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カテゴリー「音楽」の記事

2008.03.20

イエヴァン・ポルッカ

 イエヴァン・ポルッカ(Ievan Polkka)という曲と、そのパロディ作品がニコ動周辺で流行っているようです。一度聴いたが最後、あのリズムと旋律が耳について離れてくれません。
 Wikipediaの「イエヴァン・ポルッカ」及び「ロイツマ・ガール」の記述によれば、元は長ネギを振り回していたのはアニメ「BLEACH」のキャラクターである織姫ちゃんだったらしいのですが、今や長ネギと言えば初音ミク、になってしまっています。確かに、織姫ちゃんのflashアニメ(ロイツマ・ガールというらしい)を見る限り、ノリが明らかに日本人のツボに入るノリとは異なるので、そのままの形で輸入してもここまでは流行らなかっただろう、と思うのだけど、何だか最初違う人の持ち歌であまりヒットしなかった「悲しい酒」を、美空ひばりが歌い始めてしばらく経ったら名曲にラインナップされるようになったような、そんな引っかかる思いを抱いております。

 あと、これは広く共感を求めるつもりはありませんが、イエヴァン・ポルッカを聴くとどうしても黄桜の歌(♪カッパッパー、ルンパッパー)を連想してしまいます。あのほのぼのしたリズムがどうも密接に似通っている気がして仕方ありません。自分に動画編集環境と能力さえあれば絶対黄桜カッパとポルッカをコラボさせるのに、と歯がみしながらイエヴァン・ポルッカの出だし(アッチャッチャー、と聞こえる部分)に黄桜の歌の歌詞を乗せて歌ってます。それはいくら何でも変でしょうか?

(2008.3.21付記)
 ロイツマ・ガール、筆者に造詣が無かっただけで、発表当時から日本でもしっかり流行っていたみたいです(^_^;)。ただ、一般的な日本人ならああいう1シーンだけリピートするという作り方はせず、複数シーンのモンタージュで作ってしまうような気がしたので(動画を音楽の飾り的に使う場合は別)、こちらとしては結構違和感バリバリでした。……って、日本人も世代や教育によって多様だから、「一般的」でくくってしまうのは危険ですけれど。

2006.08.16

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(8/14マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 この日は友人3名との観劇でした。うち2名、NさんとSさんは素敵な浴衣姿。もう1名の土曜日もご一緒したAさんは遠方からの3泊4日ハードスケジュール上京の疲れを押しての参加。華やいだ気分だったためか、以前は特段はまることもなかったクロロック伯爵の細かなエピソードが、本日は妙にツボに。キャストが前回の観劇と全く一緒で驚きが少なかったというのも原因のひとつかと思います。

 城を訪れた人間どもに息子のヘルベルトを紹介する時、猫を撫でるがごとく愛おしげにほっぺたを触る触る。モンスターとは言え、こんな妖しい父子がいていいのか?と、1人で爆笑。
 さらにアルフレートにスポンジを渡す時、あんな老いぼれ教授など捨て置いて自分を解放せよ、と誘いかけながらまたほっぺたをぺたぺた触ります。そんなに若い男の子のエネルギーが恋しいか!?と突っ込みMAX。また、伯爵のスポンジを使った一連の演技が実はとんでもない下ネタだということを他の観劇ブログで見知って観察していたところ、本当にそうだったということが判明。あまりに上品でさりげなさすぎて気づかず、はうぅ、と1人赤面。
 そして、メインの獲物はサラだというのに、どういうわけか「アルフレートは私のものだ」と教授に宣言する伯爵。ヴァンパイアの本能に根ざす欲望に苦悩しながら、でも舞踏会ではしっかりサラを吸血する。何て欲張りなんだろう、この初老のヴァンパイアは!

 ……というわけで、伯爵が出番は少ない癖に噛めば噛むほど実に味のある、人間の獣性と理性の双方を体現したキャラクターだということに、観劇4回目にしてようやく目覚めつつあります。実際に物語を回していくのはヘタレアルフレートと、回を重ねるごとに身なりのぼろさ加減が増していく教授の2人ではあるのだけど、やっぱりこのお話の主人公は伯爵なのだと改めて納得した次第。

 Aさんとは電車の時間の都合でカーテンコールもそこそこにお別れしなくてはなりませんでしたが、残った2名とお茶に向かう道すがらで伯爵番外編その1。その日の朝起きた首都圏停電騒ぎの原因が、何故か友人の一言で「実は伯爵のクレーンが送電線を(笑)」という話に。いや、「クレーン船」が原因の大変な事故だったのは重々承知しているのですが、あのロングトーンで伯爵が声を響かせながら電線をぶった切っている様を想像して笑いを抑えるのが苦しかったです。
 番外編その2。銀座でお茶した後、山野楽器でミュージカルCD等を物色している最中、Nさんが、
「そう言えばここ5、6日、伯爵の御髪がずーっとほつれっぱなしで気になって気になって」
と発言。実は筆者も「何アホ毛立ててるんじゃ」と髪の乱れは気になっておりました。劇場入りの際、時々朝起きたままっぽい髪型でお出ましになるという話は見聞きしたことがありましたが、よもやカツラでもやって下さるとは。……さて、翌日の公演ではちゃんととかしたのでしょうか?

