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2013.01.06

新年のたわごと : 大阪市立大学学術情報総合センターの開館時間に関するTwitter上の動きについて

 皆様明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、新年早々にあまりふさわしくない話ではありますが、


の件について思うところを少し語ります。

 私は大学図書館に対しては遥か外野に属する人間であり、見識もありません。ましてや東日本の人間なので、大阪市立大及び学術情報総合センターの事も詳しくは存じ上げません。以下は、所詮図書館の端っこにいる人間が言葉尻に食らいついた無責任な放言です。

 今回の大阪市長の発言は「図書館」と言うよりどちらかと言えば大学の運営に対して向けられた言葉だと認識していますが、個人的には、大阪府で財政改革の名の下に複数の図書館を切り捨てておいて、良くそう言う事が言えたものだと、若干感情的にならずにはいられません。
 大学の備えるべき機能を一元的に「サービス」と捉えているらしき視点も、かなり引っかかります。大学図書館が担っている、大学において学術研究に資することを目的とした、学術研究支援活動も一括して「サービス」なのか、「アクティビティ」じゃないのか、とつい屁理屈をこねてしまうところです。個人的には図書館機能の一つである「図書館サービス」は大学の学術研究支援活動に含まれると考えていますので。
 しかし、夜間開館時に備えるべき機能や人員体制、危機管理体制、そしてそれらの充実に必要な予算を十分に議論した上で図書館サービスを充実させる事自体は別に悪くないと思います。とは言え、いつも思うのですが、「検討」はあくまで「検討」であって実質的な強制であってはなりません。
 また、大学図書館は学内組織でありながら、日常においてあたかも独立組織であるかのように運営されているという印象がありますが(偏見?)、今回の件は大学の組織全体としてきちんと検討されて良い案件だと思います。ただ、Twitterから寄せられた意見はあくまで意見の一つ、ワン・オブ・ゼムに過ぎないので、慎重に議論されるべきとは思いますが。そもそも24時間開館のニーズは学部生、院生、教員のどこまでに実際に存在するのか?また、図書館の閲覧スペースにはどこまで立ち入らせるか?学習室のみ出入り可とする場合は庁中管理をどのようにすれば良いか?貸出はどうするか?等、色々考えることはありそうです。
 もっとも、大阪市立大学学術情報総合センターの利用案内を見る限り、閲覧・学習スペースの利用は非常にきめ細かく規定されているようなので、外野が心配するようなことは何もないと思いますが。

 最後に、何らかの形で24時間対応を実現している大学図書館について探し出せた情報をいくつか挙げておきます。
 国公立大学ばかりです。学習室のみの24時間利用許可ケースも含めると、探せばもっと事例がありそうですが、私立大学も含めて網羅的に探すだけの根性はありません。こういう情報収集はできれば自分よりもっと検索が得意で時間と根気のある方にお任せしたい、と言いたいところですが、こういう些末な話にあまり人的リソースを割くのもバカバカしそうなので、あまり深く追究しないことにします。

「24時間眠らない図書館」について: 国際教養大学

“国際教養大学の図書館は、24時間365日、眠ることなく在学生や教職員スタッフを受け入れています。”

※但しカウンターサービスは8:45-22:00(平日)、9:00-22:00(土日祝日)(休業期間は短縮開館)

図書館の概要: 北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)附属図書館

“大学の研究体制が終日であることに合わせて,附属図書館も24時間年中無休で開館しており,資料が必要な時にいつでも自由に閲覧できる全面開架方式を採用しています。貸出についても,自動貸出装置を導入しているため,24時間可能です。”

2 利用時間・注意など: 奈良先端科学技術大学院大学附属図書館 利用案内

“学内利用者 利用時間 : 24時間 ※午後7時から翌日の午前8時の入館・退館には、「学生証」または「職員証」が必要です。”

図書館情報メディア研究科パンフレット 2013: 筑波大学

“春日エリアでは、大学院生には個人用の机と、夜間・休日の図書館情報学図書館を始めとする建物への入室、コピー機などに使うICカードを貸与します。”

学習室24: 京都大学附属図書館 利用案内

“「学習室24」で図書館資料の貸出・返却はできません。”

“夜間(22:00-翌朝9:00)は「学習室24」以外の図書館施設は利用できません。”

※2013-01-06 22:30追記
Twitterで金沢大学附属図書館の24時間利用中止(2009年1月)についての情報をいただいたので、追記いたします。

自然科学系図書館の特別開館(24時間利用)の中止について(持続可能な「自学自習」の確立に向けて)(平成21年1月5日 金沢大学附属図書館長)

“24 時間利用中止の主な理由は、(1)閉館後のセキュリティが確保できない、(2)冷暖房なしの状態であり、滞在しうる学習環境を提供できない、(3)カードキーを持たない学生(文系・医系・理系1~2年生)が利用できない、ということです。”
“しかし、全学体制による24 時間<開館>実施に立ちはだかる問題としては、現在の閉館後の入館者は全体の7%程度にすぎず、午後10時以降では5%程度でしかない、という冷厳たる事実もあります。”
“一方、セキュリティ対策を含めたこのような費用対効果とも言うべき考慮とは別に、図書館を24時間開館することが本当に大学にとって手放しで歓迎すべきことなのか、という根本的な問題があります。”
“少なくとも本学においては、深夜・未明の活動を研究や勉学の基本サイクルの中に恒常的に組み込んでいるような学生・教職員はいないはずです。”
“したがって、図書館は、学生のみなさんの「計画に基づく学習と研究の進展」を支援するのに吝かではありませんが、コンビニのような便利機能を提供することは本義ではないと考えています。”

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図書館」カテゴリの記事

コメント

市大工学部生です。すごくいい分析をありがとうございます。
大学の2部を廃止しておきながら、学情の24時間開館を提唱するのも変な話だと思います。
そんなに熱心な学生は多くないですし、費用対効果はないような気がします。
大学図書館をサービスと見なすことに私も疑問を感じます。

A-jyaさん、コメントありがとうございます。
貴大学の2部が廃止されたというのは初めて知りました。
もしかしたらTwitterに元の投稿をされた学生さんにも、夜間にしか時間が取れない何らかの事情があるのかも知れませんが、ではそうした事情を抱えた学生が実際に組織の方針を変えるほど多く存在するのか?と申しますと、やはり違うように思えてなりません。ただ、国際教養大のように、最初から欧米の大学のカリキュラムを意識して計画的に作られた大学は別ですが……。
※もちろん国際教養大だけが今後も「例外」として突出し続ける必然性はないと考えます。
本件は、大学で議論、検討する以前の問題であるような気もかなりいたしますが、もしどうしても検討せざるを得なくなった場合、少なくとも命じた側には、欧米の一部の成功例に引きずられることなく、24時間開館と他の図書館機能の充実と、費用対効果面からも見てどちらが優先順位が高いかについての検証結果や、国内の現状について聴く耳を持っていただきたい、と思います。

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