図書館という迷宮の出口はどこ?
以下は最近はてな界隈で話題の、同じ方のブログエントリ2件。
図書館業界の腐りゆく状況 - 火薬と鋼
それでどうするんですか - 火薬と鋼
これを書かれた方と同様、自分も図書館の金の流れをどうしたら良いかなんて本腰入れて書くのは大嫌いです。本当はそういうことを考えるのは仕事だけにしておきたい気持ちがかなりあります。
と言いつつ手前の仕事がらみの近況を少しだけ申し上げますと、洋雑誌の経費節減の為にさんざん頭を捻って方策を考えて、系列館の皆で努力してそこそこの成果は出せたというのに、それに対して努力が足りないとケチ付けられました。もっと成果(あくまで経営面での成果であり、必ずしも利用者の為になる成果ではない)を出さない限り、洋雑誌の購読契約が遅れても致し方ない、とか言われて、苦し紛れの成果(と言って良いかも疑わしいもの)を打ち出すしかなく、系列館からも努力が足りない、と言われてしまうような状況に陥りました。もちろん、そうなる前に経営者サイドを納得させられなかったのはこちらの力不足が最大の原因なので、今後は二度とこうした事態に陥らない努力が肝要と反省するばかりです。
早速脱線してしまいましたけど、例えばそうした、図書館が経費節減のスケープゴートにされる状況の根本的な打開策や、それを進めるために十分な能力も残念ながら持ち合わせていない立場なので、上の方の気持ちはちょっとだけ理解できないこともありません。書いてもゴミにしかならないとは思いますが、それでも一言書かないとすっきりしないので書いてしまいます。
まず、図書館に限らず正規雇用を減らして非正規雇用やアウトソーシングで税金を安く上げようという方向については、図書館業界の誰も異を唱えていないわけではなく、むしろ声を大にして言っていると思います。何故なら大なり小なり公共、学校、大学、専門の各館種に共通する問題だから。
でも現実問題、そういう非正規な立場のスタッフであっても、いなければ図書館の仕事は回りません。税支出減らせって号令がかかっている中、図書館だけ正規職員の増員を求めるような要求を通すのは、決して簡単ではないですし。
もちろん図書館の、または図書館に限らずある種の少しでも熟練と学術的専門知識を必要とするとされる部門の業務が、そういう継続性の低いスタッフで十分と思われてる状況が良くないということは、ある程度そうした業界で経験を積んでいる人とか、業界の現状を惜しみなく伝えようとする、心ある先生に教わっている学生さんとかには理解されている筈です。ただ、某SNSなどを見てるとそうではない「司書を目指す若者」も多く存在するらしいことが分かるので心が痛みます。
ひとつ疑問なんですが、最初のエントリで述べられている、高い理想ばかり語っている図書館系ブログって一体どこのことなんでしょうか?現状に対する知識はあっても職に就いて戦ったことのない、でも現役の人達と交流して何かを学び取ろうと頑張ってる学生さんの所?それとも厳しい現実と戦うために日々「このように在れかし」と理想実現のアイディアを蓄積したり、あるいは過去の図書館学教育という重力に捕われた人々に檄を飛ばしたりしている現役職員のブログ?もしくは限られた現状の中でサービス維持(時に向上)に努めている人の所?いえ、本当にどこだか分からないだけなんですが。
この図書館系ブログに対する認識は、たまたま単にこの方が(あるいは私自身が)偏っているだけなのだろうか?あるいは壮大な釣りなのか?とついこちらとしては思ってしまうのです。でも、言論手法はともかく、図書館の現状と将来がとても心配なのは分かります。それはこちらも一緒だから。
で、こういうことを書いている自分はこれからどうしたいか?という話ですが、1つの組織の中で流れを作る権力は今はありませんし、職階制度から言ってこれからもそういう流れの決定権限を持つことはまずないでしょう。ただ、流れに抗って反論する位の権限ならあるので、こちらも頭悪いなりにもう少ししつこく抵抗してみよう、と考えているところです。
一言だけ理想論を申しますと、現在はびこっている、貧乏さえ乗り切れれば図書館とその他の非営利サービスの安定継続性が崩壊してもよしとするような減員政策はそろそろ見直していかないとまずいと思うのです。非正規スタッフにかけられる負担には限界がありますし。
と申しましても、今の図書館で縁の下の力持ちになっているのは確実に彼らです。繰り返しになりますが、彼らなしでは図書館を運営することはまずできません。彼らが司書の仕事で食べていけるようにする道を切り開き、かつ図書館を腐らせずに保ち続ける手段は一体何処にあるのでしょうか。……そこを何とか良い方向に持っていくのが、きっと我々現役の正規職員の仕事なのですね。すみません。
※現在の司書養成制度が粗製濫造じゃないかとか、所詮今の図書館は、そういう粗製濫造司書でもやっていける程度の職場だ、という見方もあるかと思われますが、それについては今は触れないことにします。
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