2006.08.06

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(8/5マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 8月初、トータル3回目のダンス・オブ・ヴァンパイア(TdV)観劇に出向いてきました。同行の友人は夏らしく浴衣での観劇。服装は考えた末、手持ちのプリーツプリーズのベージュのシャツに別のスーツのベージュのパンツ、シースルーの白い八分袖シャツのセットといたしました。我ながらあまり突っ込みどころのない服装で、少し心残り。

 今回も、全体的に大きなハプニングもなく、実に楽しい舞台でした。2ヶ月公演も後半戦となり、キャストの皆様に良い意味での余裕が出てきたように見えます。

 今回は、ようやく伯爵の客席登場通路に近い席(1FJ列センター)に座ることができました。噂通りの気配を消した静ーかな足運びで雲を突くように大きい、黒マントをまとった伯爵(ベタな比喩だ…)が通り過ぎる瞬間、何故か自分も息を殺して見守ってしまいました。
 山口さん、本日の歌声も絶好調、バズーカロングトーンも見事でした。ただ、今さらなんですが、何故この方は歌う時両手を胸の当たりに構えて、前に出したり横に広げたりして動かしてしまうんでしょう?きっと一番声を出しやすいポーズなんだろうとは思いますが、今まで見てきた演目(4つくらいしかありませんが)で、歌い上げるナンバーの時は割とこのポーズを取られていることが多いです。あんなに手を振り回して風呂場で迫ってたら、サラが惹かれるどころか退いちゃうぞ?と思わないでもありません。でも顔と声と立ち姿が美しくて、舞台も客席の隅々までも我が手の内にあり!というような立ち居振る舞いを見せてくれます。「抑えがたい欲望」他のナンバーでは、歌声ひとつで観客をヴァンパイアの哀愁に包み込んでくれます。だから好きです。

 教授も絶好調でした(笑)。早口ことばの流暢さはただ口を開けて見守るばかりです。どのシーンでも軽やかで弾むような所作に、教授という奇天烈で愛すべきキャラクターが余すことなく表現されていて、ひたすら上手いなあ~、という感じ。

 そして本日のアルフレートは泉見君。浦井アルフが、箱入りで育ったけど、変わり者と評判の父上の酔狂で教授に身元を預けられてしまった、格の高い貴族の三男坊だとしたら、泉見アルフは家の商売が傾きかけて兄さんがお店を支えている中、苦学して大学に入ったら何故か教授につかまっちゃった商人の次男坊だと勝手に妄想しております。どっちも長男ではないところがポイントです。
 浦井アルフは母鳥の翼の下を離れたばかりの弱々しい雛鳥が初めて美少女を見て刷り込みされて目覚めた感情のもと、教授に叱られそして伯爵に煽られて突っ走る感じ。こっちはこっちで好きなんですが、泉見アルフは、今までも数々挫折してきたけど、この一世一代の恋だけは!と、弱い自分と戦う純粋な男の子ぶりが見ていて気持ち良いです。実年齢ではたぶん浦井君より十歳ぐらい上なのに、全く違和感がないのは凄いと思いました。

 アルフの悪夢シーンのダンスはだいぶ直視できるようになりました。加賀谷さんのしなやかな振りが割と好きです。このシーンの他にも、サラの家出ダンスや墓場のヴァンパイアダンスなど、7月の最初の頃に比べると随分アンサンブルの動きが自然になってきたように思います。

 ヘルベルト入浴シーンは、カーテンが開いたらいきなり片肌脱ぎしていました(^^;)。同行の友人(吉野さんファン)によれば「泉見君、素で驚いているように見えた」そうですが、観客にも衝撃的な場面でした。

 カテコは8月に変わるらしい、という話でしたが、どこが変わったのか素人目にはよく分かりませんでした。自分にわかるのは、伯爵が舞台の中央に立ってにっこりとスタンディングを煽ると脊髄反射でスタンドアップしてしまうということだけです(^^;)。

