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2008.11.27

堺市立図書館のBL図書引き上げ問題に寄せて

 所謂堺市立図書館のBL(ボーイズラブ)図書引き上げ問題(参照リンク)について、以下、少しだけ語らせてください。

 初めに。自分自身はBLに特に抵抗はありませんが、積極的に読む方ではありません。というより、「BLだから読む」とか「BLだからイヤ」とかそう言う区別はほとんどしていなかったりします。そもそも絶対的な読書量が多いとは言えませんから、BLだからもどうもこうもないのですけど。
 BLの熱心な読み手でも書き手でもない私ですが、漫画界では24年組、小説界では栗本薫ら先駆者の先生方が、自分の作品世界を自分が本当に描きたい形で描くためにいかに苦労したか、というエピソードを見聞きしてしまっているので、彼女らの作品の血脈を何らかの形で汲んでいるであろう今のBLについて、あまり感情を抑えて見ることができずにいます。そりゃ物によっては目のやり場に困るようなどぎつい内容の作品もあると理解してはいますが、何と言うか、必要以上に聖域化してしまっているとでも申しましょうか。
 自分の本質をえぐり出す程にディープに好きな本は図書館で買ってもらうのではなく、どちらかと言えば見つかる危険を冒してでも手元でひっそり保管して愛でたいと考えています。もし自分がBL好きな「腐女子」だったとしても、それらの本を図書館にリクエストするという行動を起こすことは、まずないでしょう。
 自身の傾向としてはそんな感じですが、BLに一定の読者層が存在し、その作品世界を大切に愛しているという事実は理解しており、そうした読者の愛が不本意に引きずり出され汚されるようなことはあってはならないと思っています。

 図書館側の人間としては、所謂「町の図書館」について、「図書館の自由」だなんだと言っても行政機構の一員である以上、いくら図書館の資料収集方針に沿って購入された図書資料であろうと何だろうと、条例で有害図書指定をかけられたり、個人情報を晒している等の理由による閲覧制限扱いが決まったりしたような図書資料の閲覧規制には従わざるを得ないと考えています。
 ましてや今回の堺市の問題には、ある種の団体だの議員だのの圧力等ドロドロした裏があるっぽい話も、ちょっとググっただけでいくつも出てきます。
 でも、有害図書にも閲覧制限図書にもなっておらず、しかも市民(10代の自活していない子供だとしても市民は市民)に一定の需要がある図書資料を一括書庫行きにして、更に廃棄を約束させられるという状況が許される根拠が、どうしてもよく分かりません。
 安価な文庫類は購入しないとか、文庫でもBLやラノベのレーベルは買わない、とか資料収集方針で決められているんなら話は別ですが、堺市の場合そういう収集方針ではなかったようです(参考:堺市立図書館資料収集方針)。むしろ、基本方針の2の、

(3) 子どもたちが読書の喜びを発見し、情緒豊かに成長していくのに役立つ。
(4) 若者たち(ヤングアダルト)が多様なメディアによる資料を介して、自己の可能性を発見し、健やかに成長するのに役立つ。

という条文に、青少年が多種多様な資料を貪欲に摂取して大人になることを全肯定する姿勢が見出せますし。

 というわけで、一図書館業界人としては、この問題、どんどん叩いちゃってくださいって思っているのでした。叩けば叩くほど、「図書館の自由」という概念がいかに脆い足場に立っているかについても、その脆い足場をどうやって強化していくかについても、議論を深めることができるのではないか、という期待を持っています。
 一方、図書館の一利用者、否、読書という行為に思い入れのある一個人としては、
「もうBLを、そしてその世界を愛する人々をもうそっとしておいてやってくれ」
とも強く思ってしまっていたりもします。どうも今回の問題を叩くことによってそっちの世界が土足で踏みにじられるんじゃないかという恐れから抜け出せません。議論が深まれば誰かが傷つくことは避けられないので、所詮は甘ったれた考えだと頭では理解できているのですけれどね。

 ……それとも、腐女子はそこまでヤワじゃないですか、そうですか。
 それに、何だかんだ言われつつ、BL作品も例え図書館に置けなくなったとしても、雑草のように出版界で生き残っていくことでしょうし。図書館屋的にはだから安心、では全く済まない問題ですが。

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図書館」カテゴリの記事

コメント

堺市の図書館では美少女文庫・二次元ドリーム・コアノベルズ・ガガガ文庫・HJ文庫など、男性向けのエロ小説は断固として排除されて、ただの一冊もありません。有害図書指定さえれていなくても、断固として男性向けは購入せず、初めから排除されているのです。

ラインナップとしては普通のフランス書院文庫もぜひ忘れないでいただきたいものです。

良く言われることではありますが、直球ストレートになりがちな男性向け文庫よりも、変化球を使う一般向け小説の方が人間の官能に強く訴える描写に満ちている場合というのも多く存在します。
そういう意味で、図書館で男性向け文庫の購入が控えられる根拠というのは薄いのかも知れません。

