Code4Lib JAPAN Lift Offに参加してきました
8月28日(土)に京大東京オフィスにて開催された表記の催しに参加してきました。
当初、
「目録のコーディングは多少できるけどプログラムのコードが書けない自分が行って良いものか?」
と、参加しようかどうしようかと迷っていたのですが、ちょうど申込期間中に岡崎市立図書館の検索システム事件が話題になりました。
この事件で問題の1つ(あまりに突っ込み所が満載過ぎるので、あくまで問題のうちの1つ)として指摘されていたのが「図書館職員のシステム知識不足」でした。
微力ではありますがシステム(図書館の、ではありません)の構築~運用管理に関わったことのある者としては、システムの面倒を見るに当たっては、技術力は個人差が大きいけど、せめてシステムに対する適性と、少しでも知識を身につけてやっつけ以上の仕事をやる気ぐらいは兼ね備えていないとできない、と考えています。
しかし、自治体の職員に、それらの適性とやる気を持った人間が隠れている可能性はどれだけあるのか?と考えると心許なかったりします。自治体の規模と反比例してその心許なさは増加するばかりです。ましてや自治体職員の中で更に一握りに過ぎない図書館職員たるや。
更に、そういうシステムを適切に作り、運用していくための心構えや技術の重要性というのが、自治体を運営する役所でどれだけ認識されているのか?役所の定常業務処理システムだけでなく、図書館のシステムにおいても重要性は一緒だと皆分かっているのか?と、不安は募るばかりです。
というわけで、自治体とか図書館の人の潜在的需要を掘り起こすにはどうしたら良いのか?そのヒントがもしかしたら今後のCode4Lib JAPAN(以下、「c4ljp」とします。)の活動にあるのでは?という淡い期待から、今回の集まりに参加したという次第です。
当日の流れはこちらをご覧いただくとある程度はつかめるかと。自分も発言要旨をいくつかツイートしました。
Togetter - 「8/28(土)ライブラリー×ウェブの力を飛躍させるCode4Lib JAPAN Lift Off」
Code4Lib JAPANが何をする団体か、というのは以下の公式サイトを見てもらうのが最速です。
Code4Lib JAPAN - ライブラリー×ウェブの力を飛躍させる
ブログはこちら。
ライブラリー×ウェブの力を飛躍させるCode4Lib JAPAN
当日のUstream中継録画映像はこちら。
c4ljp_kickoff 08/28/10 12:40AM
当日の説明スライドもこちらに載ってます。
20100828 code4 lib_japan_事業説明(全事業)
さて、前置きが長くなりましたが、以下、当日の感想です。
まず、事業全般について。何せまだ始まったばかりで、料理で言えば目下調理中の段階です。多分立ち上げメンバーの誰も先が見えてないし、何が正解なのか分からない。どこまでが事務局の仕事で、どこまでがコアメンバーが手弁当でやる仕事なのかが分からん、というのも正直な所ではないでしょうか。
また、事業方針や直近の主催イベントこそ決まっていますが、メンバーが各々に描いている「c4ljpをこうしていきたい(こうあって欲しい)像」はちょっとずつ異なっているようです。その理想像をある程度統一してからLift Offに臨むのではなく、あえて生かしたままで進めているのは面白いと思いました。
まあ、来場者のc4ljpに期待する像もそれぞれに異なっているので、それらにどう応えていくかを考える上では事業方針という「柱」が重要であり、下手な統一像は邪魔なだけかも知れませんが。
ここで団体像が統一されていない、と書くと誤解を呼びそうですが、
「日本の図書館における情報技術活用の停滞という現実を踏まえ、エキスパートに限らず、一般のライブラリアンに広く門戸を開放することで図書館における情報技術活用を促進し、図書館の機能向上と利用者の図書館に対する満足度向上を目指します。」(c4ljpのサイトより)
ぶっちゃけると、
「日本のライブラリアンの情報技術をどうにかして、日本の図書館をヤバくしたい(※)」
という一点だけは、確実に共通認識されている、と感じ、これは期待して良い、と思いました。
※当日の後半メニュー、パネル討論のタイトルが「日本の図書館をヤバくする-ライブラリアンへのメッセージ」という大変刺激的にして素敵なものでした。
それから、個々の事業のうち、自分が最も気になっていた「研修事業」と「提言事業」について。
研修事業に関しては、個人が自分のお財布から払ってでも受けて、、ICT(Information and Communication Technology の略、らしい。)を段階的に身につけたい、と思わせるような魅力的な研修であるのが理想だと自分も思います。
でも、会場からも意見が出ていたとおり、図書館の、特に公共図書館の人が自分の所の予算を使って受けられる=税金を使ってでも受けるに値する研修として認められることも大事だと考えるのです。
あと、何と言っても、「無関心じゃいられない、いてはいけない」と図書館の人、そして誰よりも親組織である自治体に認識してもらうことが重要かと思います。
それと個人的には、もしかしたら多くの人にはどうでも良いことかも知れませんが、研修の開催場所はある程度固定されている方がありがたいです。
もちろん自社ビルを持つような団体ではありませんので、ある程度ジプシー開催はやむを得ないし、使い易い会場はどんどん開拓すべし、とも思いますけれど、あまり転々としていたら有志のサークルの行事とあまり変わらず、定着のしやすさにも影響を及ぼすのでは?と思ったりもするのですが。自分だけでしょうか。
また、提言事業についても、是非是非積極的に取り組んでいただきたい、と思いました(^_^)。
会場でもメンバーから説明があったとおり、まずは複数の図書館システムで共通に所蔵情報の検索・提供を実現していくための共通API仕様の提言から、ということになるのでしょう。
もう一つ明記されている「Webを用いたサービス提供と最新技術の利活用ガイド」の作成、それから会場での発言で出ていた、図書館がシステムを作る時の相談窓口サービスというのも是非実現して欲しいです。
もっとも、実績に乏しい最初からいきなり取り組んで信頼を得るのは難しい分野であると思われますので(だから「まず共通APIから」なのだろう、と推測)、この辺は、ちょっと上から目線な言い方に聞こえたら申し訳ありませんが、ゆっくり取り組みじっくり実績を積んでいけば良いのでは?と思います。
とにかく、本当に、
「次の図書館サービスを作るのは、私たち」(メンバー高久さんのご発言より)
となることに期待しております。
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