 ――さて、本日の私的ハイライトは幕間恒例のクコールお掃除にありましたので、これをもってしめくくりといたします。最近どんどん1幕最後の伯爵への頭突き&すりすりがエスカレートして、可愛い度が急上昇しているクコール。休日なので伴奏無しのお掃除。時々息をついて伸びをしながら紙吹雪をハタハタするクコール。そこに「彼はどこー?」とクコールに語りかける野太い声が。上手から現れたのは、真っ黒な日傘にサングラスをかけ、トランク(たぶんアルフの)を持ったヘルベルト!服装は1幕登場時のスーツでした。も、もしかして、昼下がりなどの日が陰ってくる時間になったら、あの格好でお外をうろついてるんですか?ヘル。彼は「アルフレートー!」という呼び声を上げながら下手に捌けていき、クコールも首をかしげながら退場して行きました。意外な共演が見られて何よりでした。

2006.07.20

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(7/17ソワレ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=浦井健治、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 2回目のTdVは実母を連れての観劇でした。座席は1FV列(A席)。通常の演目ならただの「舞台からちょっと遠い席」ですが、TdVに限っては1Fの通路をぐるぐると駆けめぐる教授やアルフレート、ヴァンパイア達の動きを見渡して観察できる楽しい席でした。
 伯爵のコウモリ羽根は流石に初見時ほどは爆笑しませんでしたが、やはり笑えるとともによくあんな高い位置で朗々と台詞を吐けるものだと感心。マチソワ公演だと伯爵も喉がお疲れなのか高音が弱くなるらしい、という噂をネットで見かけてましたが、私の耳が節穴なのか、それとも伯爵の歌唱力の賜物か、美しい歌声は健在でした。何と申しますか、声のコントロールが、強いも弱いも溜めるも伸ばすも自在な感じで気持ち良いのです。
 浦井君のアルフレートは軟弱ぶりが実に可愛らしかったです。あの軟弱ぶりを例えるなら、30年ぐらい前の少女マンガによく出てきていたような、優しい言葉遣いで女顔の、ちょっと怖い目に遭うとぴーぴー泣いちゃうような細身の美青年。お笑い度は泉見君より低めだけど、そんな軟弱青年が恋を原動力に健気に頑張っているという役作りに好感が持てました。歌声ものびやかかつ素直な高音でポイント高。カーテンコールではぴょんぴょん跳ねながら客席にスタンディングを煽る姿が微笑ましかったです。
 浦井アルフで笑えたのは、伯爵邸でのお泊まりでの悪夢のシーン。ヴァンパイア達がうようよ出てきてがなり立ててソウルフルに踊っている後ろで、一所懸命両手を動かしてもがいたり、手に持った十字架を高々と掲げてたりと、こっそりオーバーに演技してます。泉見君のうなされ演技はそこまで大きくなかったような気がするので、次回(8月予定)はじっくり観察予定。…と言うより、そうでもしていないと、直視するのが何だか恥ずかしいのですよ、あの激しいダンスシーン(^^;)。

 ちひろちゃんサラについては前も書いたので割愛。ただ一つ、舞踏会のシーンで伯爵が吸血の際にサラの上半身をすうっとなで上げるのですが、手つきが微妙にいやらしくないのがほっとすると言うか、逆に「もっと触らんかい」といらつくと言うか…どっちなんでしょう、自分。
 クコールはこの日もペットのわんこのように伯爵にすりすりして、せっせと働いていました。そう言えばろうそくをもらいに来た帰り、客席に「こんにちは」とご挨拶していたような。口をふがふがさせながらきちんと聞き取れる台詞を発音できるのはすごい、と変なところに感じ入っておりました。幕間のお掃除は、公式ブログによれば平日ソワレしかBGMは付かないそうで、無音だったのが残念です。

 終演後は、母の呆れた視線にもめげずポスターを購入。ちなみに家のどこに飾るかという後先はほとんど考えておりません。サイズ、かなり大きそうなんですが。
 TdVを8月にも観劇予定であると言ったらもっと呆れられました。とても、最低であと4回観る予定だなんて言えません。でも頑張ります。

