分けると9類である確率が高いわけで。もちろん人生最初に眺める本が電車や自動車の絵本(あくまで一例)という子供も大勢いるでしょうけれど、9割方の子供が最初に目にするのは、ただの物や言葉の羅列も含めて何らかの「おはなし」を持った絵本だと思われます。そのような状況下では、一般的に本=NDC9類というくくりもやむを得ないでしょう。
もちろん図書館屋としては、9類にしか造詣のない司書というのは論外です。また、子供たちが学校で勉強するに当たって、9類以外の本を「読む」んじゃなくて「使う」術は是非覚えて欲しい、とも常々考えております。でも、そういう本を使うにはまず言葉を覚えることが必要であって、言葉を覚えるのに最も手っ取り早いのは9類の本だと思うのです。だから言葉の勉強→読書→文学という連想はあながち間違いではないんだろうな、と。
ただ、ケータイ小説を読む為の言語理解と、調べ物をする為のそれとは決してイコールではないわけで、そう言う意味では他の図書館屋さん方の主張は的を射ていると思います。やはり子供時代から幅広い分類の活字に目を通してもらう為の、図書館側の宣伝努力というのも必要なのです。前にどこかで(某外資系学術出版社のフォーラムだったかな?)「調べる過程が楽しいのは図書館員だけ」という言葉を聞いたことがありましたが、普通の人でもちょっとぐらいは「調べる楽しさ」を知っておいて欲しいし、図書館はそういう目的でも利用出来るんだ、ということが頭の片隅にでもインプットされるよう、じわじわと宣伝するのは大事なことであると思います。
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