蔵書1469冊盗難事件(神奈川県藤沢市)
お久しぶりです。仕事で参加したイベントで粘土細工を作ったり、架空の館マンダレイに旅立ってド・ウィンター家当主の美貌に見とれ、歌声にも聴き惚れたり、また、原作未読だけど『図書館戦争』のアニメを視聴したりもしていたら、いつの間にか20日間もこちらを更新していませんでした。そんなわけで本日ちょっと気になった図書館記事でリハビリ投稿です。
窃盗:神奈川・藤沢市図書館の蔵書1469冊、73歳逮捕 - 毎日jp(毎日新聞)
窃盗:図書館の本、自宅に1469冊 73歳容疑者「本が好き」--神奈川・藤沢 - 毎日jp(毎日新聞)
盗まれたのは藤沢市総合市民図書館の蔵書(図書・雑誌とも)で、被害総額は約616万円だそうです。なんで同内容の記事なのに2種類ページが存在するのか、毎日.jpのサイト構築方針がよく分かりませんがそれはさておき。この記事を読んでまず疑問に思ったのは、
○○容疑者は「本が好きで、体が悪くなると図書館に行けなくなるので、その時のためだった」と供述しているという。
という一文でした。この容疑者はある意味立派な図書館ヘビーユーザであるにも関わらず、宅配サービスの存在を知らなかったのでしょうか?ちなみに事件の舞台となった藤沢市図書館で宅配サービスが運用されていることは確認しました(利用案内の該当項目)。
もし知らなかったとしたら、高齢者に対する図書館の広報が足りないぞ、と言うしかありません。もし知っていてそれでもやったとしたら、そこまで本が好きで、どうしても自分のものにしたかった人間の悲しいエゴに痛みを覚えるばかりです。きっと高齢者故に、こだわりもひとしお強くなり融通が利かなくなっていたのではないか?と考えると尚更に。
どうしてこんなにごっそり持って行かれるまで、図書館は監視カメラ設置等の対策を打たなかったんだ?とかいう声もちらほら聞こえてきますが、できれば市立図書館という市民に平等に気軽に使ってもらいたい立場では、来館者性悪説に立つような監視カメラ等の設置は行いたくなかったのでしょう。というか、監視カメラを置いたら置いたで、利用者から拒絶反応出まくりになると思うのですけれど。図書館への監視カメラ設置は、図書館が自分の首を絞める行為であり絶対あってはならないことと考える自分は、所詮古き良き時代の図書館情報学徒に過ぎないのでしょうか。
あるいは、BDSぐらいは出入口に設置していたかも知れない、と推測しかけましたが、通常はかなり見つけづらい場所に貼ってあると思われるタトルテープを、73歳容疑者が巧妙に剥がしたとは考えにくいです。もし剥がしていたとしたら、それはかなり悪質な確信犯である証拠だと思われます。
でも、この容疑者、本が本当にお好きだったなら、せっかく図書館に納められて市民の皆さまとの逢瀬を楽しめる立場にあった本を、自宅に閉じこめるような真似はしないでいただきたかったです。自分で買うなり正統に譲ってもらうなりした本であれば、自宅で愛でようと何しようと構わないと思うのですけれど。久々に色々考えさせられた図書館の事件でした。
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いろんな方が書いていますが*1,藤沢市総合市民図書館*2での蔵書盗難事件について。 こういう事件が起きてしまうのは,なんだかなぁ,と思うのですが…。 ちなみに,湘南台の図書館には学部時代に図書館見学で行ったことがあるのです*3。 確か,あの館にはBDSはなかったよう... [続きを読む]
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