2006.07.15

炎の街

 そう言えばミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のエンディングの歌って『今夜は青春(Tonight is what it means to be young)』といって、映画『ストリート・オブ・ファイヤー』の中で使われてました。
 ところが掲示板などを見ていると「大映ドラマ『ヤヌスの鏡』の主題歌」であることに言及する人はいても、『ストリート・オブ・ファイヤー』の方に言及する人は意外に少ないようです。ヤヌスの方が強烈に刷り込まれているのか(ちゃんと見てませんがヒロインが原作と違って美少女じゃないなあ、とは思った記憶が…)、それとも『ストリート』の方がB級どマイナー過ぎるのか?
 面白いんだけどね、『ストリート・オブ・ファイヤー』。ストーリーにはヴァンパイアのかけらも出てこないけれど、ちょっとすさんだ感じの街を舞台にしたシンプルな恋愛おとぎ話で、音楽は躍動感あふれるロックンロール。上手い味付けで演出すればミュージカル舞台化もいけると勝手に思っておりますが、誰かやらないかなあ。

2006.07.11

『ダンス・オブ・ヴァンパイア』観劇記(7/8マチネ)

 キャスト:クロロック伯爵=山口祐一郎、アブロンシウス教授=市村正親、アルフレート=泉見洋平、サラ=大塚ちひろ、ヘルベルト=吉野圭吾、クコール=駒田一

 帝劇で『ダンス・オブ・ヴァンパイア』を観てきました。開幕は7/2でしたが筆者はこれが初観劇。
 ネットでの評判がまっぷたつに分かれていたので不安でしたが、筆者は結構楽しむことができました。不満があるとすれば、「帝劇の怪人」山口さんのケレン味が少し控えめなところでしょうか。もっとマントを翻して悪目立ちするぐらいで良いと思うんですけど。一応主役だし。
 あ、でも、伯爵の巨大なコウモリ羽根の乗り物には笑い死にさせてもらいました。ばかばかしいまでに高いクレーンに載り、加えて、1FG席30番台の席から見ると羽根の素材が黒いゴミ袋を貼り合わせたように安っぽく、しかも18の娘が入浴中のお風呂場の天井から降臨してくる(笑)。決して失笑ではなしに、あの大きなのっぽの伯爵がさらに大きい羽根を着けて飛んできて、大まじめな演技をするというのが可笑しくて仕方ありませんでした。
 伯爵の歌声はいつもながら神がかり的で言うことなし。ミュージカルにおいては歌唱力も演技力の一つであるということの生ける証拠がこの方であると、お歌を聴く度に思います。でも、カーテンコールではもうちょっと踊ってもいいのにな、と、欲張りなことを考えてみたり。教授ですらスイングしてるのに。

 アルフレートの泉見君は初見。扮装写真の髪型を見て「雷様?」と心配してましたが、実際の舞台での頭はそうでもない自然なカーリーで安心。ヘタレだけど純粋で熱いキャラクターの崩し方が上手いと感じました。あれを見てしまうと、Wキャストの王子様系の浦井君がどこまで崩せてるのかと不安になります。
 教授の市村さんはとにかく達者です。ちょっとでも隙を作ると崩れてしまいそうなぎりぎりの早口のナンバーを、見事に歌い上げていらっしゃいました。しかも冒頭でカチカチに凍った時のいかにも苦しそうなポーズを維持するお姿や諸所に見られる軽やかなアクションは、とても御年57には見えません。
 サラの大塚ちひろちゃん。意外に色っぽくて肉感的。サラという役は、最初町からやってきたアルフレートに少しだけ気持ちが動くのですが、入浴中に降りてきたクロロック伯爵に心を奪われてしまいます。その後お城に招かれ、徐々にアルフレートに対しタカビーになっていく態度が何とも可愛いのだけど、同時に「女の嫌らしさ」みたいのも身に付いていて、女性から見るとぞぞっと来ます。歌は…もう少し頑張った方が良いかも。
 そして見せ場を作ってくれたのは吉野さんです。オカマ系ヴァンパイアということで、むやみに美しい扮装写真が出ていましたが、まさか堂々とTバックスタイルで美脚を披露されるとは。サラのお風呂ソングと同じフレーズのスキャットが野太い声で響くだけで既に会場に笑いが起きていました。しかもジャンプ力もあって身のこなしの綺麗なこと。エンディングでもダンスを披露してくれます。
 注目したのは駒田さん演じるせむし男クコール。人里までお城のためにろうそくをもらいに来て、お城の泊まり客にはちゃんと朝食を用意し、ヴァンパイア化したばかりで落ち着きのない奴らをたしなめる健気な使用人。幕間には団扇で卓球のアクションをしつつ紙吹雪をあおいで舞台のお掃除をする姿には、がんばれクコール!と声をかけたくなりました。しかしラストではあんなことに(泣)なってしまう彼。これからお城の贅沢な暮らしは誰が支えるのでしょうか。

