図書館総合展レポート(フォーラム聴講編)(2008.12.4加筆)
元来筆が遅い上、図書館総合展終了直後の貴重な土日をまるまる趣味の観劇に費やすという、人間的にも金銭的にも不埒な真似をしてしまいました。というわけで、レポを平日夜に書いているありさまでして、筆がなかなか進みません。ようやく「フォーラム聴講編」突入です。
11月28日の第10回図書館総合展。午後一で開催されたフォーラム「図書館とライブラリアンを元気に変える!-その活性化戦略の裏側―」を聴講してまいりました。
講師は以下のお二人でした。
石黒敦子氏(慶應義塾大学 三田メディアセンター事務長)
茂出木理子氏(お茶の水女子大学 図書・情報チームリーダー)
石黒さんのお話は、図書館は学内で理解されているか?図書館を「大学の心臓」と思っているのは図書館員だけではないか?図書館員として客観的にも理解を進めていくことが大事である、という発言から始まりました。
繰り返し強調されていたのは図書館広報の必要性について。Googleブック検索との連携発表においては、図書館系以外の雑誌等の媒体にも積極的に報せることを心がけたそうです。
また、慶應の「デジタルで読む福澤諭吉」は2007年度の私立大学図書館協会賞を受賞していますが、何と応募を決めたのはエントリー期限の3日前だったというから驚き。
応募に当たって、当初はトップページに載っていた図書館長の挨拶文を第2階層ページに移すとか、ページの顔となる福澤先生の写真は、若かりし日倫敦に赴いた際に撮影された得意満面のポートレイトを掲載する等、細かな工夫を凝らしたのが功を奏したようです。ページの最終的な完成形ができたのは、協会賞の授賞式直前だったとか。
あと、ご自身の経験を踏まえて、図書館にはもちろん専門家も必要だけど、図書館の外に出る人事もまた有効である、ということも語られていました。ただし、図書館にカムバックすること前提。
こちらのブログには書いていませんでしたが、先日参加した「INFOPRO2008」のディスカッションでも同じ問題が取り上げられていました。せっかく図書館で育てた優秀な人材を社内の別部署に持って行かれるのは辛かったけど、本人と会社のためになるなら……と泣く泣く手放したという話者(企業図書館の実務責任者)に向けて、会場から「それは手放すべきでなかった」との声が上がり、これに対して話者が将来図書館に戻してもらえるなら、という条件で承諾した、という返答をされていました。
続いて茂出木さんご登場。茂出木さんのお話は以前に一度、職場主催の講演会で拝聴したことがありまして、その「図書館員にはめったにいなさそうな」イケイケかつ有言実行なキャラクターに惹かれたものです。
今回のテーマソングは「赤鼻のトナカイ」(略:赤トナ)。ついに茂出木さんは歌う図書館員としてもデビューしてしまわれました(驚愕)。キーポイントは「(赤トナは)職場で泣くな。泣くぐらいなら怒れ」「新しい上司となったサンタクロースは赤トナを褒めてお仕事してもらう」「褒めたのは赤トナだけではない」「赤トナのおかげでソリのライトが要らなくなった分、トナカイ手当を要求」でしょうか。
この赤トナについては後半の主催者(紀伊國屋)とのフリートークでもネタにされていました。赤トナを虐めていた側で、新上司の方針に反発するトナカイがいたらどうする?という質問に対し、
石黒さん :意見の異なる者もまた仲間。違う意見があってこそ仕事が活性化される。
茂出木さん:働いて結果を出すことで、そんなことはどうでも良くなってもらう。
(2008.12.4)
お二人の発言内容が逆になっておりました。以下、お詫びして訂正するとともに加筆いたします。
石黒さん:(相手の力量を見ながら)仕事を任せる。働いて結果を出すことで、そんなことはどうでも良くなってもらう。ライバル意識を持たせて、イジメをバカバカしいと思わせる。
茂出木さん :意見の異なる者もまた仲間。シニカルな目を持つメンバーも必要。敵役も含めてチーム力。違う意見があってこそ仕事が活性化される。では、紀伊國屋さんはどうされていますか?(と司会の紀伊國屋の方に逆質問)
司会:個人的にはその人に「当事者」「共犯者」になってもらうことが大事だと思う。
石黒さん:多様性の中で人は成長する。批判もまた真実である。色々な人がぶつかり合いそうしたことを見出せるようになることが重要。
と、それぞれ毛色は異なりますが、良い仕事をすることで部下も前向きになれる筈、という方向性を共通して示されていたのが印象的でした。
全体に、「ポジティブかつ有能なお二方だからこそ実行できる(できた)」という面ももちろん多々ありますが、まさに表題のとおり、楽しく聞けて元気の湧いてくるフォーラムでした。
なお、実は今日、当日のメモを職場に置いてきてしまいまして、記憶のみで書いていますので、お二人のご発言が実際のニュアンスと違ってしまっている可能性がありますことをご了承ください。
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