小山市立中央図書館農業支援サービス事業10周年記念シンポジウム参加レポート
2017年11月23日(木曜日・祝日)、小山市立中央図書館農業支援サービス事業10周年記念シンポジウム「おやまがもっと好きになる!~図書館で語る地域の未来~」に参加してまいりました。
シンポジウムの開催案内ページ
このイベントのことは当日まで知らず、同行者に教えられて「これは面白いかも」と急遽出向いたのですが、事前の想定以上に興味をそそられる内容でした。
小山市の農産物がほかの地域と比べて特に頭一つ出ているなどの「売り」があるかと言えば、失礼ながらそうでもないと思うのです。
結城紬は確かに名産ですし、市内に「桑」「絹」という地名があることからも、養蚕が盛んであることが分かります。一方、名前からすると隣の結城市(友好都市でもある)のイメージが強いです。
ほかの名産品であるかんぴょう、ハトムギ、酪農も、言ってはなんですが、外から見ると決して華やかな生産物とは思えません。
ところが。そこで「6次化産業」というキーワードが意味を持つものとなります。
今回登壇された皆様のお話を伺って、6次化産業への取り組みというのは、一見周囲に当たり前にごろごろ転がっている、取るに足らないように見えるもの(農産物)に隠れた価値を見出し、変身あるいは窯変させて(加工して)世間に売り込むプロデューサーというか錬金術師みたいなものだと改めて思った次第です。
それから特筆すべきは、図書館の自治体行政施策への食い込み方です。
シンポジウムには実際に6次化産業で起業された洋菓子店にジェラート店、そしてかんぴょうの実(夕顔の実)のスピーカーを開発したスピーカー工房の方々が登壇されていましたが、図書館での起業相談会でインスピレーションを得て起業に繋がった方、あるいは図書館での展示が製品の売り込みに繋がった方など、いずれも図書館をハブとして次の展開に結びついた経験を自然に口にされていました。
もちろんシンポジウムという場で紹介されるのは成功事例であるという条件こそありますが、当日ご挨拶もされていた市長さんのツイートにもあるとおり、自治体の中で図書館が農業振興という役割を果たす「場」としてしっかりと根付いているという印象を抱きました。
「ビジネス支援図書館」という活動が行われるようになって久しいですが、実のところ自分には意外と保守的な面もありまして、ビジネス支援サービスは、いわゆるレファレンスサービスともレフェラルサービスとも異なる、既存の「司書さん」では太刀打ちできない地平にあり、「別にそれ、図書館じゃなくても良いよね」という思いをほんの僅かながら抱いておりました。
しかし、今回のシンポジウムを拝聴して思ったのは、どのような形であれ、図書館が「そこに行けば何かヒントが見つかるかも知れない場所」あるいは「何か違う世界への道が開けるかも知れない場所」として、住民に認知されるのはとても大事であるに違いない、ということでした。そこが図書館であるからと言って、「ヒント」や「新しい世界」が別に本にまつわるものでないといけない、という話は全くないと思います。
これは確かに、ALA年次総会のポスターセッションでプレゼンされるだけの価値のある図書館活動である、と改めて我が意を得たり、な思いを抱いた次第です(小山市立中央図書館のウェブサイトで紹介された現地の様子)。
なお、無論、ストーリー仕立てで楽しく説明したポスターの質の高さがあってのことでもあります。
ちなみに中央図書館内の農業支援図書コーナーや、農産物展示コーナーも、質、量ともにたっぷりと充実していました。
写真は、腰痛のあまり館内での撮影許可手続きをサボってしまったので、残念ながらありません(すみません)。
気になる方は是非直接足をお運びください、ということでひとつよろしくです。