 残念だったのは宿屋の主人とその愛人役の方の歌唱力。折角美味しい役どころなのに、このカップルの場面はちょっとだれちゃってます。
 ダンスシーンも賛否両論あるらしいですが、リピートしないとよくわからないので割愛。
 あと、ラストシーンがちょっとわかりづらいです。教授がオチで起きた事件に気づいているのかいないのか、今ひとつどっちか判然としません。仮に気づいた上で「ヴァンパイアの存在を証明できた(^o^)」とか言ってるとすると、この方、かなり始末に負えないマッドサイエンティストです。師匠を間違えたね、アルフ。

 ところでこの日はOカードの貸切公演日。ご挨拶は伯爵と教授。O!M!C!をポーズで決める教授と、牙付けてふがふが喋りで普通の内容の挨拶をする伯爵。そして最後はマントの懐からおもむろに看板を取り出して(いつから隠していたのか謎)ツーショットを決めて去っていくお二人。楽しませていただきました。
 また、当日は抽選会も用意されていたのですが、何と山口さんのサイン色紙が当たりました。Vカードと違って写真が付いているわけでもない、本当にお名前だけのシンプルな色紙でしたが、それでも嬉しいものは嬉しいです。数日分の運をここで使い果たしたような予感がします。

2006.06.18

『ミー&マイガール』感想

 6月10日に友人の誘いを受けて、帝劇でミュージカル『ミー&マイガール』を観てきました。
 当主を喪ったヘアフォード伯爵家。かつて当主の許されない結婚で産まれ、長年消息のわからなかった一人息子がようやく発見されたが、その息子ビル(井上芳雄)は下町ランベスで育ったべらんめえ口調の粗野な青年。後見人である公爵夫人マリア(涼風真世)や男爵ジョン卿(村井国夫)は当主の遺言にある後継者の条件「貴族の身分にふさわしい」人物に彼を育てようとし、一族の娘ジャッキー(純名りさ)は妻の座を狙い誘惑。下町から連れ添う恋人サリー(笹本玲奈)は階級の違いから身を引こうとするもビルは流れに抗い…という展開を記すとメロドラマな感じですが、実際は軽快なダンスナンバーやパロディで満たされた、とても楽しくて可愛いお話でした。

 井上君の歌は『エリザベート』や『MOZART!』のCDで何度となく聴いていたものの、生の舞台は初めて。CDの歌声では高音部が金切り声の絶唱になっていてそこが耳について仕方がなかったのですが、今回のミーマイで聴いた歌声はソフトな感じで全然高音部が気になりませんでした。音域上無理をしなくて済む曲が多かったのかもしれないし、曲調も絶唱するようなものがなかったというのもあるけれど、彼は本当に「歌える」人なのだと今回知ることができました。
 ビルとしての演技は初登場シーンが子犬のようにきゃんきゃん暴れていて可愛かったです(^^)。早くに母親を亡くし、生きるためには何でも(恐らく時には悪事も)やってきたような青年なので、本当は「可愛い」だけじゃないと思うんですが、多分彼は今までの境遇を全て受け入れ真っ直ぐに生きてきただけなんだろうな、と思わせるものがありました。一見無分別な子供、という印象ですが、途中で労働者階級の友人に手紙で決別を告げられた時の反応で、この青年が決して愚かではなく、現実を悟っているのだけど懸命にそれに抗おうとしているのだということがわかります。
 玲奈ちゃん演じる下町っ子サリーも素敵でした。最初にビルとともに騒ぎまくってテーブルの下に隠れ、食べ物やテーブルウェアを抱えて逃げていく場面の可愛さといったら!ある日突然貴族になってしまった恋人から身を引こうとする彼女の行動を、時代にそぐわないと思う人もいるかも知れませんが、彼女の行動原理が全て「ビルの将来のため」で一本筋が通っていてうじうじしていないためか、あまり前時代的な印象はありませんでした。
 どうしても主人公中心に語ってしまいますが、屈託なく育ったわがままお嬢様、ジャッキーもなかなか見どころ満載でした。特にビルにガウン1枚でモーションをかける場面。可愛くて色っぽくて、あれではビルが一瞬とは言えほだされてしまうのも無理がありません。プリンス井上君が下半身パンツ一丁(上半身は着てます)という貴重な姿も見られましたし(笑)。

