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2013.12.29

蛇足ながら、ブックツリーについて更に思う

この忙しい年末にお前は一体何をやっているんだ、と怒られそうですが、

ブックツリーについて思う: 日々記―へっぽこライブラリアンの日常

に関連して、他のブログでブックツリーに言及している記事を2点ほど拾い上げておきます。

なぜブックツリーに胸が痛むのだろうか、を考えてみた: egamiday 3

個人的には、ああ、そうそう、これだよ!と共感した記事でした。
私自身は、ブックツリーに対して書物の「著作としての人格や尊厳の否定」までの強い思いを抱くには至っていません。しかし、
「ユーザからの手に取るというアクセスに対して物理的以上に心理的に高い障壁を設けているのがブックツリーの構造です。」
という指摘には、例のツタヤ図書館の書架との対比と合わせて、深く納得させられます。
ブックツリーには公共図書館等での幸運な成功事例もあるようですが、あれは恐らくは図書館員と利用者との間の信頼関係の賜物ではないかと思うのです。

「なぜブックツリーに胸が痛むか」はもっと深堀りして考えてもいいのでは? - 図書館発、キュレーション行き

上記「egamiday 3」の記事への、ひいては現代の図書館員への批判的内容を含んだ記事です。
これについてあまりくどくどと語ることは避けますが、少なくとも、出版流通上の問題、情報流通の効率化、知的書評合戦の裾野の広がり……論点の違うものを全部引っくるめて「書物を殺す試み」に図書館員が荷担した、と言い切っている論旨には、元のブログの論旨からわざわざ論点をずらしている印象があって、申し訳ないながら、ちょっと「違う」と思いました。
江上さんのブログでは、
「私のいくつかあるポケットのうち、このポケットの中身はこんな感じだよ。でも他の人のポケットの中身とは違うかも知れないよ」
と言っているのに、
「そのポケットの中身はちょっと行きすぎだと思う。貴方の他のポケットや、他の人のポケットの中身が良くないから、そのポケットもそんなんなっちゃったんじゃないの?」
と言っているように読めて、少々的外れだと感じました。

まあ、論点のずれを承知で、図書館員を皮肉るための材料としているのであれば、引っかかるけど仕方ないかな、とは思いました。
ただ、図書館員が「書物を殺す試み」に荷担している、という点だけは少々聞き捨てならぬ、と感じましたので、少しだけ釣られて反駁してみます。

例えば電子的な情報の流通の話で言えば、図書館で働く者においては、広く利用されるべき情報の流通手段の効率化が問われている分、そうした流通に適さない情報の重要性はより強く意識されるべきであり、また、取扱いノウハウも着実に共有して引き継がれなければいけない、という使命感のようなものがあります。
図書館員が主に携わっているのは、情報を闇雲に「消費」するための試みではなく、言わばそれらの命を繋げ、多くの人に命を伝えていくための試みですので、そう言う意味では書物を殺すというのとは、あえて挑発的なワードを使っているとしても随分「違う」なあ、と思います。
一方、予算やスペースに限りがあるので、残念ながら全ての命に対して平等ではいられない、という厳しさも現実にありまして。そこでは「割り切り」も発生して、命を伝える仕事もなかなか単純ではありません。
その割り切りを「思考停止」と捉えるかどうかは、これまた個人の考え方なので、善し悪しを論じることはできないかも知れませんが、それこそがあまりにも純朴な非難でありすぎて、ちょっとどうしたら良いか分からない、というのが正直な考えです。

……と、ここまで書いて改めて思ったのですが、図書館員が書物を殺しているかどうか?という話と、利用者に書物の利用を提供する手段として果たしてブックツリーってどうなのよ?という話って、全然関係ないですよね(^_^;)。
なので、この件について語るのはひとまずこれで止めておきます。

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