とは言え、一般に、例え有害図書指定は受けていなかったとしても、扇情的かつ直接的な描写を中心とする資料を公費で購うには、税金の使途として弊害があると思われます。
これは、BL、男性向けの別を問わず同様です。
今後はBLも、新書や文庫のレーベルによりある程度のフィルタリングが行われる可能性がないとは言えません。

ただ、堺市の場合、BLだけを「積極的に」「重点的に」購入しているわけでもありません(この辺はブログ『かたつむりは電子図書館の夢をみるか』などに詳しい所です)。
また、恐らく、男性向け文庫「だけ」が購入を控えられているわけではないでしょう。

そういう意味で、堺市の図書館に、
「BLだけえこひいきしないで男性向けも買ってほしいな」
というのは、やや筋が違うような気がしてならないのですが、いかがでしょうか。

ごく一個人としては、BLも男性向け文庫も、
「自分(あるいは特定の少人数)でひっそりと使うものくらい、自分で買え」
と思いますが(笑)。

俺は毎日のように大阪のアキバ・日本橋に通っている。だが、堺の騒動では、ボーイズラブ図書の排除に反対する気は一切ない。世間では、BLを俺達の女版文化だとみているようだが、そんなものは誤解だ。俺達はあんな奴らと混同されて、大いに迷惑している。
俺達は女は男に服属すべきという当然の道徳を実践しているだけだが、奴らはそれを転覆させようとしている。どちらが正しいのかは火を見るより明らかだ。オタクとBL愛好者の腐女子が仲良くしているというのは嘘だ。俺の友達は、みんな腐女子と顔が会うたびに目を背けている。これがことの真実なんだ。

あんな表紙の本を図書館のカウンターでリクエストできる時点でキモスギ・・・。変に自分の趣味に自身を持っている点はさらにキモイ・・・。

本文にも書いているとおり、自分は腐ではないので、ここで腐な方に対する恨み辛みを吐かれてもどうしようもなかったりします。残念でした。
しかしこの記事のどこにネガコメを引き寄せる要素が存在するのか良く分からずにいます。ポジコメプリーズ。

何かおかしいですよね。同性愛だからとかじゃなくて、性表現が過激だから規制されるわけじゃないですか。図書館で異性愛の性表現物が規制されている以上、BLも規制対象になるのがむしろ平等だと思います。逆に、特別扱いすることこそ、ジェンダーバイアスになるのではないですか?

BLを特別扱いする理由はないと私も思います。仰るとおり逆差別ですね。
あの事件後図書館界で議論が尽くされたか?というと決してそうではなさそうですが。

結局、今回の問題がネット上で怒りを買っている(つまり、市民グループに対する怒り)のは、市民グループの代表が上野千鶴子という有名なフェミニストだからでしょう。

彼女は、女性の性の商品化には反対しています。じゃあ、社会的弱者である同性愛者の性を商品化して、異性愛者のおもちゃのような存在にするBLを許容する理由はありませんよね。それなのに、矛盾した自分勝手な主張を繰り返しているために大きな反感を買っているのです。

もちろん、BLを読んでいる同性愛者もいるでしょう。しかし、一部には不快に思っている同性愛者もいます。性に潔癖な同性愛者もいます。
だから、BLを読んでいる同性愛者もいるからいいじゃないか、という反論は成り立ちません。
アダルトビデオを見ている女性もいるから、女性の性の商品化は問題ないという反論が成り立たないのと同様です。

結局、ネット上の怒りの原因は、図書館業界が、BLというポルノだけじゃんじゃん仕入れ、閲覧制限も設けないという特別扱いをしている一方、他のジャンルのポルノは購入すらしないという厳然たる差別的取扱いをしているという点にあるでしょう。
また、性表現規制に賛成しながら、BL規制にだけ反発するという市民団体の対応にも怒りを覚えるのでしょう。どうせ、反対するなら全てのジャンルに反対すべきであり、逆に賛成するのなら、全てのジャンルについて賛成するべきです。

まず、元々特定の個人やグループを批判する目的でこのエントリを書いたわけではないということをお断りしておきます。
そもそもその方達の活動についても全く知見も関心もないですし、このブログでその方達に対する持論を展開するつもりも今後一切ありません。

また、図書館については、ポルノと同様にBLを一切購入しない館もあるらしいと聞いています。
この問題について、未だにこちらに書き込みをいただく程度にはネット界隈がふったかっている(推測)割りには、図書館界全体で議論が尽くされていないとは感じていても、個々の図書館レベルでは大なり小なり検討が行われているものと信じております。
検討の度合いに差はあるかも知れませんし、検討した結果についてもどうこう言うつもりもありませんが。

自分で少しは調べたらどうなんだ?
他の図書館にBLの本が何冊あるのか数えたのか?
そもそもBLの本は誰の要望で置いたのか調べたのか?
下らん作文はいらん。まともなことを書け。

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