 あまり細かく書いてオチがネタバレしてしまってもまずいのでストーリーと無関係の話題を二つほど。
 一つ目は、開幕前にロビーの階段で、一幕目ラストの客席参加ナンバー「ランベスウォーク」の振り付け練習というのがありました。アンサンブルの皆さんと指揮者の塩田さんまで参加されて、ダンスの決めポーズをやさしく楽しくレッスンして下さったのですが…。
 いざナンバーが始まったら、周りの誰も立って踊りゃしねえ!そりゃ、前から10列以内で踊るのは勇気いるかも知れませんが。そんな中で自分たちだけ踊る勇気はありませんでした。アンサンブルさんたちも客席に降りてきてるのに。ああ小市民。後で劇場でお会いした同行の友人の友人からも「何故踊らなかったの?」と突っ込まれた次第。エンディングではその分までスタンディングで踊りまくり、ポーズを決めたのは言うまでもありません。

 もう一つは二幕目のジャッキーと婚約者ジェラルド(本間憲一)との球打ち(クリケット?)の場面。後日再見した友人によれば、ジャッキーが打ったボールが下手出口へホールインワンしてジェラルドにほーら拍手、というのが本来の展開だったようですが、筆者が観た時にはボールが一度壁に跳ね返ってジャッキーの元に戻ってきてしまっていました。苦笑いする純名さんに本間さんがすかさず「はいもう一度ー!」という感じでフォローして、無事出口にイン。客席からも拍手。NGなんですがなごむ場面でした。

 歌以外の井上君ですが、ダンスはその善し悪しがよくわかりません。他のサイトで「タップは玲奈ちゃんの方が上手い」とか書いてるところもありましたが(^^;)、ジャンプ力もあって動きもしなやかで、私としては別に違和感は感じませんでした。演技は、初登場とラスト近くのビルで、実は同じ服を着てるのだけど、語り口調とかが全然違うのに感心。ただ、ジョン卿との図書室でのかけあいの場面など、もうちょっと余裕かましてもいいんじゃない?と思う場面もありました。どちらかと言えば器用な役者さんだと思うので、まだまだ伸びて欲しいです。

 …また長くなってしまいました。簡潔にして要を得る文章を書きたいのだけど、なかなか難しいですね。

2006.06.09

宙組初観劇記(6/3)

 今週は仕事が立て込んでいて、更新が止まってしまっておりました。8割方書くだけ書いて更新できていなかった先週土曜日の観劇話です。

 土曜日は早朝6時には家を出て友人たちと待ち合わせ、帝劇で『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のチケット抽選に参加することになっておりました。なのに金曜日、神経のすり減る会議を仕切ってふぬけのようになった後、夕方は飲み会に参加。夜遅く帰宅してちょっと一眠り、のつもりでベッドにもぐりこんだのですが…。
 次に目覚めたのは何と6:50(-_-;)。どうがんばっても抽選開始の8時には到着できない時間。ショックで半日ふて寝しようかと思いましたが、連れ合いの「行っておいでよ」の一言で思い直し、急いで支度して電車に乗り込みました。
 抽選会を終えた友人たちと落ち合ったところ、2名中1名が150番台の購入順位を確保とのこと。最初3人が狙っていた前楽・千秋楽に手が届かないのは必須なれど、相談の結果、条件の良い違う日のチケ確保を彼女にお願いすることに。そして幸運にも良い席を入手することができました。面目なくもありがたいことです。

 友人1名はここで別行動に。もう1名の友人と日本橋三越の『カフェウィーン』などでしばらく時間を潰した後、宝塚宙組・東京宝塚劇場公演『NEVER SAY GOODBYE』を観てきました。

 宝塚は生では初観劇でしたが、とにかく群舞のレベルの高さと華麗さに驚愕。『エリザベート』の演出もされた小池さんの演出で、華やかなハリウッドから1930年代のスペイン内戦に飛び込んだ青年カメラマンと女性作家の運命というテーマが、華麗に骨太に描かれていました。男役の方も皆美しいです。宝塚では男役が主役であることを十二分に納得させてくれました。主演でこの公演で卒業される和央さんの堂々ぶりはもちろんですが、特に二番手の、スペインの情熱的な闘牛士を演じた大和悠河さん。凛々しくて華もあるのだけど、娘役でも違和感なく通用しそうな美しさです。歌はまだまだらしい、という評判も耳にしましたが、ほとんど気になりませんでした。
 以下はネタバレになります。「続きを読む」オプションは付いてませんので、10行ほど改行してから書かせていただきます。宝塚、特に宙組ファンな方はお読みにならない方が良いかも知れません。









