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2015年9月

2015.09.13

Code4Lib JAPAN Conference 2015に参加してきました

2015年9月5日(土)~6日(日)にかけて、「Code4Lib JAPAN Conference 2015」に参加してきました。
プログラムコードのひとつも書けない者ですが、システムを「私、分からない」で終わらせたくなくて、この集まりの周辺にへばりついてきました。
今回は海外(インドネシア)の方からの発表などもあり(しかも同じ方が2件発表!)、かなり発表内容が充実していたという印象です。
具体的にどんな発表があったか?については、
をご覧いただいた方が話が早いと思います。あと、雰囲気を味わって補完するなら以下のTogetterをどうぞ。

自分は昨今図書館周辺で活用されているWeb周りの技術、セマンティックウェブとかLinked open Dataとかについて、「分からない」ことが圧倒的に多い癖に、末端のお手伝いなどしている立場です。
うわあ、前提説明なしでこの用語を語られても分からないよ!話進んじゃってるよ!などと心で叫びながら現場にいただけなのですが(^_^;)、そんな人間でもプラスマイナス様々な意味で心に響いて勉強になった発表がいくつかありましたので、以下、感想として述べさせていただきます。

まず、何と言っても小林龍生さんの基調講演
編集者としてキャリアをスタートした方らしい豊かな文化的教養に根ざしながら、しっかり技術的好奇心をも満たしてくれるストーリーテラーぶりにすっかり引き込まれました。
ハイパーリンクな聖書の存在は実は知らなかったのですが、そうだよ、聖書の構成ってハイパーリンクだし、特に福音書なんて相関関係だらけじゃないか!と目から鱗が落ちまくりでした。

打ちのめされたのは、NDLの方によるNDC-LDの発表。
私、分類論の単位(司書必修)を取るのに2年かかったくらいには分類が苦手、NDCの構造を満足に理解できていないので。発表で当然のように使われる用語や概念にほとんどついていけず。
確かに図書館の実務を離れて早10年にならんとしておりますが、司書としてこれはないだろう、と猛省しました。
ただ、そんな自分でもNDC-LDはぜひともオープン化して、データとして広く使えるようにしていただきたい、と、素朴に思ったわけでして。無論NDCが抱える大人の事情は承知の上の思いです。

是住さんと小林巌生さん(小林龍生さんのご子息です)のお二方の発表を聴いて「自分でもやってみたい」と思ったのは、ウィキペディア・タウン。
「やってみたい」というのは、イベント参加者(街歩き調査&資料調査&街のページの編集を行う立場)とファシリテーター(イベントを構成し仕切る立場)のどちらも、という意味です。
ただ、実際にウィキペディア・タウンのイベントを仕切ったことのある方にお話を伺ったところ、イベントの成否は関係する社会教育機関(図書館など)との事前調整と根回しの成否に左右される面もあるようで、やはり仕切り(と、お役所の一つでもある社会教育機関への根回し)のノウハウをしっかり会得することは重要なのだろうと思いました。

残りの発表、それぞれに「こんな発想があったのか」「こんな凄いこと(面白いこと)ができるのか」とひたすら敬服していましたが、特に心に残った内容は次の3つでした。

まず、協賛団体セッションでの、田辺さんによるNext-L Enjuのお話。Twitterからの自己引用になりますが、以下のツイートにあるDOI管理モジュールの開発の件。ああ、弊社もこんな風にDOIとORCIDを紐付け活用できたら皆で幸せになれるのに。


それから、常川さんのビブリオバトルLoD。高いシステム構築技術を持った人が、趣味を実益として皆に還元しまくってくれるのはありがたいことです。ビブリオバトルを知らない人の興味を喚起するだけでなく、「バトルに使われた本」のデータも収集・提供することにより、図書館、出版社、書店にも多分貢献することになるかと思います。


そして、江草さんの発表「コードを一行も書かないでオープンソースプロジェクトに貢献する方法」にはかなり勇気づけられました。
メッセージを思い切り端折ってまとめると、「求む!Next-L Enjuプロジェクト参加者!」ということなのですが、「ユーザ側のスキルしか有していない者に、果たして何ができるのか?」についてのヒントと提案が、5分間の発表に凝縮されていたので、「私システム苦手なんですが、何かできることはないですか?」という人は必読だと思います。

ごく個人的好みとして、
「システムのいろはを熟知している人が」
「システムそのものや、システムが適用される対象・業務を熟知している相手にもそうでない相手にも言葉が届くように」
工夫された発表につい心が傾いてしまいます。
もちろんCode4Libの発表にはそういう発表だけでなく、分かりやすさは追求しないが技術的に大いに評価すべき発表も必要だと勝手に思っているので、上記のはあくまで「個人的好み」であることを強調しておきます。

最後に、1日目の夕方に開催されたエクスカーションについて。今回、イトーキ社の「SYNQA」を見学させていただくことができました。

一部の職種を除いては固定の机というのがなく、カウンター机、アドレスフリーのオフィス(3Fのイトーキさん使用エリア)。最新型の、がっつり座って仕事しても疲れなさそうな椅子。細やかな調光機能を備え、会議机上がプロジェクタ、壁全体がホワイトボードとして使える会議室。シンプルな会議室予約システム(2Fの貸し会議スペース)。机に貼られたシート式の無線LANアンテナなど、とことんすっきり、親しみやすい空間として設計された図書室(図書も買える)、カフェと繋がったお仕事空間(1F)。
多分、大学でラーニング・コモンズ等学習・自習スペースの充実を図られている方には、大いに参考になったかと思います。

私自身は、手の届くところに大量の資料や紙、文房具をがっちりキープして仕事する傾向にある(公私ともにそうなので、家族から『営巣』と命名)ので、実は最初、
「イトーキさんに就職したら、私、この3Fオフィスでは生きていけない!」
と半泣きで思いました。
しかし、後から反芻してみると、イトーキさんのオフィス、個人ロッカーが充実しているのですね。PCはノートPCを使って、退勤時にはしまえるようになっている。あと、業務資料も整理、共有して保管する専用スペースがしっかり確保されている(そして恐らく組織としての資料管理ルールのほか各自でも整理する習慣がある)。
職種にもよりますが、これ、公私の区別がきっちり付けやすい空間で、「そういうもの」として意識して習慣づければ、私のような者でも行けるかも?とほんの少しだけ光明が差しております。

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