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« 大阪の図書館等廃止問題を分からないなりに考えてみる | トップページ | 2008年の夏休みのこと等 »

2008.09.20

図書館等職員著作権実務講習会を受講してみた

 先週後半の3日間、

平成20年度 図書館等職員著作権実務講習会

というものを受講してきました。
 うちの職場の場合、前年度末にある程度受講したい研修を申告しておく必要があるんですが、その時はこの一番くそ忙しい時期と講習会が重なるとは思っていなかったので、職場で管理職等と呼ばれる立場にならないうちに、と思い立って受講申告してしまったのでした。
 以下、セミナーの良し悪しを語れるほど著作権に詳しくないので、ひとまず感想のみ。

 今回は九州会場に生講師が派遣され、残りの京都会場と東京会場は中継映像の投影されたスクリーンを眺めての聴講でしたが、音声もクリアで全く違和感なし。問題は、講師に手を挙げてちょっと質問、ということができないというだけで。まあ、東大駒場の大教室に何百人もみっしり詰まった状態でそれが可能だと、大変なことになると思いますが。

 実は9年程前に、同じ文化庁主催の「著作権セミナー」というのを受けたことがあり、著作権制度の大筋についてはその時も勉強したのですが、2008年現在、遥かに学習項目は増えております。例えば、著作権関係の条約は確か以前はベルヌ条約と万国著作権条約が二本柱になっていた気がしますが、WIPO著作権条約って一体?という感じでした。

 以前になかった項目としては、著作物の「自由利用マーク」の話。貸与権に関する詳しい話。
 それから、「特許審査」や「薬事に関する事項(新薬承認申請等)」などの行政手続のためのコピー(複製)が図書館でのコピーや点訳のためのコピーと同様、著作物等の「例外的な無断利用」ができる権利制限規定として定められているという話。このうち薬事関係の利用の件は、自宅に戻ってから家族に聞いたところによると、とある薬学系のベテランインフォプロな方が影で尽力された結果、法改正が成立したということです。著作権法の主旨は著作権者の権利保護であり、こうしたフェアユースを成立させるためにいかに厳しい審議が必要か、というのは、「著作権分科会 法制問題小委員会(第8回)議事録」あたりを読むと身に染みてきます。

 図書館での複写に関する講義は、2日目の午後に集中的に行われました。図書館関係の記述はメイン資料の『著作権テキスト』ではなく、別冊のレジュメのパワーポイント資料の方にまとめられていました。このレジュメ&手元メモだけでも手元にハンドブックとして保存する価値はありそうです。
 当然ではありますが、「図書館における著作物の利用に関する当事者協議会」の「図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン」や「複製物の写り込みに関するガイドライン」といった、図書館関係団体と権利者団体との間で独自に定められたようなルールについての言及はありませんでした。あくまで文化庁という官庁の公式見解に、担当課(著作権課)としての運用上の解釈がプラスされているという感じでした(説明担当は担当課長)。
 この「運用上の解釈」や「判例により導き出された解釈」の解説が結構多かったです。例えば「レンタルビデオ店で個人が借りたビデオを使って図書館で上映会を開けるか?」については決して「×」とは仰りませんでした。しかし、そもそもレンタル店との間でも発行元との間でも「私的利用」が前提になっているのですから、目的外利用には別途契約が必要である、というのが担当課長の説明で、それは実質ダメってことだろ、と突っ込みつつ、役所の人間としてはやはりこういうグレーな案件にはグレーな言い方をせざるを得ないんだろう、と考察しておりました。でも、こういう解説、メモ取りは非常に大変でしたが、後から資料を読み返す時にきっと役に立つんだろうと思います。

 こういう著作権ネタって、本当常時アンテナを張っていないと色々取りこぼしそうで怖いです。著作権関係のセミナーはあちこちの団体で開いているけど、できれば文化庁オフィシャルで、図書館等職員著作権実務講習会を既に受講した人向けにフォローアップするようなセミナーを開催して欲しい……ということを主催者アンケートに書いてきましたが、予算の問題もあるのでそう簡単にはいかないのでしょうね。

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コメント

著作権のフォローは確かに難しいですね。
私もこの講習を受けましたが、それはすでに5年前の話。
それからどのような変化があるのかは、自分で調べないといけないのが現状でしょう。
確かにフォローアップの講習があるといいですよね。

moegi様、初めまして。
著作権のフォローアップについては本当そのとおりで、記事に書いたセミナー類の受講や、図書館業界誌に時々載る解説記事や、著作権をテーマとするブログなどのチェックで自力で行っていくしかないのが実状です。
毎年のように法律のどこかが少しずつ変わる、つまり講習会の内容も毎年変わるからこそ、全ての人の知識をフォローすることは難しく、自力での知識アップデートに任されてしまうのでしょうけれど、定期的に学べる場というのはどこかにあった方がやはり良い、と思います。

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