 異例の娘役トップ期間だったという花總まりさんは流石の貫禄で、大国の視点から次第に社会に目覚めていく女性作家キャサリンを演じていましたが、事前に「歌が弱い」と聞いていたのは実際その通りだったとわかりました(^^;)。それでも、気品があって儚げだけど実は強靱さを秘めたこの方の雰囲気というのは、そう簡単に出せるものではないと思います。
 和央さんは一幕目の途中までは傍観者の立場で内戦に参加するという役どころもあってか、やや影が薄めでしたが、一幕目の後半で救護隊に加わり、ハリウッドでの恋人を捨てるあたりから徐々に光を帯び、故郷を持たない根無し草のユダヤ人で虚飾の世界に身を置いていた主人公ジョルジュが、共鳴し合った人々と共に戦うことにより自分の居場所を見出していく姿を生き生きと演じられていました。
 一点気になったのはせりふで時々滑舌が良くなく聞き取りづらい所があったこと。友人によれば「去年末の転落事故の前はこんなことはなかった」そうですが、もし何らかの影響が出ているとすればご本人にとってこれほど辛いことはないだろうと思います。今後も芸能活動を続けられるというお話なので、何とか克服されることを願っております。
 先にも記した大和悠河さんは、幕開けすぐのハリウッドの華々しい登場シーンに目を奪われてしまいました。歌唱力が気にならなかったのは、多分声質が私の耳に合っていたのだと思います。劇場内の「キャトルレーヴ」でブロマイドをチェックしたところ、舞台化粧ではない素顔も綺麗でした。

 宝塚を見慣れていない人間として、物語の展開であれれ?と思ったのは、キャサリンにフィルムを託してアメリカに帰した後のジョルジュが、数場面の戦闘シーン(群舞)を経ただけでいとも簡単に戦死してしまった点です。もちろん、ダンスによって主人公たちの戦況がかなり苦しくぎりぎりであったというのは理解できたのですが、宝塚が戦闘シーンに弱いというのはこういうことなのかも?と実感した瞬間でした。遼河はるひさん(背が高い!彫りが深い!)の演じた敵役も、ねちねちとキャサリンをいじめていた割には主人公チームを追いつめた途端にあっさり殺されてしまいましたし。
 もう一つ、これは観劇後友人も同じことを考えていたと知り膝を打ってしまいましたが、一幕目と二幕目の冒頭および二幕目のラストに花總さんが二役を務める「キャサリンの孫」が出てくるものの、キャサリンが子供を産んだという事実は劇中どこにも出てこなかったりします(^^;)。あれはアメリカに帰ってから再婚して(キャサリンは離婚歴あり)子孫が産まれたのか、それともあわただしい戦闘シーンの合間にお腹に宿ったジョルジュの子孫なのか?としばらく悩みましたが、後から聞いたところによると劇の冒頭で孫が「祖父と祖母の思い出を探しに来た」とか言ってたらしいので、まあ、きっとそういうことなのでしょう。

 突っ込みばかり入れてますが、全体を通して、貧しい民衆たちのシーンはかなり印象に残りました。怒りに燃えて銃を取る者たちが咆哮するダンスの力強さは『エリザベート』(宝塚以外)の“HASS!”や『レ・ミゼラブル』の砦のシーンを連想させるものがありました。
 また、やるせないラストの後に華やかなショーで締めてくれるのが宝塚の良い所です。新人さんのお披露目でもあるラインダンスが可愛かったです。凛々しい顔立ちの男役候補っぽい子も、小柄な娘役候補っぽい子も、皆ミニの衣装で美脚を見せて元気に踊ってくれました。メインの3人は背中に羽根を背負ったきらびやかな衣装で大階段を降りてきてご挨拶してくれます。ショービジネスとはこうでなくては!と感じた瞬間でした(何を言ってるのか自分でも良くわかっていません)。

 おまけ。この日は偶々某カード会社の貸切日で(友人も人づてでチケットを入手したので知らなかった)、抽選会もありましたが、やはり図書カードすら当たりませんでした。そしてショーの終了後に主演の和央さん単独のご挨拶というのがあったのですが、当然のようにきちんとしたご挨拶。そうか、やはり東宝ミュージカルの誰かさんのご挨拶は特殊だったのか、あと、一路さんのご挨拶が真面目なのも、恐らく宝塚時代からこなされているから道理、と心から納得いたしました。

2006.05.25

『エリザベート』感想(5/23夜)

 当日のキャスト:トート=山口祐一郎、フランツ=鈴木綜馬、ゾフィー=寿ひずる、少年ルドルフ=塩野魁土、ルドルフ=パク・トンハ

 いよいよ私的エリザ楽日を迎えました。
 夢を見よう、と思いつつ、それでもオープニングでゴンドラに乗って上手から登場した山口トートの凄絶な美しさに息をのんでしまいました。確かこの日は昼夜2公演をこなしているとは言え、頬はより一層こけ、目元もややくぼみ気味。なのに歌声のバズーカぶりは変わりません。ダンスはよく取りざたされるようにかなり省力化(笑)されてますが、それすら許せてきます(寛容すぎ?)。
 本日のフランツは綜馬さん。つくづく感情の揺れを表現するのが上手い方だなあ、と思って観ていました。政治犯の母親に対峙した時の迷い。現状を打ち破るものが欲しくてシシィを選んだ筈なのに、妻と母との間で揺れ動く優柔不断ぶり。取り返しの付かない過ちを犯してしまい、母に決別を告げる際にもなおこの皇帝陛下は迷っています。「夜のボート」の場では、妻に受け入れられない嘆きよりも諦めのムードに包まれているのが良いです。
 そして一路シシィは今日も光り輝いていました。シシィを皇后としていただくのはちょっとどうかと相変わらず考えてしまうのだけど、今期のシシィは「ただのわがまま女」と断じるには抵抗を覚える程の存在感を保っており、初めて、自由を求める魂を抑制できず苦しむ一人の女性として向き合うことができたように思います。魂の苦悩と挫折を経て、ルドルフの棺に取りすがる黒衣の彼女の壮絶な美しさと言ったら!
 最期のシシィとトートのキスは結構短め。ルドルフとのそれより短い気がします。まさか一路さんへの遠慮?とか変なことを勘ぐってしまいましたが、それでも絵のように美しい終幕には変わりありません。
 今期のエリザ観賞はこれで本当にラストです。「最後のダンス」の山口トートのバズーカ歌声も、マント翻しも、1幕ラストのシシィの豪奢な白ドレスも、2幕のドクトルから正体を現すトートの白い胸元も、初日近くは影が薄かったのに徐々に存在感を増してきた革命家トリオも、ナイフをもてあそぶトートの上品な色気も、ミルクに娼婦にHASS!にと変幻自在の活躍を見せるヘレネ姉さんも、そしてトートダンサーズの大活躍も、全て胸の奥に焼き付けました(何だかんだでトートが多い(^^;))。世間からは「何故何度も(結局5回通いました)観に行くのか?」と不思議がられましたが、後悔はしていません。これで心おきなく現世に戻れます。

『エリザベート』感想(5/21夜)

 当日のキャスト:トート=山口祐一郎、フランツ=石川禅、ゾフィー=寿ひずる、少年ルドルフ=笘篠和馬、ルドルフ=パク・トンハ

 2日連続の観劇です。途中で眠るんじゃないかと不安でしたが、どうにか乗り切りました。
 禅さんのフランツはやはり感情表現はやや抑えめです。しかし後半の「夜のボート」の場では、何でこんなに言葉を尽くしても通じないんだよ!という静かな嘆きが聞こえてくるようでした。
 そして「悪夢」の場のラスト。禅フランツはほとんどぼろ雑巾と化しています。個人的には綜馬フランツの情感細やかな演技の方が好みですが、唯一ぼろ雑巾度では禅フランツの方が印象に残りました。
 ちびルドは今期初めての笘篠君。整った顔立ちとひたすらけなげな演技が可愛かったです。
 パクさんのルドルフも今期お初。浦井ルドルフが一所懸命落ち着いたアダルトを演じようとしていたのに対し、パクルドルフには年齢相応の静かなパッションがほとばしっていました。ダンスは明らかに浦井君のしなやかな身のこなしに軍配。しかし両親とすれ違っていく青年のせつなさの表現はパクルドルフの方がやや勝っていたように見えました。

 そして山口さん。実は前日に観て驚いたのですが、9日の公演の時よりも身体が細くなり、頬もそげていました。私は実際に観ていませんが聞くところによると滝のように汗を流していた日もあったらしく、「一部の40~50代男性に現れる心身の症状」が原因ではないか、という話もちらりと耳にしました。それが真実かはご本人や近しい人しか知り得ませんが、あの迫力ある歌声と端正な舞台姿を保つために、我々観客には計り知れないところで戦いを続けているに違いないと、つい思いを巡らせてしまいます。
 エリザのカーテンコールはいつもなごやかな雰囲気に包まれています。この日などは、無理やり手つかみバイバイに抵抗するシシィの首にうりゃー、とばかりにつかみかかる黄泉の帝王の姿がありました。そんなパフォーマンスを観ているうち、もしかしたら体調を心配すること自体プロフェッショナルに失礼かも知れない、という考えが頭をよぎりました。エリザ観劇も後残すこと1回。ここはできるだけ作られた夢を楽しませていただくことにしよう。そう思いながら劇場を後にしました。